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白い薔薇によせて



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「SS (二次創作小説)」
超時空要塞マクロス 第二部

第32話 Broken Heart

 “最凶” との声が高いと思われる、アレ(上半身キメ・ポーズの樽腹ガニ股輝のがぶり寄せ)が出現する回です。画も話も私にとって「バージン・ロード」並みに目にしょっぱい、デープ・インパクトな回でした。まさにBrokenの名にふさわしい。

 マイクローン装置強奪に成功したカムジンは、文化に適応できずにいたゼントラーディ人達を次々と巨人に戻し、軍団を作りつつあった。これに対し新・統合軍は早瀬未沙少佐を隊長とした調査隊を編成し、彼等の足取りを追い掛ける。

 そんな時カムジンは再び宇宙へ出る為にミンメイとカイフンを人質にとり、新統合軍に対して戦艦の引渡しを要求してきたのである。

輝を中心として、人質奪回作戦が開始された。

2012.2.6 UP


 カムジンが拠点にしていた戦艦を発見し、未沙を肩に乗せた一条機のバトロイドが調査に入る。手分けをして艦内を捜索していた別部隊から、通信機に連絡が入った。

「 はい、早瀬です 」
『 隊長、武器庫に大量の武器が置きっ放しになっております 』
「 了解。念のため、武器庫はブロックして下さい 」

 ゼントラーディ人は直接の戦闘を信条とし、小細工を弄する事はかつてなかった。しかしマクロスのブービー・トラップと同様に、何らかの罠がある可能性も否めない。何故なら彼らの最近のやり口は、“ 文化的 ” になってきていたからだ。実際に今回この艦は自動攻撃を仕掛ける事で、カムジン等が逃亡する為の時間稼ぎをしていた。


 慌てて放棄したらしい艦内の有り様を見た輝は、安堵した。彼等は力や役割の差こそあれ、全員が戦闘員だった者達だ。武器を持たれてしまえば取り押さえるのが難しく、互いに発砲による死傷者が出ただろう。大戦で多くの死を見た輝は、これ以上もう仲間も敵も傷付けたくはなかった。

「 武器を押さえられたから、俺達の仕事もやりやすくなるな 」
「 それならいいんだけど。新しい武器を手に入れる為に、無茶しないかしら 」
「 カムジン、かぁ ・・・ 」

輝はかつて幾度か対峙たいじした相手との戦闘を思い浮かべた ―― 確かにヤツなら、喜んで無茶をしそうだ。


その頃 トンズラ中のカムジン一家
Broken Hearrt


「 行くぜ! 野郎ども 」
 『 ヒャホーィ!! 』


 指令センターの大モニターに、不遜な面構えをした若者が顔を出す。カムジンはボドル・ザーとの決戦時こそ地球側に付いたが、地上戦の際にはブリタイの指示にも従わずに自分勝手に行動していた。グローバルはその後つまらなそうにそっぽを向いて会議に出席している姿を見掛けが、ブリタイが正式に宇宙艦隊司令官に任命された時に、ラプ・ラミズと共に仲間を引き連れて行方をくらませたと報告を受けていた。

『 久し振りだなあ、グローバルのおっつぁんよお。元気だったか 』
「 元気だが、一体何の用だね 」


 カムジンはミンメイとカイフンの命と引き換えに、明日の6時までに戦艦1隻の引き渡しを要求した。通信を切ろうとするカムジンに、オイグルが促す。

「 親分、アレ ・ アレ! 」
「 あ、それから装備一式も忘れないでね

カムジンは愛嬌たっぷりな笑顔で物騒極まりない要求をし、最後は平和の祈り ―― ピース・サインで脅迫を締めくくった。

「 奴等に戦艦を渡すなど、とんでもない! 断固撃破すべきです 」

議事録をタイプしていたクローディアがクールに言い放って、強硬派の興奮に水を差す。

「 人質は有名人で、要求を無視して殺されでもするとマスコミが 」
「 まだ政府の体制は固まってない。民衆の動揺は避けなければ 」

しかし、2つの人命と1,000万人の命 ―― どちらを選択するかは明白であった。





 早瀬隊長は夕焼けの空を飛行する偵察艇で、ラサール総司令補佐官から作戦伝達の通信を受けた。

『 気を付けてね。ローズ・ティー、用意して待ってるわ 』
「 ふふ、ありがとう 」

未沙は輝に通信をつなぐ。

『 こちらスカル・リーダー。少佐、ヤツら見つかったの? 』
「 一番良くない予想が当たった。人質をとって、戦艦1隻を要求しているわ 」
『 ヒュ~ィ  やってくれるじゃない。で、人質は? 』
「 2人よ。カイフンと ――
ミ・ミンメイ!? ―― あ・ああ、済まない。で、ミンメイは無事なのか? 』
「 ・・・ ええ、今のところ無事よ。それで近くにいる第103部隊と協力して、私達は ――
『 よかった。無事なんだ 』

 輝は安堵して息をつき、ヘッドアップディスプレイにぶら下げたミンメイ人形を突ついた。彼女に何かあったらと、背筋が凍った。

  ( カムジンの奴め、よりによってミンメイをさらうだなんて ――

「 一条大尉! 」
『 え? あ、はいっ 』
「 本作戦は他の隊との共同行動です。詳しい内容は後で知らせます。分かったわね!? 」
『 え~、概ね了解 』
「 以上です! 」

 未沙はのん気な輝の反応にも腹が立ち、拳で通信スイッチを切る ―― オペレーターがその怒気に、思わずアワワとなった。

  ( まだ指示の途中だって言うのに、相変わらずミンメイ・ミンメイ! )

思わずいきどおりを露わにする未沙に、対して輝は ――

「 ああ? アイツ、何怒ってんだろう。それにしてもミンメイを人質にとるなんて! 」

―― ミンメイの事で頭が一杯だった。


ぱたぱた ミンメイ人形
 ) ) )
Y.KOYA様


 第103デストロイド隊駐屯地の会議室で、全体指揮を執る未沙が実動部隊長の輝と、2人で作戦会議をしていた。上層部の立てた作戦の概要は、「カムジン等が隠れている街を包囲して攻撃を掛け、その隙に人質を救出する」という物だ。

「 そんな作戦、人質が危険だ 」
「 上層部にとって、本心は敵の殲滅が第一なんでしょうね 」
「 街に包囲って、どれだけ戦力が要るか分かってんのかよ。無理に包囲網を敷いても、突破されるのがオチだ。第一ヤツ等の怒りを買って、人質に危害を加えられたらどうずんだ! 」
「 そうね。どう実行するかをイメージすれば、当然想像がつくはずの事、だわ 」
「 全く、現場が分かってないヤツ等ってのは! 」

 いつになく苛立ちが露わな輝を、未沙は訝かしんだ。数々の作戦を遂行して場数を踏んできた彼は、生来の気質もあってか割と落ち着いて任務に当たるのが常だ。


 しかしまあ、彼の気持ちも分かる。戦場にいなければ分からない、そんな肌で感じるしかない事が数多くある。街一つを包囲する為に、いかに味方の数を要するか。標的に近付けば近付く程、誘拐者達が追い詰められてゆく危険な様子。人間の集団が恐慌し、暴徒化してゆく様。

 状況もそこに在る人間の心理もダイレクトに把握できる現地でだからこそ、人質奪還という難しい作戦が立てられるのだ。輝は以前から現場の重要性を訴えていたから、彼がいきどおるのも分かる ―― が、こんなに苛立つのは珍しい。

 未沙は「これでは冷静に判断できない」と考えて、輝を諌めた。

「 大丈夫よ。最終的には現場の裁量に任せる、って言われてるの 」
「 当たり前だ。机の上で考えてるだけの人間に、人の命の何が分かる! 」
「 少し落ち着いて? 確かにこの作戦だと、民間人を巻き込む可能性が高いわ 」
「 それにミンメイが、俺達の弾に当たっちまうかも知れない 」
「 そうね。ミンメイさんも、もちろん危険ね 」
「 怖い思いもさせるし 」
「 ・・・ 確かに、女の子を戦いに晒したくはないわね 」
「 俺はミンメイを、必ず、無傷で助ける! 」


 それから2人は地図でカムジン達が身を潜めているイオネスコ・シティ周辺の地理を確認したり、別働隊を待機させている可能性を検討して救出作戦を練った。輝が立てた作戦は「おびき出して人質の居所と敵の配置を特定し、手薄になった所で突入して救助する。その際、極力カムジンを人質から離す」という物だった。

「 でも、カムジンが上手く出て行くかしら 」
「 アイツの事だから、戦いの機会があれば真っ先に飛び出すさ 」
「 居残り部隊が多いかもしれないし ・・・ 」
「 ヤツの配下なら行きたがるに決まってる! 」
「 敵に気付かれずとなると、突入部隊メンバーの数も力量も限られるわ 」

「 俺が行く 」
「 ダメよ! もし見破られたら、突入部隊はハチの巣だわ。そんな捨て身な事、隊長のあなたが ――
「 隊長だから行くんだ! 危険だからこそ先頭に立つ、それが俺の役目だ 」
「 でもっ! ――
「 俺が行く。君は敵を、確実に罠にめてくれ 」
「 だって ・・・ ! 」
「 これを指揮できるのは、俺たち現場を解ってる君だけだ 」
「 輝 ・・・ 」
「 頼んだぞ 」


 輝は未沙の返答も待たずに立ち上がり、こう言われてしまえば未沙にはもう受け入れるより他になかった。確かにこの方法がベターで唯一、なのかも知れない。が ――

( この作戦、不確定要素が多過ぎる。もっと確実な事柄で組み立てないと。でも ―― )

 代替案を出したくとも、私情に曇ったこの目では、自身が納得できるベストの方法を見付けられやしない。

( ミンメイの名前が出る度に、私は何を感じた ・・・ ? )
( 私は何故、輝を突入部隊に入れたくないと思ったの ・・・ ? )

 その答えが分る未沙は、情けない自身が悔しくて腹立たしい。だから黙って唇を噛み、全体に作戦を指示するために輝の背について行くしかなかった。






 日が完全に落ちる頃、輝は気を引き締めてバルキリーに乗り込んだ。そんな彼の後を未沙が追い、つい彼女らしくもなく不安を露わにしてしまう。

「 ねえ。本当にカムジンが、こんな作戦に引っ掛かると思う? 」


 「ミンメイに何かあったら」と焦っていた輝には、そんな未沙の気持ちに配慮する余裕がなかった。それどころか、一刻も早く行こうとする自分を邪魔しているかのように感じて、苛立ちを感じずにはいられない ―― 誰よりも信頼してる上官に対してですら、疑心暗鬼になる程に。

  ( なんだよ、グダグダと! 心配性だな。上の意見がそんなに大事かよ )
「 君が指揮を執るんだから ・・・ う~ん、現場のやり方ってのがあるだろうが! 」


 そして自己嫌悪にさいなまれていた未沙は、感情的な輝の声に、自分に対する非難を敏感に感じとった。

「 そんな言い方って ・・・ 。仮にも私は指揮官よ! 」
「 そんなもこんなもあるか! 人質の命が、最優先なんだ 」
「 ―― ミンメイの事になると、随分と張りきるのね 」
「 えぇ ・・・ ? 」
「 私が人質だったら、こうは ・・・ 」
「 馬鹿ッ! 」

らしくない未沙に輝は苛立ちと腹立たしさを感じ、彼女の両肩を掴んで声を荒げた。

「 人の命が掛ってる時に、冗談なんてよく言えるな! 」
  ( 全くなに言ってんだ! 「民間人の安全が第一」って未沙が、いつも言ってるんじゃないか! )


 輝が振り切るように背を見せてバルキリーを発進するのに対し、未沙は「気を付けて」といつものように声を掛る事もできずに、項垂うなだれた。

  ( 本当に私、なんて馬鹿な事を。任務に私情を持ち込むだなんて、何てみっともない ・・・ ! )

 しかしそんな感傷などお構いなしに、指示を求めて通信器が鳴る。未沙は自分を振り払い、務めていつもの早瀬少佐に戻った。

―― 分かってる。戦場は、恋も嫉妬も自己嫌悪も、無用な世界だ。





 ミンメイが意識を取り戻すと、カイフンと一緒に床に尽き刺さった巨大なフォークで囲まれた檻に入れられていた。

( ここは ・・・ ? ああ、そうだわ。私、コンサート中に捕まって。それで、さっき気を失ったのね )

『 大体お前の歌に、人を感動させる力があると思ってたか ―― 単に物珍しかっただけさ 』

 そう言ってミンメイを握り潰そうとしたカムジンは、仲間と酒盛りの最中だった。酔っぱらって呑み食いする彼等の粗野な様子に「今度は本当に、どうにかされるかもしれない」、と恐怖した。


カムジンが好きな粗野な くいもの


 逃げ出したくてカイフンと2人掛かりでフォークを動かそうとするが、びくともしない。

「 私達、助かるのかしら 」
「 俺達のために軍部が戦艦を寄こすとは思えん。下手すると見殺し、か 」
「 嫌よ、そんなの! 」
「 嫌って言ったって、しょうがない 」

  ( 殺されるかもしれないのに「しょうがない」だなんて、なんて頼りにならないのかしら )
「 輝、助けに来てくれないかなあ 」


 グランテ・シティで自分を追いかけて来た、彼のパイロット・スーツ姿が浮かぶ。バレンタイン・パーティーの時に男らしいと感じた姿は、やはり本当だったのだ。輝ならバルキリーでこんなフォークなど簡単に抜いて、助け出してくれるに違いない。

「 よしっ、彼等を説得してみよう 」
「 止めて! そんな無駄なこと 」


 自分の歌にも “ ただ驚いただけ ” であった相手だ。ましてや戦いが生き甲斐の彼等に、カイフンの反戦理屈が通じるとは思えない。

「 無駄なものか! 彼等も僕達と同じ人間だ 」
「 どこまでいっても、あなたは口先だけなのね ・・・ 」
( 輝だったら私を助ける為に、命懸けでだって何とかしようとしてくれるはずだわ )

 以前のミンメイは自信満々に演説するカイフンを、頭が良くて頼りになる男だと思っていた。“ 反戦 ” という言葉や、警察に何度捕まっても主義を曲げないその姿勢は、何だか格好いいスタイルのように思えたのだ。

―― なのに最近はそんな過去の彼ですら、上辺だけの薄っぺらな男に思える ・・・ 。


「 また戦場を、同胞の死を作り出すのですか! 文化を ・ 平和を、何故捨てるのです! ただ破壊的欲求に従って生きるなんて ――
「 ブンカ ・ ブンカとうるせえ奴だ。俺達ゃ文化の仕方くらい知ってらあ。おい、ラプ・ラミズ! 」

 そう言ってカムジンがラプ・ラミズとやって見せたキスに、カイフンはガクリと膝を床に落とした。

  ( 彼らは文化を理解した上で、戦争いを選んだんだ。文化は戦争に太刀打ちできないの、か ・・・ !? )

 その時カムジンの仲間に入ろうとしたゼントラーディ人が、パトロール隊に見つかって救援を求める通信が入った。

『 助けて下さい、カムジンさん! 助けて、カムジンさあぁぁん !!
「 助けてやるッ。何とか持ち堪えてろ! 野郎ども出撃だ! この鬱憤、たっぷり晴らしてやる! 」

カムジンは攻撃に晒される同胞の悲痛な叫びに対し、男気を顕わにして助けに走った。






 パトロール隊に追い詰められているはずの場所では ―― 逃亡者に変装したゼントラーディ人とバトロイドが、並んで立っていた。

「 ハアッハッハッハ! こぉんなもんでどうかな、オイ?」
「 まあまあだね。おい、火あるよ 」

バトロイドがガンポッドで火を点けた煙草を、ゼントラーディ人の男は満足して吸う。

「 おう、ありがとさん ―― ふう~っ! 今日も文化がウマイ 」
やっこさん、見事にノッてくれたな 」
「 隊長殿が “ 煽ってカムジンが冷静に判断できないようしろ ” って言うから、せいぜいハデにしてやったぜ 」
「 お前、大した役者だよ。上手くヤツの仲間意識に火ぃ着けやがった 」
「 へへっ。アイツ等がそういうヤツだってのは、知ってたかんな ―― んじゃ、お芝居といくか」

戦いの為なら味方をも平気で殺す男は、身内に対しては情があつい。ゼントラーディーだった男は、吸い殻を躊躇いもなく投げ捨てた。





『 ネズミは穴に落ちたわ 』

 突入の合図を受け、一条機以下バルキリー3機がレーダーを避けて超低空飛行で敵陣に接近する。輝はこの先にミンメイがいるのかと思うと、彼女を守るために軍人になった頃の気持ちが甦り、力がみなぎってきた。

「 ミンメイ、君を絶対無傷で助けてやる 」

 コンサート会場の壁を破って突入してきた一条機が、見張りのゼントラーディ兵士をなぎ払い殴り飛ばした。

『 大丈夫、ミンメイ? 』
「 その声、輝ね! ありがとう、輝 ・・・ ! 」

 輝に助けを願っていたら、本当に真っ先に来てくれた。敵をあっという間に倒し、檻など簡単に壊して。

( 輝 ・・ 輝 ・・・・・・ ! やっぱり、あなたは ―― )





 カイフンは夜明け間近の飛行場で、未沙に非難と怒りをぶつけた。

「 私達は最善の行動をとりました。人質の命を最優先にしました 」
「 最優先が聞いて呆れる。大体、君達軍人は ――

 そこへミンメイが間に入ってカイフンの前に立ちはだかり、両手を広げて未沙をかばう。

  ( 今度は私、ちゃんと自分の意見を言ってみせる! )
「 止めなさいよ。輝達は、一生懸命に私達を助けてくれたのよ 」


 その時ミンメイは対峙するカイフンの肩越しに、輝が降り立った事に気が付いた。輝く朝日を背にした彼はまるで、そう ・・・ 私を守るヒーローのようで ――

「 ひかる ・・・・・・ 」
「 ミンメイ ―― 半年振りだね 」

  ( やっと私、気付いたの。会えない間あなたに感じた気持ちが、何だったか! )


 ミンメイは溢れる想いのままに、輝に向かって駆け出した。涙を浮かべて自分の胸に飛び込んでくるミンメイは、輝にとって昔から大切で愛しい存在だった人で。

  ( 輝。あなたはいつだって、私の心の中に ・・・ ! )
  ( ミンメイ、いつも君は眩しくて ―― ミンメイ! )

輝とミンメイは駆け寄り、抱き合った。

  ( 俺はちゃんと、君を守れたんだ! 無事で本当によかった ・・・ ! )
  ( 輝 ・・・ ! あなたはずっと、こうして私を守ってくれてたのね )

  ( 怖かっただろう? もう大丈夫だぞ )
  ( 私こうやって、あなたに守られてたんだわ )


 未沙はそれを、ほんの10メートル先から見詰めていた。ミンメイは輝の胸に包まれるように抱き締められている。愛し気に見詰める、彼の優しい瞳。引き合うように互いに駆け、「もう離さない」とでも言うかのように背中に堅く回された腕。

―― ああ ・・・・・・ 。そう、なのね


「 早瀬隊長、追撃部隊から応援の要請が 」
「 でもこちらは敵の3倍は居るはずよ 」
「 分散した敵を手分けして追った所を、再集結した敵に各個撃破された、と言う訳なんですが 」

 カムジン隊の動きは素早く統制がとれており、鬼神出没のゲリラ戦法が得意だった。しかし近くに他の街も多く、森が付近にある丘陵にしかおびき出せるポイントがなかったのだ。部隊長には「森に逃げ込まれないように」とアドバイスをしたが、あの巨体でゲリラ戦など有り得ない等と甘く見てしまったのだろう。

やはりカムジンには ―― と未沙は頷いた。

「 一条大尉も、参加させるわ 」
「 し、しかし! 」
「 いいのよ。イチャついてる暇があるんだから 」


 未沙は躊躇なくまだ抱擁の最中さなかにいる2人に近付き、輝の肩を叩く。

「 悪いけど、一条大尉。逃げ出したカムジン達の追撃に加わって欲しいの 」
「 人質は助けたんだから、もういいじゃないか 」
「 そうはいかないわ! 」
「 じゃあ、他のヤツに頼んでくれよッ! 」


 思わず口調が険しくなった未沙に対して、輝もヘルメットを地面に叩き付ける ―― 足元に転がってきたそれを拾い上げ、輝に静かに差し出した。

「 あなた、中隊長じゃなかったの? 」
「 ・・・ ああ、分かったよっ! 行っきゃぁいいんだろ、行っきゃあ! 」
「 急いでね 」
「 分かってる! 」

  ( ったく、任務・任務って、エラそうに!! )


 未沙から乱暴にヘルメットを取った輝は、ミンメイに優しく声を掛ける。

「 ごめんよ。折角久し振りで、会えたってのに 」
「 いいのよ、頑張ってね 」

 輝は無言で未沙を横目で睨み付けてバルキリーに乗り込み、未沙もまた無言でその後ろ姿を見送った。

 ミンメイが笑顔で輝に敬礼すると、輝も応えて敬礼を返す。

「 気を付けてね! 」
「 ああ 」


 戦場に向かう背中は、もう既に頼もしい男の姿だった。ミンメイの脳裏に、あの頃の少年を脱し始めていた輝の顔が浮かぶ。

『 僕 ―― 君のこと、好きだった 』

( 輝が注いでくれていた想いに、なぜ私は気付けなかったの? でも今なら私、きっと ―― )
「 そう、ちゃんと応えられる。輝の気持ちに ・・・ ! 」


 ミンメイは飛び立つ姿を見送る切ない気持ちに突き動かされ、発進する一条機の後を夢中で追った。そんな自分に彼女は、今こそ輝への愛を確信する。

  ( 輝。 今でも私の事、想ってくれてる? )


 戦いに向かって飛ぶ輝と、それを見送る未沙とミンメイ ―― 年月を経て今、同じ朝日が3人を照らし出した。


おわり

あとがき
輝がアレでも、話は見所あったのにな ・・・ 。

一条機の肩に乗る親ゆび未沙
可愛いですね。制作者の萌えを出したのでしょうか。場面をカットしようと思いましたが、後日絵を描こうと残しました。

輝にBoo!
ミンメイに優しく声を掛けた後に未沙を睨みつける輝の顔が、本当に憎たらしいと思っているようです。「デートすっぽかし」と「イブ・キス」と並び、私の3大輝ブーイングです。未沙が肩を叩いた時の輝は、目を閉じてミンメイの首筋?髪?に顔を埋めて浸っているように見えます ―― それこそキスしているようにすら見える。

ミンメイ
「今更ナニ言ってんだ!」と思われたでしょうか。彼女はセリフも描写も、ちょっとクサ目に描いております(ぷぷっ、ヒーローって…)。私は今まで割と彼女の良い面を描いてきたつもりでしたが、今後は自己中心性などの幼さを発揮してゆきます。

ブロークン・ハート
ここでの未沙の心情は、別のお話で語らせて頂きます。ミンメイとの描写の向こうに見え隠れする、未沙の表情や抑えた平坦な声音に気が付いてくれない、輝が悲しいです。

朝日の中の未沙の笑み
ムック本「マクロスグラフィティ」によると河森氏「ラストの未沙の笑顔には、僕も驚きました」との事で、無理に描いていません。本来ならどんな未沙が描かれていたのでしょうね。解釈を強いてするなら輝が隊長としての責務を忘れず、「分かってる」と急いだ方がよいのを理解して行った事が嬉しかった ―― でしょうか? 

この場面に限らず☆プロの回で急に綺麗な絵になる時があります。「余りのひどさに美樹本氏が書き直した箇所がある」とどこかで見た事がありますが、ここも誰かの修正では? だからやたら可愛く無邪気に微笑んだ未沙は、話の流れからずれて絵だけ一人歩きした結果かと思いました。

この未沙を「転んだミンメイをせせら笑っている」等、オモシロ可笑しく言う人もいます。IF物で “ブラック・未沙” でも書こうかしら。この回は本当にツッコミ処が満載で、拍手小噺やら画が尽きないですが、残念ながら体力不足で一点のみしかできませんでした。余裕が出たら作るかも。

☆プロ
マクロスを語る時に切れない話題です。韓国の下請制作会社さんでしたっけ? 脳内補正などと笑い話にしはしますが、「もしちゃんとした画だったら」と思うと、ガックリ腹立たしいです。大体、未沙のふくらはぎが太過ぎ。でも悪人ヅラな絵柄ながら、表現したいらしい表情や描写が分かるんですよね。話とキュンとくる絵に惚れ惚れしたTV回を思うと、本来ならどれだけ素晴らしい輝未沙やマックス&ミリアが見られたかと残念でなりません。

ゼントラさん達はオチャメで単純で明るくて、可愛いですねぇ
だから “仲間” だと思ってコロッと騙され、「助けに来たぞ~」と急いで来たのに可哀想です。しかし切り替えの早さがいいですねぇ。べらんめい口調やモンスター騎乗は、任侠物や西部劇を見た影響と思われます。イラストの姐さんの格好は、実際のつもりではなくご愛嬌です。

ラプ・ラミズの変貌ぶりに驚き、解せない
お色気女優さんに感化されてしまったのかも知れません。カムジンは姐さんを腰砕けにするなんて、人前でどんなキスしたんだか ―― ってそんな激しくなさそうなので、ラプ・ラミズが不慣れでトキメいただけか? キスしながらオイグルに鋭い目を向ける顔が男クサくて格好いいです。多分あそこで彼等は恋に落ちたのだろうと思いました。その前から気安い雰囲気ではありましたが、この後はラプ・ラミズは顔が優しくなるし、カムジンも彼女を常に気にして大事にしているらしい描写があります。彼女のように強い女性に「お前なら付いて来られる」と言うのは殺し文句ですねぇ。未沙に対しての「これが出来るのは君だけだ。頼んだぞ」みたいな。でも文化はオイグルとした方が、みんな衝撃的だったろうなぁ。

祝!! カム・ラプ文化を始め、ゼントラ場面をたくさん切らなきゃならなかったのが苦しかったです。その内、別の話でたっぷり堪能したいです。

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「人質救出大作戦!」 (拍手小噺から降ろし、別記事としてリンク)
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Re: カックンカックン・・・コキコキ 

コメント & 拍手を、ありがとうございます。両コメントまとめてレス、させて頂きますね。

ラプカム
表の三角関係の裏で、何気に進んでいたラブ・ストーリーですよね♪ この意外なカップルのSSも、いつか書きたいです。

この回迄に体験
そうか! 私は初キッスと思っておりましたが、ラプ・ラミズ「これからがイイトコ」と知っている訳ですから、既にご経験済みだったワケですね!

朝日の未沙「輝を美明から守ったったわい!(自己満足)笑み」
あはは・・! このシーンは、やっぱり面白ブラック未沙妄想を掻き立てますよね。

この頃のカイフンは、未沙の一番毛嫌いする人物像に成り果ててるのでは?
ですよね~ e-441「ふう~ぅ・・」
口だけの無責任男を、きっと未沙は軽蔑すると思います。この回のラストでカイフンと話している様子も事務的で、余りの冷めっぷりに(笑)。

輝は、必ず未沙の元へ絶対に帰還してる
輝は翼、未沙は大地。必ず羽を休められる場所があるから、自由に羽ばたけるんでよネ!

ブログ日記をご覧になる前に
ほとんど管理人の都合で挙げていると言える記事にまで、目を通して頂きありがとうございます。「柿崎が入ってたら 新三角各関係! 輝をめぐる 男女混合三角」ん?拍手小噺「親友の境界線」の事でしょうか? うふふ・・。そうそう、三角関係になります ―― ちょっと違った方向へ e-456

停滞しまくりのブログですが、また遊びにいらして下さると嬉しいです e-68

カックンカックン・・・コキコキ 

でたぁ~!こっきんこっきんカクカク
たしか ラプカムのぶっちゅ~
(*゜Q゜*)したですねぇ~ でも
ラプ姐さんの 『これからが 良いところなのに』発言ですぞ!
歴史(文化)は、暗い闇のチョメチョメ伏せます伏せます
ラプカムの二人 この回迄に 体験しちゃったよ~ん を漂うわせてりゅ~

最後の 朝日が昇る所で 未沙が輝を美明から引っぺがして送り出した 笑みは、朝日が眩しいですよ、を失敗して輝を美明から守ったったわい!(自己満足)笑み になってまうたんかな?

オマケ
この頃のカイフンってば、未沙の一番毛嫌い大っ嫌い人物像に成り果ててるのでは? 口だけの行動で、無責任の自分本意他力本願の無責任男
この時期の輝は、ナンダカンダでスッタモンダしても 必ず未沙の元へ絶対に帰還してるんだよね美明を家に泊めてても

輝には反省してもらいます ○(`^´)○「腕が鳴るぅ」 

ここでの未沙の心情が「黎明のモノローグ」です
おっしゃる通りでゴザイマス。あちらと同時進行で書きました。どちらも私としては結構力を注いだので、コメント一杯は大変に嬉しいです。ありがとうございます e-68

ミリタリー魂に触れられたようで、ニンマリです
「それなりのデキ」に出来たのかな、と。こういうテーマも実は大好きで、妄想が楽しかった部分です。輝「さっき話し合っただろ」と言ったので、「下手の横好きでもいい」と書いてみました。それに「君が指揮を執るんだから、現場のやり方ってのがあるだろうが!」「そんな言い方って。仮にも私は指揮官よ!」のやり取りを、書く事で理解したかったのです。結局分からないままで、あれはどういう意味なのでしょうね。納得できないまま書き上げにしましたが、あんな感じで不自然ではなかったでしょうか?

カムジンは優秀な戦術家
本人自身の戦闘力だけでなく、「短期・局所的な戦局では、圧倒的な破壊力を持つ指揮官」というイメージで書いています。大局を見られる司令官が上手く使えば、無敵の武器。でも一歩間違えれば、味方全体を巻き込んで全滅 ―― みたいな。戦略家としてその戦いの意味や損得などは考えられない、「とにかく俺が勝てばいい」な馬鹿な漢。戦術家としては、動物的な勘とノリで勝利をもぎ取る一級品。

輝を責めたいのではなく、未沙の気持ちを知って欲しいです。

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輝には心の底から悔い改めてもらいましょう 

に同感です。その活動のひとつがSS「すれ違う時の果てに」でゴザイマス。様々なシュチュで後悔する妄想をしたいですが、悔しい事にIFでしかそんな輝が出てこない、という幸せなヤツです。

未沙には不幸が似合う
と盛り上がっていている私は、折角お気遣いを頂いたのにスミマセン e-441 感受性が豊かなのに我慢強くて苦しみを見せないプライド・意地があり、見た目は儚そうな所が不憫にし甲斐がある。でも最終的には幸せになるという前提の元に、ですが。当ブログは当面こんな感じで、バレンタイン中も休まず可哀想な未沙を絶賛公開中です。

多分輝はナニも考えてない
かと。v-424AHAHA! ―― ふざけんなよ?e-281 輝。一応Afterで少々痛め付ける予定ですので、お楽しみに!

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