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白い薔薇によせて



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「SS (二次創作小説)」
超時空要塞マクロス 第二部

第29話 Lonely Song

各地で続発する暴動は、ついにマクロス・シティまで飛び火し、拡大の様相を呈していた。

そんな折、エキセドルによってもたらされた地球人とゼントラーディ人に関する調査結果は、恐るべき未来を暗示していた。



アルバムのことで、輝が未沙に言いかけた 「誤解しないで欲しいけど…、」 の続きが気になり、想像してみました。

登場人物たちの設定なども、織り交ぜてみました。





ひび割れた大地、 不毛の地 。


ゼントラーディ人兵士が1人、荒野に突き刺さった機体に寄り掛かって、膝を抱えていた。  両手で何かを大事に守っているようだ。 

彼女は一人、 歌い、 踊る … 。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――
楽しんで下さっていた方、ごめんなさい

TV版 より 「ミンメイ人形を手に持つゼントラーディ兵」



乾いた風が他に誰ひとりいない地表をなめ、 雲の流れが速い。

彼らの想いとは裏腹に、ある一つの方向に向かって、事態は急展開を見せ始めていた。





作業場にいた複数のゼントラーディ人の中で、一人の男が仲間を振り切って出て行こうとしていた。

「うるせえ! 放っといていてくれ。こんな馬鹿馬鹿しいこと、もう止めた。 この~っ!」

この頃になると、地球の生活になじめず、生きる術が分からぬまま不満を抱いたゼントラーディ人が、日増しに増え続けていた。





ミンメイはレストランのステージ控室に向かって歩きながら、先程のディナーショーを思い起こしていた。あんなに観客が少ないのは初めてのことだ。愕然として歌い出せなかったばかりか、その後も散々な出来だと自分でも判っている。
まばらな観客の拍手がショックだった。


そんな気持ちを抱えたまま控室に入ったミンメイを、壁に寄り掛かって腕を組んだカイフンが待ち構えていた。
彼が開口一番に言う。

「ひどい出来だったね…。こんなことじゃ、明日のチャリティ・コンサート、心配だな。」
「ごめんね。明日はしっかり歌うわ。今日はお客さんがあんまり少なかったんで、始め戸惑っちゃった。」
「高級レストランだ。仕方ないさ。」
「私のステージギャラ、もっと安くしてあげれば良かったんじゃない?」
「金のある奴らはもらえばいいさ。そのぶん恵まれない連中に分けてあげているんだからなあ。明日のチャリティ・コンサートだって、売り上げの大半は寄付するんだ。」
「ねえ、ねえ。いっそのこと、全部寄付しちゃったら?」

 ― まただ。 彼女は全然分かっていない。

「これだからな!僕らはプロなんだ。歌ってお金をもらうことは当たり前のことなんだよ。」
「お金なら、十分な程あるじゃない。」

カイフンは呆れた態度を抑えた。
ミンメイの両肩に手を置き、膝をついて見上げながら諭す。

「夢の実現までにはまだ足りないさ。大きなコンサート・ホールを2人で建てようって、約束したじゃないか。 …さあ、早く化粧を落として。景気づけになにか美味い物でも食べに行こう、なっ?」

カイフンは笑顔を作って、努めて優しく言う。しかしミンメイは同意しながらも、表情は冴えなかった。


「私…、何のために歌ってるんだか、分からなくって来きちゃった。」

控室から出ようとしたカイフンは、ミンメイの言葉に足を止めて振り返る。

「馬鹿なこと言ってるなよ! 車は裏口に回すから。」


もうイライラしていることも隠さずに、一言で話を切って出て行ってしまった。ミンメイはそんな彼の態度に一瞬ハッとするが、すぐに諦めたように眼を伏せる。彼は以前ほどミンメイの気持ちを聞いてくれなくなっていた。
カイフンとは夢を合言葉に、共に歩んできたはずだったが … 。

最近はその夢も自分のものと思えず、 空虚に感じてしまう。





カイフンが巡業用に購入した高級車で、2人は夜の街中を走る。

「何が食べたい?」
「 … 私、 “娘々” に行ってみたい。 
       巡業続きで、少しも帰ってないんだもん。」
「親父達の店に? … 俺は行かないよ。」
「だったら、私一人でも行く!」

ミンメイは、カイフンが最近何かと理由をつけて、マクロス・シティに行くのを避けていることに気が付いていた。更にスピードを上げた彼に、彼女を行かせる気がないことが分る。


ミンメイは、走行中の車のドアを開けて飛び降りようとした。
カイフンは驚いて彼女を止めようとし、蛇行した車は何とか他の車を避けて停車する。

カイフンはハンドルに突っ伏し、大きく息を吐いた。

「 … ごめんなさい。 だけど私、一人でも行くわ。」
「行くって…、 どうやって。」
「何とかするわ。明日のコンサートには、必ず間にあうように帰って来る。」

ミンメイは再び車を降りかかり、カイフンはあきらめた。

 ― 彼女はいつもこうなのだ。

具体的な手段を考えないままに、気持ちだけで行動してしまう。
カイフンはそんな彼女が心配だし、結局はミンメイに甘い彼は、いつもそれを助けてしまうのだった。

子供の頃からの付き合いで、そんなカイフンにミンメイも甘え狎れていた。

「分かった。送って行くよ。 … ただし、街の入口までだよ。」
「カイフン兄さん!」
「親父に会ったら、よろしく言っておいてくれ。」





マクロス・シティの新統合軍司令センター研究室に、グローバル総司令と、輝、未沙、クローディアが入って来る。
もうすっかりマイクローン生活に慣れ親しんでいる、所長のエキセドルと研究所員達が迎えた。

所員らは研究意欲の高い、マイクローン化したゼントラーディ人と地球人で構成されている。エキセドルをトップとした、研究に誇りを持つ新統合軍切っての知識人集団だった。
    

「あまり、好ましからざるご報告のようですな。」
「一応、我々スタッフで結論を出しましたので、はい。」



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 より 「少し険しい顔で皆に向かって話すエキセドル」



輝は、にわかに緊張した。
エキセドルは、データーを次々と示しながら説明していく。


「以上のようなデータにより、我々の結論は、地球人とゼントラーディ人は元をたどればほとんど同じ種族に他ならないということです。地球人と我々は、プロトカルチャーの子孫であることにほぼ間違いありません。各種データを調べ、ルーツを探すと、共通部分が次々と見出されました。

その中でも、とりわけ共通指数の高い物があります。」

一同に緊張感が走る。エキセドルは彼らを見回して、一瞬ためらいを見せたが、意を決して言い切った。

「ともに好んで戦争をするという点です。」

グローバルが目を伏せ耐えるように呻く…。
輝はたまらずに口を挟んだ。

「それは違うと思います。 … 少なくとも地球の人間は好んで戦争をしているわけではありません。襲いかかる敵から身を守るために否応なく戦いを… 」

研究所員の一人が遮って、当然のような口調で反論する。

「それは理屈だ。宇宙からの侵略がある以前でも、地球では有史以来、地球人同士の戦争が絶え間なく続けられてきたではないか。常に地球ではどこかしらで戦争があった。
― 地球人は明らかに好戦的な種族なのだ。」
「それは…、データや数字だけによるこじつけだと思います。」
「数字は嘘をつかない。」

2人で立ち上がって言い合いになりかけた時、エキセドルが仲裁を入れた。

「待ちたまえ。今日は今までのデータの分析結果の報告だ。私見を挟まんで欲しい。とにかく、ほとんど同じ種族がどのような経過を経て、地球とゼントラーディ人のように分かれていったか。それが今後の研究課題になると思いますな。」
「うむ、確かにな。…今後の我々の生活の仕方いかんでは、どのような未来が築かれていくか、分からんからな。」

グローバルの言葉に未沙が顔を伏せる横で、輝は前を見据える。

(どんなことがあったって、地球人はゼントラーディ人のようになんか、なるもんか!)

輝は目を上げ、決意を固めた。





マクロス・シティの 中華料理店 “娘々” に、ミンメイが明るく帰って来た。叔母と町会長夫婦が驚きつつ笑顔で迎える。

「ただいま!叔母さん!」
「ミンメイ!よく来てくれたわねえ。」

叔母がミンメイに駆け寄った。
カイフン程の大きな息子がいるようには見えないくらい、若々しく美しい叔母。いつもミンメイを喜んで歓迎してくれる。昔少しだけモデルをしていたという彼女は、ミンメイが歌手を志すきっかけともなった、憧れの女性でもあった。


「町会長さん、お仕事どう?」
「あはあ、おかげさんで儲かってまっせ。」

よく近所の人達と呑みに来る町会長夫婦は、SDF-1が落下して間もない頃に南アタリア島へ移住してきた。近所で同時期に商売を始めたカイフン一家とは、共に町を発展させてきた旧知の仲だった。
ミンメイも小さい頃から遊びに来ては、可愛がってもらっていた。

しかし、会った当初から頭とヒゲは変わっていないのようなのは、気のせいだろうか…?

叔父が奥から出て来て、嬉しそうに挨拶する。この叔父も明るく、温かみがありミンメイは大好きだった。芸能人だった叔母とどんなロマンスがあったのか…。

ミンメイはいつも叔母にせがんで昔話を聞いては、まだ知らぬ初恋を夢見ていたものだ。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 より 「ミンメイの叔父と叔母」



「お帰りなあ!」
「叔父さん、今夜ひと晩、お世話になりに来ちゃった。」
「何ぃ言うてる!ここはな、ミンメイの家だ。」
「…ありがとう。」

叔父の優しい言葉が嬉しくて、ミンメイの笑顔が抜け落ちる。
そんなミンメイに、町会長が景気良く話し出した。

「嬉しいやないかいな。有名人になってもミンメイちゃんは昔とちっとも変らんなあ!」
「やだあ、それじゃ私が、ちっとも成長してないみたいじゃないの。」
「あ、そういうことになるかいな。」

従業員や客も含まれた一同に囲まれるミンメイを、賑やかな笑い声が包む。


ミンメイはここに来ると、今でもただの中華料理屋の看板娘に戻った気がするのだ。





夜11時を過ぎてもなお、久し振りのミンメイの帰宅を祝って近所の人々が宴会をしている。
明るいみんなの歌声の中を、ミンメイは一人思いつめたように瞳を揺らしながら、2階にある自分の部屋のドアを見つめた。

中に入り、久し振りの部屋を見回してベッドに腰を降ろすと、一層沈んだ顔をして彼女は両手で自分の頭を抱えた。

( 私、一体何のために歌っているのかしら?  … 輝? )

ミンメイはハッとして、補修された天井の隅を見上げる。初めてのバルキリーを操縦できず、ここに突っ込んできた少年 …。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 第1話 より 「娘々 - にゃんにゃん - の前に立つ輝のバトロイド」



「 輝 …。」

ミンメイは立ち上がり、引き出しを開けて紫色のケースを取り出す。輝からもらったチタニウム章が変わらぬ輝きを見せた。

 … ミンメイ! 

輝の呼び掛けが聞こえた気がして、ミンメイは窓に目を向ける。
目に浮かぶのは、16歳の誕生日の自分と、この前会った時よりもずっと子供っぽい輝。

「ミンメイ、いるかい?」
「輝 …? 輝なの?」
「ミンメイ、今日はごめん!」
「仕方ないわよ、輝は軍人なんだもん。」
「それで、君の誕生日のプレゼントなんだけど、 … これっ!」

輝はチタニウム章のケースを投げた。ミンメイは上手にキャッチして開ける。

「うわあ!キレイなんだ。 これ、ホントにくれるの?」
「うん。」

ミンメイはチタニウム章を見つめた。


「 ミンメイ!」

ふと、輝の声を聴いた気がして、駆け寄って窓を開ける。

「 輝!」

外にはひとっこ一人いず、真っ暗な商店街を寂しく街灯が照らすばかり…。


―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 第6話 より 「噴水の前で腕を組む輝とミンメイ」


ミンメイは、涙ぐんでチタニウム章を握りしめた。





朝靄が立ち込める早朝、クリーニング屋の前に1台の車が停まる。

亡命してきたブルーウインドウの3人組は、町会長の斡旋で商店街のクリーニング店で働いていた。朝が早く、熱い中で作業するこの仕事は、地球人ではなり手が少なかった。
しかしやっと定職にありつけた3人は、一生懸命に働いたのだ。

人の優しさも、働く喜びも、この仕事が教えてくれた。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 より 「ワレラ・ロリー・コンダの3人組」



コンダがロリーに向かって興奮して話し出す。

「お~い、ニュースニュース! ミンメイちゃんが、娘々に帰って来てるんだって。」
「ほんとかよ!」
「ああ。町会長さんとこで聞いたんだ。」
「だって、ミンメイちゃん、今日はストーン・シティでコンサートのはずだろう。」
「朝はやく発てば、十分間に合うさ。」
「ちっきしょう! 知ってれば娘々へ飯食いに行ったのになあ。」

ロリーは指を鳴らしてくやしがり、ポケットから手帳を取り出した。

「こいつにはプライベート・スケジュールは書いてないもんなあ。」

手帳には事細かにミンメイのスケジュールが書きこまれ、ブロマイドが挟んである。今でも彼らは、熱烈なミンメイファンなのだ。
仕事そっちのけでコンダと話すロリーに、ワレラが注意した。

「おい、ロリー。俺たちはいい加減な芸能レポーターじゃない。
ま・じ・め・な  “洗濯屋さん”  なんだ! さっさと仕事しろ。  
はっ…、 ミ、ミンメイちゃん!」


ミンメイが前方から歩いて来て、3人を見つけ笑顔で手を挙げる。3人は大喜びで駆け寄った。

「「「ミンメイちゃん!」」」

ワレラが持っていた洗濯物を差し出す。

「ミンメイちゃん、こ、これにサインして!」
「ワレラ、それはお客さんの…。」
「別のを買って返しゃいいだろう。」

「「よ~し、俺も!」」

「ちょっと待て!」

「俺が先だ!」「 俺だ!」「俺だったら!」
「あははは。」

ミンメイは、相変わらず楽しい3人の仲の良さ? に明るい笑い声を上げた。





同じ頃、商店街で2人のゼントラーディ人が暴れ始め、トラックや街灯を破壊していた。手には大きな袋を持っている。

丁度自宅の前だった町会長が、宥めようと家を飛び出した。

「ああ、はあ…。そんな、無茶したらあかんがなぁ。 あんた!」
「だったら黙って行かせてくれ!」
「そんなこと言うたかて…!」

夫の身を案じた町会長夫人が、電話で通報する。

「はい、はい、そうなんです。ゼントラーディ人が急に暴れ出しまして…。えぇえ、食料やら何やら無理矢理奪って行こうとしてるんです。 あっ、ああぁ~!」

町会長夫人がゼントラーディ人に首を掴まれて、無理矢理に外へ引きずり出された。

「こいつ、どこに連絡してたんだ!」
「ああ、お前~!」

町会長は、愛する妻を助けようと駆け寄った。夫人は泣きながら夫の腕に縋りつく。そんな愛し合う夫婦に、2人のゼントラーディ人が迫った。





輝は近くをジョギングしていた。最近の輝の、早朝の習慣だ。
仕上げに少しスピードを上げて走り、呼吸が乱れる。


輝が未沙の前を通り過ぎ、互いに気が付いた。

「あ~! 早瀬少佐。」
「お・は・よ!」
「どうしたんだい、こんなに早くに。」
「ううん、何だか心配で。」
「何が?」
「街の中…。」
「へええ、少佐も。」
「あら、あなたも?」
「なまじっかパトロール部隊なんかに勤めていると、つい取り越し苦労をしちゃう。 まあ、ジョギングを兼ねてるんだけどね。」
「この頃の街、何とはなしに不穏な感じだもの。」
「…うん。」

最近未沙も早朝の空気を吸うための散歩と兼ねて、街中の様子を見に出歩いていた。

輝はジョギング後のクーリングで歩き始め、2人は連れだって進む。

「大きな暴動でも起きなきゃいいけど。」
「そうね。」


その時、角を曲がったミンメイが2人の後方に出た。
輝と未沙を見掛け、ハッとする。

「ああ、少佐の写真、整理してアルバムに貼ったよ。」
「そう…。」

その輝の言葉に、ミンメイはひどく驚いた。


「誤解しないで欲しいけど…、」

「ミンメイにまだ未練があってアルバムを見ていたわけではない」
輝は未沙に言おうとして、振り返った。途端にミンメイを見つけ、声を上げる。しかし、彼女は2人に声も掛けず、それどころか逃げ出した。涙を浮かべたミンメイにびっくりした輝が、慌てて彼女を呼びながら追いかける。未沙も、駆け出した輝の後を追った。


しかし輝は角を曲がった所でミンメイを見失しなった。 その時、

「うるせい!」

ビルの向こうで、1人のゼントラーディ人がもう1人を殴り倒していた。 輝と未沙が止めようと、現場に向かって駆け出す。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 第29話 より 「トレーニングウェアの輝とオレンジ色セーターの未沙」



傍では町会長がオロオロしながら、ゼントラーディ人が止めに入った仲間を殴り続けるのを見ていた。

「止めないか!」
「ああ、輝ちゃん!」
「ど、どうしたんですか?」
「いやあ、それがな。」

ゼントラーディ人が馬乗りになった相手を抑え込みながら言う。

「俺、もう仕事に飽きた。」
「不満があるなら聞くいうてまっしゃいかいな。」
「話すこと、何もない!」
「ああ~、乱暴したらどもならんがな、もう…。」


その時、上空からトマホーク隊が4機接近して来た。ゼントラーディ人らに、抵抗すれば射殺すると警告する。
挟み打ちに戦くゼントラーディ人達との間に、輝がすかさず入った。

「待て、ダン中尉!」
「一条大尉。」
「やつらは武器を持っていない!」


輝はゼントラーディ人2人に向かい呼びかけた。

「話を聞きたい。君達が住みにくいことは百も承知だ。不満は、軍政府が聞こう!」
「おい、お前ら。本当に俺達のこと、考えてくれてるのなら、今すぐゼントラーディの部隊に、帰してくれ!」
「そ、それは…。」

輝が返答に詰まると、2人は詰め寄って来た。

「お、俺、戦争がしたいんだ。」
「できるのかよう!」
「はっきりしろよ!」
「戦争させてくれよ!」
「おい、何とか言えよ!」

2人にまくしたてられ、輝は答えざるを得なかった。

「ゼントラーディ人が地球を襲わないという保証はない。
 … 今は無理だ!」
「けっ、できないんだったら、 “おためごかし” に話し合おうなんて言うんじゃねえ!」

輝は1人に指先で撥ね飛ばされ、後方にふっ飛んで激突した。
未沙が驚いて駆け寄ろうとする。ダンが「撃ちかた用意!」と、照準を2人のゼントラーディ人に合わせた。

彼らに向けられた銃口が光り、2人は怯えた。
輝は痛みをこらえてうめきながらも、起き上がる。割って入って両手を広げ、自らの体で2人をかばった。

「うう …、や、止めろ!  撃つんじゃない!」


輝とゼントラーディ人は見つめ合う。
2人の間に、通じ合う気持ちと、決して相容れない想いとが交差する…。輝の口から流れる血に、相手は瞳を揺らしつつ、口を噛んで踵を返した。

「あばよ …。」

背を向ける2人は、何も持たずに町を出て行こうとする。
止めに入ったゼントラーディ人が、背後から声を掛けた。

「お前ら、後悔するぞ。一度は文化を、素晴らしいと思って来たんじゃないか! リン・ミンメイの歌に、カンドして来たんじゃないか!  … 何故頑張らんのだ!」

背を向けていたゼントラーディ人は一旦立ち止まるが、再び歩き始めた。

「今日まで努力して来たんじゃないか。 … これからじゃないか!」

必死の仲間の説得にですら、去って行った彼ら …。
輝と未沙と町会長は、その背を見送った。

「生活になじめないゼントラーディ人は、これからも増えるな。」
「飛び出して、… これからどうなるのかしら。」
「飢えで死ぬか、あるいは人の物を強奪するか。 どっちかやろなあ…。」


物影から様子を見ていたミンメイは、泣きながら走り去った。
輝は気配を感じた気がして、背後を振り返ったが、すでに立ち去った後だった。


砂埃をあげて吹きすさぶ風と、街の影を落とす水路が、これからの波乱を予感しているようだった。





氷に閉じこめられたゼントラーディ軍の戦艦で、カムジンがゲラオから報告を受けていた。

彼は大戦でボドルザーに対抗したものの、終結後すぐに地球人と相容れない者たちを引き連れ、行方をくらましていた。そして地球人から得た技術を用い、着々と軍備を整えていたのである。

どこから噂を聞きつけて来たのか、そんなカムジンの所には地球に馴染めないゼントラーディ人達が身を寄せるようになっていた。

「なに? またはぐれ者が出ただと?」
「はっ。情報によれば各地の街から不平分子が続々とあぶれ出て、その数およそ1万以上かと。」
「面白れえ。2年もの間、こんなひでえ所でジッと待った甲斐があったってもんだぜ。なあ!」

傍にいたラプ・ラミズとオイグルに目配せすると、彼女らも力強く頷く。それに力を得て、カムジンは更に目を輝かせて言った。

「文化なんてモンにみんな浮かれやがって!どうせ一時的な熱狂に過ぎねえ。そう俺は思ってたんだ。」
「その通りで。」

ラプ・ラミズが立ち上がり、拳を作って意気揚々と言う。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 より 「握りこぶしを作り、強い目で見据えるラプ・ラミズ」



「やれる!このままで行けば、今に地球のヤツ等をアッと言わせる組織作りができる!」
「ああ、その通りだ。」

カムジンはラプ・ラミズと頷き合った。


カムジンは艦橋から見下して、たむろしている大勢の兵士達に威勢よく声を掛けた。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 より 「勢い付いて指差しポーズのカムジン」

  

「おい、野郎ども!街のあぶれた連中をみんな連れて来い!」

『へいっ!』

「もうコソコソすることはねえ。大っぴらに動き回れ。マイクローンなったヤツ等に教えてやれ。このカムジン様の所に来れば、必ず元通りにしてやるってな!」

『おお! 血がたぎるぞ! 』

凍てついた戦艦の中で、熱いカムジン一派の雄叫びが響いた。





ストーン・シティのコンサート会場で、カイフンは時計を見ていた。
観客席はまばらだ。主催者が心配気に話しかけてくる。

「カイフンさーん!ミンメイはまだかね。本番まであと10分なんですよ!」
「ミンメイは来ます! あの子は仕事を放り出すようなことはしない 」
「そりゃそうでしょうけどね、30分前までには入ってくれなくっちゃあ 」
「あなたねえ、客をこれしか呼べないで、よく主催者面できますね 」

相変わらずカイフンの言い方は手厳しく、主催者は怒りに目を細めた。険悪な雰囲気になった時、スタッフがミンメイの到着を告げた。


カイフンは安堵の息をもらし、走って控室に入る。

「遅いじゃないか。」
「ごめんなさい。」
「客が思ったより少なくてな。」
「そう。」
「最低だ。」
「お客さんの数なんて、関係ないわ。」

メイクを済ませ立ち上がったミンメイの目は、決意に満ちていた。

「私、もう一度歌い直してみたいの。」
「えっ!?」
「私自身のために、私の歌を。」

ミンメイが迷いのない足取りで部屋から出て行くのを、カイフンは振り返って見送る。

カイフンは今の言葉を繰り返し、彼女の真意を考えた。

「私自身のために。… 私の歌を。」





ライトの光が満ちる中、いつもに比べてまばらながらも、彼女に歓声と拍手が捧げられる。

しかし輝く舞台の上で、ミンメイは不安を湛えた表情を隠しきれなかった。


ミンメイは一人、 歌う。  ― “愛は流れる”  を。



         時が流れる  愛が流れる

        わたしの前を  悲しい顔して







そして、ここでも新たな戦いが始まろうとしていた。


輝と未沙、マックスとミリアが総指令室に入ると、グローバルとエキセドルが待っていた。

「これから話すことは極秘の計画だ。外部には漏らさんで欲しい。」

『イエッサー。』

「昨夜ついに、ゼントラーディの自動宇宙船製造工場衛星を発見しました。この衛星には、全て自動で宇宙戦艦を建造する機能があります。」
「そのシステムを、君達の手で奪い取って来て欲しいのだ。」

『 えっ!』

4人に動揺が走り、互いに顔を見合わせる。

「ゼントラーディ軍がいつまた攻めて来るやもしれん。防衛のためには少しでも多くの戦艦を確保せねばならんのだ!
… 分かって欲しい。」



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

TV版 より 「前方を見詰めるグローバル」

        

グローバルの苦渋に満ちた声。エキセドルの慚愧に堪えない表情…。 

輝達は決意を固めて、力強く頷いた。





地球のどこか忘れ去られた一角、 ひび割れた荒れ地。


兵士の骸が一人、横たわっていた。
最後の瞬間まで握っていたのであろう、ミンメイ人形 … 。 
朽ちて落ちた手の平の上で、ひとり夜空を眺めている。



         あなたはきっと 帰ってくるわ
        戦をやめて 生きるために

        時は流れる 愛は流れる
        朽ち果てる まえには …




彼の魂は、何処へ還っていったのだろう。 
穏やかな月明かりの中、静かな波音が響く。


数々の想いをのせて、再び新たな戦いの足音が近づいていた。



―― 画像を掲載していましたが、削除しました ――

カバー?より 「ミンメイを取り巻き思い思いの表情を見せるキャラ達」

     

                                   終わり


つぶやき

輝のミンメイ電波アンテナは、高性能らしい。

グローバルに対し『イエッサー』。 初めて軍人っぽいと思った。

ミンメイ人形を手にしたゼントラーディ人兵士が、印象的。 
何を訴えてるのか気になった。



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