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「SS (二次創作小説)」
空白の二年間

神無月会議

 アポロ編における神無月SSとほぼ同時期の、地球主脳陣sideです。ちっともキュンでもラブくも無い、輝未沙も名前のみ登場のお話。

 Pメモの年表によると人類移民計画案の検討が始まったのは2011年9月とありますが、実際はそれよりずっと以前から中枢では動いていた ―― という設定です。


Nupetiet-VergnitzsⅤⅥⅢⅠ


 月面アポロ基地の地下に、巨大な戦艦が鎮座していた ―― かつてゼントラーディ軍第118基幹艦隊所属 第67グリマル級分岐艦隊 旗艦として勇名を馳せた、Nupetiet-Vernitzs ⅤⅥⅢⅠノプティ・バガニス5631。大戦の傷を完全に修復し、新たな機能も備えた戦艦は、地球の守護神として再び宇宙そら羽ばたく日を間近にしていた。

2012.10.9 UP


 新・統合軍 宇宙艦隊司令となったブリタイ・クリダニクが搭乗する艦の、ある一角。「ちょっとした定期的な顔合わせ」らしいこの会合には、地球人 - ゼントラーディ人、両陣営から選りすぐりの者達が出席していた。

 最後の1人の着席を機に、本会議の主催者であるグローバルが開始を告げる。

「 みなさん。本日はお集まり頂き、ありがとうございます 」

 クローディア・ラサール総司令主席補佐官はそれを合図に、出席者らに数枚の紙を束ねた物を配る。グローバルは全員に行き渡ったのを確認してから、簡潔に前置きした。

「 今からご説明する事は、決して口外なさらないで頂きたい。地球人とゼントラーディ人の未来に関わる事です 」


 新統合宇宙政府 初代最高責任者と新総合軍 総司令を兼任するグローバルの話は、出席者達を唸らせる内容であった。いつゼントラーディ軍が攻めてくるやも知れぬ現状は、誰もが恐れていた事だ。しかし地球が星としての生命を衰退させつつあり、突然命費える可能性がある未来までは予想外であった。

「 私達は薄氷の上で暮らしているのです。だがその事を公にはできない。死と隣り合わせに生きてゆける程、人は強くはないのです 」


 一度は滅亡を覚悟した地球人側の代表らが呆然とするのに対し、ゼントラーディ人側は特に感慨もなく事実を受け止めた。

 グローバルは皆の驚愕が去るのを待った後、宇宙移民計画(銀河播種計画)の構想を告げる。

「 可能な限り早く、可能な限り多くの星へ。私達は往かねばならない 」
「 しかし移民となると、多数の一般市民を守りながら長期に宇宙を航行するのでは? いくらマクロスで経験があると言っても、期間も規模も格段に違う 」
「 それは儂らにも言えるな。確かに宇宙航行に慣れてはいるが、上の指示と支援の上でだ 」
「 移民船を造る技術も、万一ゼントラーディ軍に発見された時に守る術も。残念ながら我々には無いのです 」
「 それについては、開発主任よりご説明致します 」


 グローバルが出席者らの不安に応え、かつてマクロスで技師長として活躍した開発主任に目指した。彼は立ち上がると、大戦以降の研究成果を簡潔に説明する。地球に残ったゼントラーディ艦を分析し、大宇宙への長期に及ぶ旅路と危険に備えた数々の技術が発展 ・ 確立されていた。

「 しかし人類が生きてゆける星となると、相当の長距離移動が必要ですぞ? 」
「 フォールドの原理は、ほぼ解明できました 」
「 それ故に私は、移民が実現可能と判断した次第です 」
「 ほう、それは素晴らしい! して、どなたがそのような偉業を? 」
「 偉業とはお恥ずかしいですが、私です 」
「 彼はトランス・フォーメーションによる主砲発射や、時空連続帯のひずみを利用したバリア・システム等の開発者です 」
「 ははは・・。そうか。あなたの生み出した技術に、かつて我々は翻弄されたものだ 」

 ブリタイは幾つもの戦地を共に渡った記録参謀と顔を見合わせ、この場にそぐわない笑いを漏らした。彼等がどう考えても理由が思い付かなかった、数々のマクロスの奇策。その実情を戦後に知った時。追い詰められてしたマクロスの無謀と偶然を、大真面目に分析していた自分達の滑稽さを思い出したのだ。

 エキセドル・フォルモは今や新・統合政府に欠かせない情報源兼分析者、研究室長、指南役となっていた。


「 この計画は、今後3つの柱で進めてゆきます。これだけの大きな計画ですが、実行に急を要する。皆さん、心して取り組んで頂きたい 」

 3つの柱のひとつは、人。軍の再編も終わり、最低限の地球防衛体制がとられた。今後は移民船の乗組員となる人数を確保し、任務に耐えうる人材を育成しなくてはならない。また文化の担い手も増やさねばならず、特に戦後の物資不足により手が回らなかった、芸術分野の保護をしてゆく必要があった。

 次は技術。SDF-2はメガ・ロードと名を改め、建造が再開された。既にグローバルの指示で極秘裏に、居住を目的とした移民船に仕様変更している。その設計に際し、軍のノウハウだけでは不足であるのが明らかになった。それ故に今までの軍主導を改め、民間の力も活用する事にした。今後は民間が主体性を発揮できる仕組みや競争原理も働かせ、様々な方面で伸ばしてゆく。その中で単に技術の素晴らしさだけでなく、移民計画を真に理解できる企業を選び、計画に参加させるのだ。

 最後に思想。ゼントラーディ人だけでなく文化に爛れた地球人の倫理観を育て、共生の意識を高める。


「 ―― 説明は以上です。何かご質問はありませんかな 」
「 いや、貴殿の説明はよく分かった。にしても、一番艦の艦長は責任重大だな 」
「 もう候補は、お考えですか? もしやグローバル総司令、御自らがではないでしょうな? 」
「 いや、私のような年寄りでは務まりませんよ。艦長候補は既に複数名、見当を付けております 」
「 ほう 」
「 皆、地球の未来を守ろうという信念がある、有能な若者達です 」
「 確かにいつまで続くか分からん、長い旅路だ。しかし若いと、経験不足ではないかね 」
「 それは副艦長に経験豊かな者をつける事で対応します。私はマクロス航行時代に思ったのですよ。未知なる道を往くには、若者の力が相応しいと 」
「 ははは ・・・ 。我々は、お払い箱ですな 」
「 いえいえ。エキセドル参謀と皆、大して変わらない年齢です 」

 エキセドルは30代半ばであり、ちなみにブリタイとは同年だ。


「 ですが、1番艦の艦長は確かに若過ぎかも知れません 」
「 どなたですかな? 私が知っているか分かりませんが 」
「 いや。皆さんもご存じの、早瀬未沙少佐です 」

タイプを打つクローディア指が、一瞬止まる。

「 ―― あの、女性指揮官の 」
「 ええ。マクロスでも活躍してくれ、彼女ならふねを確実にナビゲートしてくれるでしょう 」
「 確かに適任かも知れませんが、周りが黙っていますかな。女性でそれ程の大任は、前例が無い 」
「 マクロスの実績も短期間での事だ。政府や軍の歴史ある方々が、黙っているとは思えんが 」
「 彼女には、これからも実績を積んでもらいます。いち戦闘指揮官で終わらせるつもりは、ありません 」
「 それで軍の再編メンバーに、彼女が入っていたのだな。確かにあの手腕、皆が素晴らしいと思った 」
「 佐官以上が出席する会合などで、よく名を連ねているな 」
「 例え不満があっても、誰も文句を口に出来ない。そういう事実を示せばいいんです 」

「 地球人は不思議だ。どうして男と女というだけで、優劣が決まるのか 」
「 私もさっぱり解せませんな。強いか弱いか。どちらがより優れているか。優劣とはそれだけです 」

 1番艦は移民計画の全てが掛かっていると言って、過言ではなかった。これが失敗したならば、後に続く艦は無くなるかも知れないのだ。姿が見えぬ敵を恐れて、誰が危険な宇宙に乗り出そう。移民あっての移民船なのだ。

 それに1番艦には、以降の艦の為のデーター収集やノウハウの構築などの、重要な任務があった。単純に艦長業務なら、もっと適任者がいたかも知れない。しかしこの任も含むとなると、早瀬未沙しかいなかった。


「 うむ。早瀬少佐で、みな一致したようだな 」
「 ご理解、ありがとうございます。それで護衛隊長ですが 」
「 宇宙は広いと言っても、いつゼントラーディ軍や監察軍と遭遇するとも知れぬ 」
「 未知の生物もおりますしな 」
「 ええ。ですからそういった不測の事態に対応できて、艦長とも上手く連携できる者をと思いまして。現在月面アポロ基地におります、一条輝大尉を 」
「 おお、あの若者か 」
「 基地でこの前会ったが、動じぬ男だな 」

 ブリタイは銀河パトロール隊の隊長らの列に並んでいた、他より一回り小さめの青年を思い浮かべた。大抵の地球人がブリタイを見て緊張した敬礼を崩さぬ中、彼だけは「デッカイな~」という様子で見上げていた。

 そんな様が印象的で後で大隊長に聞いてみれば、以前捕虜になった内の1人らしい。しかし初見でなくとも、「歴戦」を体現したブリタイの姿に怖気づく者は多いのだ。それにあの基幹艦隊から脱出に成功したと言うのは、大した所業であり ―― 実に愉快だ。
 
「 マクロスではエースの腕前で、早瀬少佐との連携もいい 」
「 適任だな 」

 グローバルは一堂の反応を見て、賛同を得たとした。ここに居る者は一個人の視点ではなく、Globalグロ-バルな見地で事実を受け入れられる者達ばかりだ。地球の未来の為に、必要とあらば自分のみならず愛する者まで犠牲にするであろう ―― そう。例えそれが未沙であったとしても、だ ……。


 クローディアが移民計画の草案を回収し、会議は終了間近にあった。グローバルはメンバーひとりひとりと目を合わせ、重々しく締めくくりを述べる。

「 諸君。慈悲深き神など、この世にはおらんのだよ 」

居並ぶ者達が、一斉にうなずく。

「 神がいるならば、地球はこのような事にならなかったろう 」
「 文化の中で一番理解できないのが、信仰ですな 」
「 己の成すべき事を棚上げする、ただの方便だ 」

「 いや、勘違いしないで下さい。私が言いたいのは、神が存在しないという事ではない 」
「 と、おっしゃりますと? 」
「 地球にだけ恩恵を授ける神はいない、と言う事です。死に物狂いで、生き残る為に力を尽くす。その結果、我々は生きてゆける ―― かも知れん、と言う事です 」
「 意志ある所に、神とやらの力が働くという事だな。そういう部分は、確かにあるかも知れん。だがいくら尽力しようとも、ゼントラーディ軍はそんなに甘くないですぞ 」
「 ええ。勝とうとか支配しよう、等という事は考えておりません 」
「 絶対的な力の差 ―― ふふ ・・ 不公平でありながら、どこまでも公平ですな 」


面白がるような笑い声が漏れた後、グローバルは居住まいを正した。

「 神など居ない。我々自身が、未来を作る。その覚悟で、臨んでゆくのだ 」


 ここに後年、「神無月会議」と非公式に呼ばれる会合が締めくくられた。地球の命運を握る先達が、若者達に未来を託す決定をした日だった。


おわり

あとがき
本当はアポロ編に先立って案がありましたが、なかなか書けずにおりました。他と絡めてSS「Father」として小出しにしていた、グローバルの心情も少し描きました。偶然にも神無月UPです。

グローバル
マクロスグラフィティによると東ヨーロッパ出身で、Pメモの「略奪艦隊」によると母国はイタリアでその海軍出身だそうです。若干のズレはありますが、キリスト教が浸透している文化圏で生まれ育った事が予想できます。ですから軍人として戦争と上手く折り合いを付けてはいたろうと思いますが、彼にとって信仰を否定するかのような言葉や考え方は、本意ではないと解釈しています。

信仰について
私は無宗教ですし、そういった学びもしておりません。身近に洗礼を受けたクリスチャンの友人がおりましたが、話し合った事はありません。なので無知なまま綴った文章であり、もし暴言と思われる箇所がありましたら修正 ・ 削除致します。

新統合(宇宙)政府と新統合軍
兼任していると書きましたが、明確には分かりませんでした。関連本などで新政府の最高責任者なのは確実ですが、TV中では「総司令」と呼ばれている。戦後は軍が主導していかざる得なかったと思いますから、軍隊が政治を行う軍事政権なのでしょうか? でもwiki「マクロスシリーズの用語一覧」によると、新統合軍は独立して存在するようです。なので兼任していた、としました。

神無月
複数のネット検索結果のまとめ

 太陽暦10月の事で、名の由来について諸説ある。一般的には10月に日本中の神様が出雲の国に集まって会議を開き、他の国には神様が居なくなる事からそう呼ばれる。会議はその年の出来事を報告し、来年の予定を打ち合わせる。特に人の運命について話し合われ、中でも誰と誰を結婚させるかが議題に上った。神事かみごと ―― すなわち人には予めそれとは知ることのできぬ人生諸般の事どもを、神議かむはかりにかけて決められる。だから男女の結びは、神議りによるものであると言う。

 遠く離れた見知らぬ同士が知り合い結婚するようなケースは、この会議の結果からかも知れません。そのため、出雲大社は縁結びの神様としても信仰されています。


オリジナルでは日本文化は主流でない設定と思いますが、私がこういう和風な感じが好きなんですね

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「神々たちの井戸端会議」
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 Comment 

Re: 「おっさんの日」様 

こんばんは! ( ・∀・)ノ 単純に「おっさん」という言葉自体に面白味を感じますが、ふと思えば私も人の事は言えない年齢でした…(笑)。

緑茶をすするブリタイもかわいいですv-10
おっさんの可愛さがあるお方な気が。第一部では、漢を見せてくれましたよね 第二部では丸いお人柄も拝見できましたが、今一つ活躍が少なかったのが残念でした。ほんと、ブリ様エキさんだから結べた和平でしたよネ。

ラプラミズはブリタイとひっつくんだろうな~と思ってましたが…まさかのカムジン
いぶし銀カップルだったのに…。でもブリ様に、女は不要なのでしょう。カム&ラプというカップリングがどうして出来たのか、謎です。

原画展
おめでとうございます! ぜひ堪能して来て下さいませ。私のレポが予習になれば嬉しいです。もし可能なら、図録の目次右の親指立てている絵は輝と思われるか、見て頂けると嬉しく…。

愛おぼ絵コンテ&ストーリー
私も次に狙ってるんですよね。色なし鉛筆書きの美樹本氏絵が欲しい。コンテの隅に書かれている事が読みたい。キャラの表情の意図が知りたい…等々。でも豪華本と迷っています。「マクロスグラフィティー」逸品です。「白い追憶」もオススメ。

おぼえていますか 映画「超時空要塞マクロス」より
河森氏の少年時代から愛・おぼ制作時までを、インタビュー形式で語っている内容がメインです。河森氏ご本人に興味があるなら、オススメでしょうか。マクロス・アタックからラストの画像を、愛・おぼの歌詞と併せて72Pまで載せています。単純に輝未沙ファンとしての魅力は、表紙絵(2015年の写真3枚。ショートのミンメイ、マネて短くして失敗した?シャミーを笑う2娘、輝未沙が和やかに笑顔)かなぁ…。未沙はイマイチだけど輝はとっても良くて、他に私がこの絵を見た事はありません。表紙あけてすぐ、未沙の下絵が文庫本サイズにバーンと出てるのは、「よしよし」v-218でした。

愛・おぼ録画は、多分初め十数分と20~20:30頃は抜けていそうです(笑)。持っている事で気分的に落ち着いてしまい見ていない、という収集根性ですね。「では!」

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Re: 「宇宙移民計画と未沙」様 

当時の現況では人類存続のための唯一の戦略
種として生き延びる為に、ある程度の犠牲は覚悟だったと思いました。移民船の幾つかが辿り着けなくとも、尊敬する人の一人娘で実子のように思う未沙だろうと。

やや強引ともいう移民計画と未沙の艦長への抜擢もありか
戦後で物資不足や足元(地球)の課題もあったろう中、内の守りでなく「出ていっちゃうんですか!?」ですよね。以下、「なるほど」と思い、引用させて頂きました。

アメリカ海軍の空母の艦長は、全て海軍の戦闘機パイロットから選ばれる。船の運営には素人同然なので、1年程度の訓練を経て艦長になる。

管理的な部署から選ぶイメージでしたが、戦闘機パイロットとは不思議ですね。22歳の女性が初の移民宇宙船艦長など、普通は有り得ない。何故未沙が?と言えば「テレビだから」が私の正直な所ですが、ソレを置いて考えてSSのようになりました。他にも考えがありますが、それは「モンモン輝」と一緒にそ・の・う・ち

移民計画実施を想像するのも楽しいです。情報とコメントを下さり、ありがとうございます

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