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白い薔薇によせて



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「SS (二次創作小説)」
Macross After

ハイヒール・スプリンター

題名は以前から使いたかった言葉です。 

未沙が生き生きと格好よく仕事する場面を描きたかったので、合わせてSSにしました。




「 … んで、今日は大丈夫なんだよな。」


14:00 


移民船準備室に、輝の声が虚しく響く。 未沙のデスクの上には書類の山がうずたかく積まれており、その山から未沙がキーボードを叩く音がすごい速さでカタカタと響いていた。 

あの書類が何か、未沙はちゃんと区別がつくんだろうか … と、輝は話と全然関係のない事を考えながら、部屋の中を歩き回る。


「 この前食べた魚の西京漬け、美味かったなぁ … 。」


輝は書類の山頂で動く未沙の頭にチラリと横目を向け、聞えよがしにボヤいてみた。


カタカタカタ


甘えてみてもダメらしい … 。

書類山の谷間からサンドイッチとフレッシュオレンジジュースがのぞき、時折未沙の手が伸びる。 


     ハイヒール・スプリンター


こんな未沙は最近では日常茶飯事で、輝も己の権利獲得のために負けてはいられない。 


カタカタカタ


片手でも淀みのないその早さは、さすがだ。 


「 食べながらなんて、随分お行儀がよろしいようで。」
「 サンドイッチ伯爵ってご存知? 」
「 知らね。」
「 サンドイッチはこういう風にして食べる、ってハナシよ。」


カタカタカタ


隣の副官室から電話の呼び出し音が、ワンコール鳴らない内に途切れた。


カタ …… カタカタカタ


「 室長! 例の件、GOサインが出ました! 」
「 了解! やったわ。 やってくれると思ってたのよ!」


未沙は立ち上がり、片手を握り拳にして目を輝かせる。 輝は思わず出そうになるため息を堪えて、室長室のドアにUターンした。


( あーあ。 今日もダメだな、こりゃ … 。 )


最近、ベッドはおろか夕食も共有できていない。
未沙はデスクの山々から幾つか書類を手早く取り上げると、小脇に抱えた。 ドアに向かっていた輝の脇をすり抜け、振り向く。


「 にいまるまるじ (20:00) あなたの部屋で、待ってて?」


未沙は書類を片手に、もう片方を輝の胸板に添えて、耳元で恋の指令を囁く。 首筋に押し当てられる彼女の頬の感触が、刺激的だ。


「 ラジャ! 」


颯爽と飛び出していく未沙の背へニマリと敬礼しながら、輝は思う。


― 未沙は、いつも前に向かって進んでる





20:05


勤務を終えた輝は、帰宅途中で購入した総菜をテーブルに並べる。 このところ未沙はすこぶる忙しかったのだ。

ドアチャイムが鳴り、未沙が飛び込んできた。 息が弾んでいる。


「 ごめんなさい。 遅くなっちゃったわ。」


手洗いを済ませた未沙は、手早くひと品を作り配膳する。 走り回る等全くなく、その動きは決して忙しいものではない。 しかし、ごく短時間でやってのけるのだ。 
輝は彼女の周りは、時間の流れが違うのではないかと時々思う。

久々に未沙と夕餉を食べられて、輝の心は腹八分目 … いや、六分目か?   買ってきた総菜も、彼女となら美味しい。 


「 政治の利権絡みで、軍が表に立つわけにもいかないの ― 」 


極秘裏に進めていた、或る企業をメガロードで一括買収する件が今日上手くいったらしく、未沙は上機嫌だ。 決定したから、あなたには言うけれど … 、と件の経緯を話す彼女は、まるでゲームの攻略法を明かすかのように瞳をキラキラさせている。


( 全く、自分の婚約者のことも少しは構って欲しいモンだ。 )


― 未沙の瞳は、いつも明日を見詰めている





21:30


「 今夜は、 … 泊っていってくれるんだろ? 」
「 そのつもりで一旦家に寄って、用意してきたの … 。」


腕の中で上目遣いをする未沙の甘さに、輝はクラクラした。





7:10


      ボリボリ     ポリポリ


輝の朝の友、ぬか漬けとねこマンマを2人で食す。 
朝餉は未沙が身支度を整えている間に、輝が用意した。 
彼女は初めて朝食のメニューを見た時には驚いたが、もう慣れてしまったようだ。


「 ぬか漬け作ってたんだ。」
「 野菜を洗って入れるだけだもの。」

( そんな時間があるなら、キスのひとつもできるのに。 )


昨夜満腹にさせてもらったハズだが、輝は大食漢らしい。





7:50


「 ほい、未沙。」
「 アリガト。 私のバリスタさん。」


輝が投げ渡した保温タンブラーを、未沙は華麗にキャッチする。 
輝は未沙と出勤を迎える朝は、必ずコーヒーを手落としして彼女に持たせるのだ。



     ハイヒール・スプリンター



某有名コーヒー店のタンブラーは未沙お勧めで、保温性・扱いやすさ・軽量化に優れた逸品だ。 

味気ないステンレスの表面に、未沙がマニキュアで描いているのは  


   “ HIKARU.I  ”  と  “ MISA.H  ”   


そう遠くない日に未沙の “ H ” は除光液で消して “ I ” と改めるのだ、と彼女は嬉し恥ずかしそうに言っていた。





「 ただ今、はちまるまるじ ( 8:00 ) 。
一条・早瀬の両選手がスタートラインに立ちまーす。」
「 ふふふ。 今日 “ も ” 負けなくてよ。」


未沙は基地に向かって、“ よーい ドン! ” の構えをとって見せる。 輝は逆の方向を向いて自転車に跨り、サイクリング用メットを被った。 


「 んーと、今んトコ俺の4戦0勝。」 
「 そういうの、4戦4敗って言うのよ?」
「 はいはい。 コリャ、今日は落とせないな。」



         Lady ― Go!!



輝と未沙が、同時に走り出す。 未沙は朝日の中へ、ハイヒールを鳴らしながら溶けていった。 





輝はいつも基地へ大周りする。 下り坂で一気に加速し風を抜ける。 

途中の大橋で昇る太陽を眺めながら、自分用に持参したタンブラーをひとくち口にした。


― 俺の彼女は、いつだって未来に向かって走ってる


今頃彼女も室長室で、同じコーヒーを飲んでいるのだろうか。 

飲む時、飲む場所が違っていても、いつだって一緒のコーヒーを未沙と分け合って味わいたい。


― 俺の未沙は、ハイヒール・スプリンターだ


「 只今、はちにいまるじ ( 8:20 ) 輝少佐、行っきまーす!」


輝は再び基地へと、自転車を駆けるためにペダルを踏み込んだ。



                                  おわり


あとがき


息の合った彼と彼女を、軽快に描いてみました。 爽やか形でまとめたつもりでしたが、いかがだったでしょうか。

輝ってば一週間で辛抱タマランって、どんだけ~?
相変わらず私を無視して、勝手にイチャコラこいております。
 
奥さん前は 「 俺の彼女 」 「 俺の未沙 」 で、責めてみました。

保温タンブラーは、私は実際には使用していないので、性能等は想像です。



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 Comment 

Re: 「息の会ったふたりいいですね」様 

息がピッタリ合った、良い夫婦
ありがとうございます。或る時は「しっかり美人奥さんと、やんちゃ甘えんぼ夫」。また或る時には「可憐乙女と、大らかどっしり旦那」 そんなカップルだと、楽しいかなと思って描いております。

未沙の甘さに、クラクラ
可愛くて、色っぽいでしょうねぇ e-449 私も辛抱タマランです。

輝は同僚・後輩から冷やかされる
そう言えば、そうですね。でもこの時点の彼は結構どっしり構えられて、もうアタフタはしないだろうと思います。

過去SSを読んで頂き、感想まで下さり、ありがとうございます。嬉しいです。 e-68「では~」

息の会ったふたりいいですね 

 甘えん坊の輝と出来るキャリア女性の未沙かと思えば、最後は、一緒に高い目標に向かってかけていく。

 いいお話ですね。

 息がピッタリ合った、良い夫婦になれますよね。
 未沙の甘さにくまおもクラクラします。
 
 ダンブラにマニュキアで書かれ、輝は同僚・後輩から冷やかされるんでしょうね。これもまた一興かと思います。

 軽快な動きのあるSSありがとうございました。
 
 過去のSSにも顔を出してすいません。
 読み手も好きなので、楽しく拝読させていただいております。
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