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白い薔薇によせて



いらしゃいませ。現在の閲覧者  名さま

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「SS (二次創作小説)」
空白の二年間

愛のしるし

輝は何故言葉にしないのでしょう。




 海水浴の翌日、未沙が輝の発信に応えて救援にやって来た。


「 あらあら、一緒に洗ったの? みんな砂だらけね 」


SOS「未沙ぁ~洗濯したのにザラザラしてるー!」 だ。


 砂まみれにならずに済んだ物を洗濯している間、掃除や調理をする未沙の後に輝はちょこちょこ付いて回り、それを手伝っていた。未沙は鼻歌を歌いながら、溜め込んだ輝の洗濯物を広げる。


 わーー! わーー! わーーっ!


慌ててこっそり水着のサポーターは除いていた、のだが ・・・ 。


( あ゛あ゛あ゛ ・・・  もう、いいや ・・・  )


ランドリーに入れたままだったパンツは、取り忘れたのだ。掃除や料理はしてもらっていても、この辺だけは晒さずきたのに ・・・ ぐすん


( 未沙だし )


 ランドリーの中のザラザラもなくなり、靴下や軍手は手洗いで真っ白になった。軍では支給の制服やパイロットスーツはクリーニングしてくれるが、自前である整備服や小物はしてくれないのだ。輝がカゴから洗濯物を手渡し、未沙がシワを伸ばして干す。

―― パンツは後で自分で干そうと、カゴの底に隠した。


「 パンツは? 」
「 ・・・・・・ 」
「 パ・ン・ツ 」
「 ・・・パンツ パンツ 言うな! 」
「 お出しなさい 」


未沙が出した手に輝はひるむが、カゴは引っ掴んで死守だ。


「 ハズかしいのかな~?
「 お・女が男のパンツなんか、平気で触るな! 」
「 あら、お父様のだって洗濯してたのよ? 」
 俺はお年頃だっ! ピ~ィ 


すったもんだで未沙が輝のパンツをもぎ取り、デデデーンと干す。


「 クスクス。よーく乾くわよ 」
「 ・・・ちぇ 」
「 私も本当は、外に干したいけど 」
「 盗まれるぞ 」
「 ぷっ あーあ、2階のベランダなら思いっきり干せるのに 」
「 家族用の宿舎なら、あるけどなあ 」


 そう言えばマックス&ミリアの宿舎はマンションの5階で、広いベランダがあった。輝と未沙が新居祝い&見学に行った時、とても風通しが良かったのを覚えている。


「 手が大きいのね ~ 」


輝の軍手を履き、未沙が感心したように言う。未沙の手は女性にしても結構小さいのを、輝は知っていた。


 空は青く雲はモコモコ、湿った空気が汗を誘う。清潔な香りの中で綺麗に並んだ洗濯物が夏風にはためくのを、未沙は満足そうに見上げた。


「 私、洗濯って好きよ 」






未沙が輝の作業着の襟を格好良く立てようと、指で伸ばしながら嬉しそうに言う(輝は面倒がってアイロンをかけない)。



ヤワなハートがしびれる ここちよい針のシゲキ
理由もないのに輝く それだけが愛のしるし



未沙のいる何気ない光景が、最近とても優しくて満ち足りていて ―― でもこんな風に幸せそうに笑う彼女を見ていると、胸がちょっぴり切なくもあり。

これが “甘い痛み” と言うのだろうか ・・・ ? 







「 明日からでしょ? 出掛けたりして疲れないかしら 」
「 大丈夫だよ。古巣に戻るだけだし 」
「 でも ・・・ 昨日は海で一杯動いたし 」
「 若いから。そういう未沙こそ、明日筋肉痛になるんじゃない? 」
「 まあ! 失礼しちゃうわね 」


 輝は8月1日付で、テストパイロットから治安維持パトロール隊に転属となった。以前輝が所属していた隊は、彼が不在の間に機能別・地域別に組織分化されていた。かつての仲間もみな散り散りだ。


 配属前に用意したい物があり、2人で街に出た。買い物を終えて帰宅する途中で通りかかった、新しくオープンした店の前で未沙は立ち止まる。


「 ねえ ・・・ ちょっとだけ覘いてもいいかしら? 」


家具や家電などを売り、展示場も備えた大きな店だ。北欧風に整えたショーウインドウでは、ナイトウエアに身を包みソファで寛ぐ男女のマネキンが飾られている。

2人が入っていったすぐ後、店員がのん気に 「あ~~忘れてた」 と入口に横断幕を掲げた。



HAPPY ウエディング フェア

2011 summer




「 このソファ、素敵ねえ ・・・ 」
「 うわっ、高っ! 」
「 本革だもの。ほら、座ってみて! 」


 輝が座ってボンボン跳ねると隣の未沙の体も上下し、2人でボンボンしてしまう。


「 だーめ。イタズラしないの 」
「 うーん、さすが高級品 」
「 輝なら即、昼寝ね 」
「 未沙んちにどう? 俺、寝に行くし 」
「 なあに? それ。 ・・・ でもこんないい物、ひとり暮らしじゃあね 」
「 んじゃ、いつかね 」
「 そうね 」


未沙は座ったソファーから見えたキッチン展示場に目を奪われて、上の空で返事をしつつ、誘われるようにそちらに向かって立った。


「 使いやすそうね 」
「 宿舎も一人暮らしにしては立派だけど、やっぱり広さが違うな 」
「 これなら、ホームベーカリーもガスオーブンもOKねえ ・・・ 」


 未沙はパンが好きで休日ならたまに自分で焼くのだが、平日はそうもいかない。おモチも捏ねられて、音も静かという製品に興味津々だった。オーブンは電子レンジで使用できるが、やはり実家のガスとは違うと思う。しかし宿舎暮らしでは、キッチン家電のカタログを見ながら色々思い描いて楽しむ位だ。


「 ご飯もガスで炊けるし 」
「 あー、分かる。婆ちゃんちがガスだった 」


「 美味しいのよねえ ・・・ 」 「 美味いんだよなあ ・・・ 」

「 「 日本人は、やっぱり米! 」 」


「 気が合いますねぇ、早瀬さん
「 合いますわねぇ、一条さん


2人で顔を見合わせニヤリとする。身近に外国人どころか異星人までいる状況で雑多な食文化だが、やっぱり慣れ親しんだ味が一番美味いと(ゼントラーディ人以外は)みな言う。


「 動線も効率的ねえ 」
「 “料理の鉄人” ゴッコができるな 」
「 アレ、面白かったわねえ


 興味津々であちこち開け回し、ブツブツ言っている未沙を眺める。


  料理上手の彼女は、広いキッチンでクルクル動くのだろう

    お日様好きの彼女は、青空一杯に洗濯物を干すだろう

      ゆったりしたソファで飲む彼女のお茶は、もっと美味しいだろう


未沙と結婚した男は幸せだと思う。


「 んねえ、これちょっと持って? 」
「 重い? よっと ・・・ 」
「 一緒に持つわ 」
「 そんな重くないよ? 非力だなあ 」
「 だって、女の子だも~ん 」


少し触れる肩に見せた未沙の表情が、冗談めかしていても “嬉し恥ずかし” という気持ちを伝える。

 
  真面目な彼女は、心からの愛を捧げてくれるだろう

    一途な彼女は、変わらぬ愛をいつまでも注いでくれるだろう

      優しい彼女は、真綿でくるむように愛してくれるだろう


楽しそうに・でも残念そうに展示場を眺める未沙を見ていると、輝は思う。


( いつか未沙に、全部あげたい )


 任務では冷静で気丈な女性士官、早瀬未沙少佐。しかし本当は、笑ったりスネたり可愛い物が好きな、普通の女の子だ。キレイ好きで、料理が大好きで ・・・ “結婚” に夢と憧れを持っている。

―― 今では輝も、そんな未沙の気持ちが分かっていた。


『 ずっとの傍に、いるわ 』


―― あの時、未沙はずっと自分の傍にいると言った。それはつまり “そういう事” 、だ。


輝にとってそれは当然の事のように思われた。わざわざ口に出して “好きだ” と言うまでもなく判り合える2人。それが自分と、未沙なのだと思っていた。


「 ちょっと今更 ・・・ 恥ずかしいしな 」



いつか あなたには
すべて 打ち明けよう



「 げっ! 1,800,000マクドル 」


 輝はふと見た値札にギョッとした。輝の給料はまあまあだし、貯金も少しはしている。しかし上官の未沙には及ばないし、お嬢様の彼女は質の良い物を好む。


「 モット 働カナキャ ナー (棒読み) 」
「 何か言った? 」
「 何でもありませーん 」
「 え? ハラヘッタ? さっき食べたじゃない! 」
「 どーゆー耳してんだよ!(笑) 」


周りが言うような、未沙の方が上だとかお育ちが違うとか、輝はそういう事は気にならない。自分と誰かを比べるという感覚自体、かなり薄い方だ。

ただ自分を見た時に、「それで足りているのかな?」とは思う。


  俺は、隊長として足りているのか

  俺は、人間として足りているのか

  俺は、未沙の相手として足りているのか


漠然とした思いに、まだ答えは見えていない。ただ足りていない、その事だけがハッキリと分かっていた。


「 ま、焦らずいきますか 」


この時、輝は19歳。“結婚” の意味について考えるには、ちょっぴり若すぎる輝であった。


♪愛のしるし 


『 いいか、輝。 男はな、守れる事しか約束するな 』
『 いいか、輝。 男はな、女を守るもんだ。大事にするもんだ 』
『 いいか、輝。 男はな、言い訳するな 』
『 いいか、輝。 お前は ―― 





「 ・・・ 父さん 」


いわゆる親らしい事はほとんどできなかった父親が、繰り返し語っていた言葉が甦る。口下手で口数が少ない男の言葉は、ひとつひとつが重い。

輝はベッドから起き上がると、大きく伸びをした。隊員達からの連日の洗礼は覚悟していたが、それでも体はもちろんのこと、精神的にも疲労を感じていた。

マクロスで活躍した歴戦の猛者、アポロ帰りのエリート、憧れのテストパイロット上がり…。どうやら輝は、彼等から見ればそういう存在らしい。本人にしてみれば、ただ流れに任せていただけなのだが。


「 親父のソレは聞き飽きたよ 」


頭を掻いて大あくびをしながら、ニヤリとする。


「 でも、ありがたく受け取っとく 」





早起きしてしまった輝は、出勤時間から随分早い時間であったがマクロスに向かった。いつもはプロメテウスに向かうのだが、今日は朝から会議なのだ。


「 “男は” か・・・ 」
「 一条クン。おはよ 」


未沙が後ろから輝の肩をポンとする。朝に強い彼女は 「効率よく今日の準備や事務作業できるから」 と、いつも早めに出勤する。


「 オナカがどうしたの? 」
「 また・・・。 それって、耳じゃなくて頭の方かなあ? 」
「 やあね(笑)。 ウソよ、ウソ 」


軽く掴んだ輝の二の腕に顔を伏せた未沙が、クスクスと笑う振動が伝わる。


ヤワなハートがしびれる ここちよい針のシゲキ
理由もないのに輝く それだけが愛のしるし


何でもない日常が、今日も輝かしい。


それだけでのしるし

おわり


あとがき

第二部2~3カ月前の2人でした。「書けば分かるかも」と書いてはみたが、輝が何故「好き」のひとつも言わないのか、結局よく分からん。恋愛相談とか見たんだけど、ピンと来ない。まあ、色々思う所があるんだな、ということで。 少々パーメモより抜粋(ここでは河森さん、“ちょっぴり”って言葉をよく使う。20歳ちょっとの男の人にしては可愛い言葉遣いだな、と気に入って結構使っている)。

“嬉し泣きの宝物” = “愛” は、父ちゃんからと、未沙へでした。

TVを見ると、もっと未沙はしっとりした感じですね。色々な顔を見せる … という事で。お姉さんっぽさも残したいです。本当は2人とも、TVで見るより元気な人達だと思うんだけど、私の希望かな?

どうでもいいけどウチのIMEってば、未沙(misa) を 猛者(mosa) って …。 確かにそういう所も無きにしもあらず。… あ~? おかしいのは、私の指か!


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ホントは伏せたかったんだけど。 … 自虐的?


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 Comment 

レスれす 

初拍手コメントを、ありがとうございます。他のブログ様で「BBSより拍手の方が使いやすいとの声が多かった」とあったので、試しに拍手コメも開放してみました。レス記事を上げる程の数のコメントもないので、こちらでお返しさせて頂きました。

家具屋の2人はモチロン見られております。だって狭い世の中ですも~ん。オイシイ所は外さない2人です。男の人って「好き」とか「結婚」とか、女性よりのん気構えてる気がします。私の周りにおいては、ですが。輝と未沙の、そんなギャップに萌える。基本パーメモに沿っており、恋する乙女に第二部は、やっぱり鬼畜輝と言う事になりますねえ…。これが後半は逆転して…ふへへへっ(←キモ笑い)。

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