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「SS (二次創作小説)」
空白の二年間

輝の月読日記 ~ たなばた ~

 SS「七夕の夜にささやいて」の裏.verです。未読の方は、そちらをお先にお読み下さいませ

 アポロ基地2ケ月目の輝の暮らしぶりと、七夕の夜に未沙から電話をもらった彼が思うコト。相変わらずのほほんとした彼も、意外と鈍感ではない?


とか言って、また こんなん ↓ じゃないの?

 「ひかるぅ~」 シクシク     「ああ・・・アポロのメシって、シンドイ…」

2012.6.11 UP


 輝は休日の午前、通信室に来ていた。未沙とは業務で話はするが、それとは別に日曜の午前はプライベートでもする。業務用通信だと彼女に「一条大尉。仕事以外の事は ・・・ 」と諭されて、少ししか話せないのだ。機械も時間も軍務に充てるべきで、私事で用いるのは特権利用に当たり、税金を払う市民にも申し訳ないそうである。

「 カタイんだよなぁ ―― まあ、そうなんだけどさー 」


 分かったような分かっていないような事をボヤキながら、顔見知りになった休日当番の職員と挨拶を交わしして通信ブースへ入った。

「 本当かい !? 未沙 」
「 ええ。まだ決定じゃないけど、多分来週はそちらに行けそうだわ 」
「 なら久し振りに会えるな! こっちの仲間を紹介するよ 」


 グローバルとブリタイの会談に未沙が同行してアポロに来るという朗報に、輝は意気揚々とブースから出た。そんな彼に、またもや嬉しい話を通信員が教えてくれる。画像付きで話せる日が、そう先でもなく来るらしい。今までも技術的には可能であったが、コストの問題で出来なかったのだ。

 宇宙艦隊の編成決定や新造艦SDF-2(最近「メガ・ロード」と改名したらしい)の建造再開に伴い、アポロの重要性や人口も格段に増した。その為に現在の利便性の悪さは流石に問題視され、かなり大規模な拡張工事をして空港機能や居住性を高めた。その際、あわせて新たに通信回線を引いたらしい。


アポロ・ステーション

© Andrew Choy from Santa Clara, California
あくまでイメージで、本当は実在する地球の空港画像です


 輝は帰宅してすぐ、遊びに来た同僚に報告した。

「 ふ~~ん。いよいよお前ご自慢の、早瀬少佐殿とご対面か 」
「 別に自慢なんてしてない 」
「 未沙がこう言ってた、未沙に聞いたけど ―― お前、未沙 ・ 未沙じゃねぇか 」


 そんなに言ったろうか? でも今回のプロジェクトは彼女からもたらされた情報や教わった内容も多く、それについて話せば当然出るだろう。それにしても ――

「 未沙って呼ぶな。直接知りもしないクセに 」
「 おっ! 独占欲っスか? 」
「 未沙は階級とか呼び方とか、結構ウルサイんだ 」
「 会った時は “ 早瀬少佐 ” って言うさ。未沙って名前、色気があってイイんだよ 」
「 止めろよ。そういうつもりなら、もっとダメだ 」


―― あの人は、そんな風にしてはいけない女性ひとだ。

 上手くは言えないが、そう思う。どんな相手に対してもそれは当たり前なのだが、彼女は特にいけない。妙齢の女性はどこかしら、女としての魅力を意図しているように輝は感じていた。口紅の色や意識した動作、肌の主張 ―― 女性の存在を身近にしてこなかった、慣れない男の先入観や意識過剰なのかも知れないが。

異性へのアピールとも感じてしまうそれらが、未沙にはしかし一切感じられなかった。彼女にとって男は対等な相手であり、時に立ちはだかる壁ですらある存在に思える。


「 おーおー。若いねぇ。スレてないってか 」

 同僚の口調には、馬鹿にしているのか感心しているのが分からない響きがあった。実際に彼は輝の若さゆえの潔癖さを大切にしてやりたい思いと、心配する気持ちの両方で見ていた。この年下の男は大事だけれどカラカイたい、そんな弟を見るような気持ちにさせられる。


「 綺麗な気持ちもいいが、 “ 清濁併せ呑む ” つー、心の広さも必要だぜ? もう大人なんだからよ 」

 輝はその言葉を、未沙に当てはめて聞いていた。彼女は清廉な精神を持った人だが、仕事が関係するとそれを他人にも求める面がある。この同僚から見れば「まだ若いから」、という所なのだろう。輝も首根っこをギュウッとされる時があるが、彼女のそんな固さがキライじゃなかった。自分のように流されているのでなく、流れの中でも背を伸ばして前に進む人。そんな未沙を、輝はすごいと思う。


「 まあ、イロコイはそれなりに分けてな? 」

 未沙はその辺り、厳しそうだ。仕事中の彼女など、「男なんか好きになるのか?」な感じ。亡くした人を未だに想い続けているらしいのも、理想の高さがうかがえる。優しい人だと聞いてはいるが、きっと頭が良くて軍のエリートだったのだろう。


「 おっ! 輝、この本借りていいか? 」
「 ああ、うん 」

 同僚とはプライベートでも部屋を行き来するようになり、自然と互いにファースト・ネームで呼び合う仲になった。ゼントラーディ艦の修復やSDF‐2の建造の為に多数の技術者や企業、その家族がアポロ基地に移って来るようになった。それと共に彼らを狙ったビジネスも展開され、最近のアポロの発展は目覚ましい。

かつて「マニアの巣」とされた星は、今は地球の文化水準に急速に近付いていた。


「 オトコノコの心をくすぐるイカガーシー物、どーこだ 」
「 んなモン無い 」

 ベッドの下を探る同僚の頭をはたいた輝は、思わず目をあそこに向けた。それを見咎めた男がニヤリとし、本棚に向かう。漫画や飛行機雑誌、各種資料やマニュアル等、雑多なランナップ。

「 おい! 勝手に見るなよ 」
「 やっぱ、ナンかあるな ―― おっ、ミンメイの写真集! 」


ミンメイの写真集の想像イメージ

画像クリックでショッピングサイト 楽天市場 へ別窓リンク

画像はDVD「超時空要塞マクロス Vol.6」カバーで、当記事とは無関係です

ミンメイのスナップが外国の街の写真と重ねられている画像(何だったか思い出せず)があったと思いますが、
中身はそのイメージです。で輝の部屋で未沙が逆さにしたのが、オマケのポスターってコトで


 同僚は大判の薄い冊子を抜き取ると、パラパラと流し見る。すぐツマらなそうに棚に戻し、気が済んだのかベッドに寝転がった。

「 水着が1ポーズとは、アイドルの風上にも置けん。第一俺は、もっと大人のオンナが好みなんだ 」

 ミンメイは歌メインの路線で売っており、写真集は雰囲気ある街を彼女が案内するような作りだ。一緒に街歩きしているかのような日常のスナップ風に撮られ、輝は表情豊かな彼女に合ったコンセプトだと思ったが。でも色気を求める者には、確かに物足りないだろう。

「 売れ行き、イマイチらしいな。そんなの買う男がいるたぁ、思わなかったぜ 」
「 いいだろ、別に 」


 マクロス内と違い、ここでは輝とミンメイが顔見知りと知る者は少なかった。2人がマスコミに取り上げられたり艦内デートをしたのは、地球に着く前までだった。今では冷やかされる事もない完全な1ファンであり、そして輝もそれで満足している。

写真集を買ったのは、売上に貢献する気持ちがあったからだ。もちろん興味もあり、綴られた文章の中にミンメイ作の詩が直筆で書かれているのを見て、嬉しかった。

  ( いつか自分の歌を歌いたいって、言ってたもんな )


「 俺がもっとスゲェの見せてやる 」

 宿舎内は男の世界。そのテの貸し借りは盛んだったが、彼の場合は最新式だ。最近はビデオなる物が一般にも入手出来るようになり、同僚の部屋にはデッキがあった。テープ1本が高額で、若者には中々手が出せないシロモノだ。

「 題名から言って、スゲェ。“ バルキリーで濡れた夜 ”“ Give me! your Daedalusダイダロス だろ? “ 泣きたい夜に ――

 同僚が次々に挙げるタイトルはバカバカしい事この上ないが、ヘンに刺激的にも感じるから残念ながら俺もバカだ。見事にパイロットを狙った商品名だが、これは悲しい男のサガってコトで、誰に乞うのか分からないが許してもらうより他にない。


「 その女優がよう、受付の子に似てんだ。あの子を見る度、想像しちまう 」

 だがこういうのはダメだった。顔見知りの女性の卑猥な想像をして、その人と会った時に平然とする芸当など自分にはない。挙動不審になりそうだし、何より相手に悪いだろう。だから妄想に、身近な女性はタブーだ。正直キスまでなら無いコトもナイが、それ以上はちょっと …… 。


 最近登場したCDなる物を見に、同僚の部屋へ行く。彼は「ヒマで溜まった貯金を、パーッと使ってやる!」と、最新の文化を買い込んでいた。確かにアポロじゃ金の使い道は無かったが、多分あれは結婚資金だったのだろうと輝は見ている。


♪ Fly me to the Moon ・・・

Frank Sinatra のMP3

画像クリックで amazon.co.jp の商品詳細へ別窓リンク


 幾人ものアーティストによって歌い継がれた、往年の名曲だ。同僚は様々なアレンジや歌手、インストゥルメンタル等をまとめた記念アルバムのCDをかけてくれた。
架空の商品で、掲載画像の物とは違います

 2人で各々雑誌を読んだりゲームをしたりと好きな事をしながら、十人十色のナンバーを楽しむ。ハスキー・ボイスで切々と歌い語る男女もいれば、男臭く歌い上げるボーカリストもいる。ライトなタッチのピアノ曲もあれば、荘厳な雰囲気のオーケストラもあった。

帯にある「色々な恋がある」という言葉通り、多彩なイメージを奏でるCDである。

「 知ってっか? こいつぁアポロ10号 ・ 11号に積み込まれて、人類が月に持ち込んだ最初の曲なんだぜ 」
「 そりゃあ、縁がありそうだな 」
「 ばぁ~か! コレは恋の告白の歌だ。相手もいないクセに、何言ってんだ 」
「 Fly me to the Moon って言われてそう分かるヤツ、いないと思うぞ? 」
「 これだから、本当の恋を知らないヤツは … 」
「 その位、知ってる 」


 叶わなかったが、確かに恋はった。彼女を求め、自分でも驚くほど一心に。あれを恋と認めないなど、許さない。

「 どうせ相手にされなかった、さみし~い恋だろ? だからこの歌が分かんねーんだ 」
「 何が分かってないって言うんだよ 」
「 言葉じゃねぇ、心なんだ。好きって気持ちがありゃ、想いが乗って伝わるもんだ。言葉の形は違っても、な。日本人は ワビ ・ サビ文化ってけど、美意識が無い奴もいるんだな 」


 告白したのは「知っていて欲しい」という気持ちからで、ミンメイに恋心を伝えたいという求めるような気持ちはなかった。しかしそれ以前は、十分に「好き」の想いを伝える態度に出ていたつもりだ。だって「デート」なんて、好きな人としかしないだろ?

「 でも、気持ちがあっても全然分かってもらえなかったぞ? 」
「 応えられないから、気付かないフリしてたんじゃね? まあ遊ばれなかったようなだけ、悪ぃ女じゃなかったみてーだ。女は残酷だぜ? 」
「 そんな子じゃないよ。けどフリじゃなくて、全然気付いてなかった。好きだって言ったら、すごいビックリして 」
「 あ ー … そりゃ、相手が悪かった。ご愁傷様 」
「 ・・・・・・ 」


 同僚はムッとして膝を抱える輝の隣に座り、肩を抱いて言い聞かせるように説明する。

「 あんな? この曲は始め “ In Other Words ‐ 言い換えると ‐ ” 、っていう名だったんだ。お前が彼女を好きだって気持ちは、きっと言葉にしなくても出てたと俺も思う。でもそれを感じ取ってくれない段階で、彼女とは合わなかったと思った方がいい 」
「 そんな、合わないだなんて …… 」
「 何年か経ってお互い成長した時には、また違うかも知れんがな。あの時は合わなかった。つまり、縁が無かったってコトだよ 」
「 縁が …… 」
「 そっ! 俺の恋人だって、出会う時が違えば婚約まで行かなかったと思うぜ? お互い “ 結婚してもいい ” と思える時期が一致したから、そこまで行ったんだ 」
「 ふ~ん。結婚ねぇ 」


 そりゃいずれはしたいけど、まだ20歳にもなってないんだ。ずっとずっと先の事だと思う。親父が結婚したのは30過ぎてたらしいから、俺もその位かな。

「 お前にはまだ、はえーよ。手始めに尊敬出来て、心から信頼できる相手を探すんだな 」
「 尊敬? 」
「 だろ? 敬意が無きゃ、本当の好きじゃねぇ。そりゃあ俺だって “ おっ、いいオンナ! ” と思う相手くれぇ、ゴマンといるさ。でも愛してるのは、アイツだけだ。好みの顔でもスタイルでもなかったが、その1点で全てが好きになった 」
「 そうか …… 」


 同僚が亡くした恋人との事を、ここまで話すのは初めてだ。普段はおちゃらけてスケベな事も言う彼が、こんな恋愛観を持っていたとは。胸の内を晒す話に、彼が輝を慰めようとしてくれているのが分かる ―― 言葉じゃないんだな。肩に乗る彼の手は、輝の心にも温かだった。

「 相手の全てを見ても許せて、自分の全てを見せても大丈夫と思う女なら、結婚を考えてもいい。信頼関係がない相手とは、一生一緒には暮らせないからな 」
「 そうだよな 」
「 お前の場合まずは照れも程々にして、自分の気持ちを言葉に乗せるといい 」
「 言葉に乗せるって? 」
「 “ ハラ減った ” を “ お前のメシが食いたい ” の気持ちを込めて、言やぁいいんだ 」
「 ふ~~ん 」
「 更に上級者なら “ お前を食いたい ” でもいいが、輝じゃなぁ …… 」
「 そんな色気のあるハラ減った、俺も試しに聞いてみたいよ 」


 何だか最後は冗談交じりになってしまったが、ナルホドと思う部分もある。そう言えば未沙にも、言葉とは全然違う気持ちを感じる。「何やってるのよ!」と怒るのは、実は心配してる気持ちが乗っている。彼女は口調を作るのも上手いが、目を見れば俺には分かるんだ。

「 空気の感触で通じ合える、恋の至福。一度味わったら、お前も “ 言葉なんていらない ” って思うぜ。まっ! まずはコレ聞いて、少しは口説きを勉強しな 」
「 あ、サンキュー 」


 同僚がCDをテープにダビングしてくれ、輝はひとり自室で聞いた。申し訳ばかりに付いた小さな窓から、夜の地球が見える。大戦前より圧倒的に街明かりが小さくて少なく、黒い部分が殆どだ。

音楽は恋の切なさや楽しさを教え、輝の胸にも楽曲に合わせた感情が宿る。


♪ To Be sure that you'll know what I'm saying ・・・
貴方は俺の言うコト、分ってくれるよね


「 アラスカはあの辺かな …… 」

―― もうすぐ未沙が、月にやって来る


月面から見た、夜の地球と天の川

これは編集画像で、実際にこのような光景があるかは未確認です


 そんな珍しい輝のトキメキをかわし、未沙のアポロ行きはご破算になった。ガッカリしたが、懐かしい再会もあった ―― と言っても、2カ月半振りだが。

「 クローディアさん! 」
「 お久しぶり、一条君 」
「 “ 今アポロよ ” なんてビックリしたけど、総司令付きなら当然ですね 」
「 もう右見てオジさん、左見てオジーサン。優秀でも、女はエラくなれないのね 」
「 クローディアさんは、随分おエライと思いますけど? 」
「 それでも “ ~ 付き ” っていう、所詮誰かのオマケよ 」


 彼女を案内して街へ行き、最近できたレストランに入った。機能一辺倒でない洒落た店内は、輝が未沙を連れて行こうとしていた理由のひとつだ。何より独自の輸送ルートで食材を確保するこの店は、高いが旨い飯が食えると評判だった。

「 それに比べて未沙は、自分の力で頑張ってるわ 」
「 元気ですか? 電話で話してはいるけど、顔が見えないんで 」
「 相変わらず、仕事の虫。無理してるわね 」
「 やっぱり …… 」
「 有能だから頼られるのは仕方ないけど、彼女も引き受け過ぎなのよ。言っても “ 大丈夫 ” の一点張り。体だけの問題じゃないってのに 」
「 意地っ張りだから、言う程ダメそうですね 」
「 よく分かってるじゃない。友達と出掛けるとか遊ぶとか、余暇の充実を図るのも大事よねぇ 」
「 俺がいた頃は出掛けてたけど ―― その、誰も誘わないんですか? 」


 士官学校時代のように、何か内に籠るような事でもあったのだろうか? 話の内容や声からは感じなかったが …… 。輝は顔が見えない関係を、じれったく思った。

「 指令センターの子なんかは声掛けるみたいだけど、せいぜい基地内の食堂に一緒するくらいみたい 」
「 クローディアさんとは? 」
「 私も実は色々あって、未沙とは最近あんまり一緒できないのよ 」


 初代総司令に着任したグローバルは、マクロス内の体制がある程度固まると、各地へ視察に行くようになった。それにクローディアも同伴するので、未沙と顔を合わすのは通信を介しての状況らしい。加えて地球一斉攻撃で亡くしたと思っていた祖父が無事だと分かり、非番にはそちらの世話に行っている。

「 女同志って “ カワイイー! ” なんて話合わせやすいけど、彼女そーゆーキャラじゃないし 」
「 ないですね、一見 …… 」
「 あら、分かる? 本当は可愛いの、大好きなのにネ。自称しっかり者だから、年の近い相手には つい大人ぶっちゃう 」
「 本当は結構ヌケてるクセに、ですね。“ エリを留めて! ” とか “ 袖で口を拭かない! ” とか、もうウルサイ ・ ウルサイ 」
「 一条君、そこの所は分かってないのねぇ。未沙があんなに打ち解けるの、私かあなた位なものよ? 」
「 それは何となく …… 」
「 同じエリート士官の方がお似合いに思えるけど、本当は年下の異性の方が彼女には合うのかも 」
「 そうですか? 」
「 本音で付き合える、ってカンジ。ケンカしてても楽しい ・ 充実感がある、デショ? 」


 そう言えばクローディアには以前、同じような事を言われた。

『 身近にい過ぎて分からないってコト、よくあるの。心を許して、ワガママな言い合いでケンカになる。でも、心の底では違うの 』

「 ―― まあ、そうかな 」
「 自分と似たタイプは、張り合っちゃったり嫉妬されたりかも 」
「 そういうの、俺は無いですね。畑が違うから、お互いそんな気にもならない 」
「 女の子は守ってあげなきゃならない気になるし、年上なら堅苦しい未沙のコト。お気遣いするでしょうね 」
「 俺には確かに、遠慮がないなぁ 」
「 甘えてるのよ、あなたに 」

 そう言われれば悪い気はしない ―― うん、しないぞ。輝は満更でもない気分でウン ・ ウンと頷き、リッチ系装飾過剰なデザートを堪能した。


「 で、お願い。あなたからも未沙に、ちょっと言ってあげてくれない? 」
「 無理するな、って? 」
「 そんなストレートじゃ、頼まれたってバレちゃうじゃない。私がこっちに行ってるの、知ってるんだから 」
「 スルドイからな、未沙は。なんでそんな事知ってるんだ、ってなりますね 」
「 あなたにはいい顔見せようって、張り切って通信に臨んでるでしょうしね。その辺はあくまで、さ ・ り ・ 気 ・ な ・ く 」
「 それが俺には難しいんだよなぁ …… 」
「 そういう話術も、そろそろ身に着けなさい? 隊長さん 」


 クローディアをホテルまで送ったが、別れの挨拶は「エリだの袖だの、もう少しマシな事で世話掛けなさい」だった …… 。輝は宿舎に帰り、先程出された宿題をどうやりこなさそうか考える。

「 これは結構、難問ですよ 」

誰に言ってるわけじゃないボヤキをいて、取りあえず久し振りにハイクオリティーな満腹に浸って寝る事にした。


輝が見た夢
  


 輝の座右の銘は、「果報は寝て待て」 ―― かどうかは知らないが、寝坊主にチャンスが転がってきた。初めて未沙から通信が来たのだ。輝は宿舎内放送で呼び出され、同僚のカセットを止めてブースに向かった。

  ( 何か、あったのか …… ? )

 クローディアの話もあって心配したが、そうではなかったようで胸を撫で下ろす。プライベートでの未沙の声は朗らかで、聞いていて心地よい。そして今の彼女はひとつひとつの言葉が歌うようにまろやかで、輝の好きな感じだ。


『 心の垣根を取り払って、もっと色んな人や周りに目を向けて、自分を磨いて。トモダチ100人、できるかな ♪ ―― かしら? 』

 賢い彼女は、自分から大切な事に気付いたらしい。輝は後押しするように言葉を重ねた。もう少し肩の力を抜いて未沙らしさを出した方が、きっと人は寄ってくる。

『 ねえ、輝 …… ?  ―― 月が、綺麗ですね 』


♪ In other word, I love you ・・・


『 教えて ―― 月から見た地球は、きれい? 』

輝は窓のない薄暗い空間を見上げて、目に浮かぶいつも凛としていた背中を思い浮かべる。

「 ―― うん。綺麗だ 」

言葉に気持ちを乗せてみれば、振り返った笑顔はとても嬉しそうだった。生命の塊であるはずなのに何故か硬質な地球の輝きより、ずっと生き生きとした美しさ。

「 とっても、綺麗だよ …… 」


♪ Fly me to the Moon ・・・
貴方に会いたい

白薔薇の花言葉 「恋の吐息」 「約束を守る」
おわり

あとがき

このこそばゆさを、一体どうしてくれようか。通じて無いと思ってて、通じてる。通じてると思って、実は通じて無い。よくある事ですよね。白薔薇の花言葉は複数あり、お題的にSSに盛り込んでいます。SS「恋人 ‐ こゐひと ‐」は「心からの尊敬」で、SS「キスより吐息より」では「相思相愛」

「 ~ ですよ 」
たまに出る輝の、この敬語ボヤキが好きです。誰かへの批判でもなくイヤミが無いし、難題を気楽に受け取ってやりこなそうという前向きさを感じます。

年下の男の子
もしかして一番付き合いやすい相手かも知れない、と私は思います。恋愛的な交際経験はありませんが、後輩の男の子とかは話し易かった。相手がこちらを立ててくれたのもあるし、こっちも “ 年上 ” という看板のお蔭でスタンスが取りやすい。「教えてあげる」みたいに姉さんぶれるけど、我儘言って甘えも出せる。未沙は輝が年下だと拘っていますが、だから気持ちを出したり甘えられるのかなと思いました。

ハイ・スピードで発達する技術
1980年代当時のレベルで展開しております。レコードやカセット・テープで音楽を聴き、ビデオなんて高級品。CDはそろそろかな? だった気がします。これからハイ・スピードで発展し、現代を追い抜く予定です。マクロスって後年になって観賞すると、一応SFらしく走行するカメラがあったり画像付き通信が可能なのに携帯はない、ヘンにアナログな世界ですよね。

お年頃、一条クン
第二部の枯れっぷりは周知ですが、実際はどうなんでしょうね。FIRSTでミンメイと閉じ込められて何もなかった事を「オトコの健康体なんですよねエ !?」と聞かれ、「たぶん … 十中八九」と答えている。公園でイチャイチャするカップルを見て、恥ずかしがる ―― 等あり、興味はあるがスレてはいない印象です。

恥ずかしがり屋の印象がある彼ですが、私的には20歳前なら年相応かな。ただ軍隊という成人男性が多い社会に身を置いているので、情報には事欠かない気がします。男性が通常どの程度性的な欲求があるのか知りませんが、私が見聞きする範囲ではフツーに日常のようです。見た目でなく雰囲気やキャラに異性を感じないある知人がAVビデオを編集してコレクションしていると聞き、ビックリした事があります。「あんた、あんなサラーっとしといて !?」でした。

輝も本のひとつやふたつ、どこかに隠していると思います?
またもや下世話な話、失礼致しました!

*  Image Song  *
Fly me to the Moon
作詞 / 作曲 Bart Howard

ジャズのスタンダード・ナンバーの1つ。タイトルの日本訳は「私を月に連れて行って」、といった意味になる。フランク・シナトラがカバーして、爆発的にヒットした。彼がこの曲を発表した1960年代、アメリカ合衆国はアポロ計画の真っ只中にあって、本当に「月に連れて行って」貰えるのは非常に近くまで迫っている未来の出来事であった。その為に一種の時代のテーマソングのように扱われ、これがこの曲のヒットにつながった。シナトラのバージョンの録音テープは、アポロ10号 ・ 11号にも積み込まれ、人類が月に持ち込んだ最初の曲になった。 
未沙の「月が綺麗ですね」に相対し、輝は歌を題材にしてみました。どちらもよくされる引用で没個性ですが、雰囲気作りというコトで。歌詞の意味は そうそう様のサイト「アーティスト別 曲ランキング & 歌詞和訳まとめページ」を参考にさせて頂きました。宇多田ひかる版は女性、サイト管理者様は男性の立場で語られている感じです。「To Be sure that you'll know what I'm saying」の訳は輝の気持ちに合わせた私訳なので、ヘンでもスルーして頂けると。

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 Comment 

鍵コメ 「新婚さんのお二人は~」様 

こんにちは!今、お茶の後のイチャイチャ・タイムです  ソファでキスと軽いお触り程度なら、未沙からのOKが出ています。この後でどう「まだ早いわ」と言われずにベッド・ルームへもつれ込むか、彼の脳内はマクロスピードで展開しております。

全て無意識、一条君
「未沙が未沙が」も寂しいと思うのも、ヤキモチも。あんまり無意識 ・ 無自覚も話作り過ぎな気がしますが、彼にも色々思う所がありまして。

構いたくなる輝
子供っぽくなくても、素直で明るい年下は可愛く見えますよね。同僚とクローディアさんは、輝の本当の気持ちを代弁的に話して頂いてます。彼自身は気持ちや思考を言語により明確に表現するのは難しい、とキャラ設定しているので。

輝が告白した時に見せた ミンメイの表情
「あそこまで驚かなくても~。輝 ショックだったろうね。かわいそ」ですよね。控室まで追い掛けて、更に追い打ちを掛ける…。「何か応えなくちゃ」と思っての行動と取りなしても、パーメモによるとその後もカイフンとの仲を隠さず配慮不足のようですし。

輝がやきもちをやく姿見てみたい
私もですー。そう思う人は多いのでは? でもウチの彼はAfterでもあんまりヤいてくれないんだよなぁ…。それだけ未沙が「輝スキスキ!」と感じさせてくれてる、というカンジです。

ミンメイに負けないぐらいモテるはず
「絶対 隠れ未沙ファンはいたはずだ」私も思いマス。“ 隠れ ” ってトコロがポイントですねぇ~。そんなSSもほぼ書き上げており、「なんで知ってるの !?」な気分です。 (^^ゞ 「イヤイヤ、読まれてますなぁ」

六神合体ゴットマーズ
あれも兄弟で人気を二分して「どっちがイイ」とファンが競っていた気がします。確かマーグの方が人気が高かったような…。王子サマ顔で哀しい宿命を背負ってるってキャラ、女性は弱いですものね。

Pメモ
入手出来て良かったですね! 「御大のコメントが面白くて好き」アレ見ると、明るそうな方の気がします。ガンダムの同人活動をされていたそうですから絵が似てるのは仕方ないと思いますが、それを土台に見事な自分の絵柄を作り上げましたよね。

ミライさん似の亜綺ちゃん、未沙より幼いですが私的には表情が可愛くて良かったなぁ。つぶらな黒目って好きなんです。もちろん未沙が決定稿になったから、言える事です。初稿輝はかなり好みじゃありませんでしたが、第二部を描いた?改稿版は「いいわぁ…」でした。輝より未沙やミンメイの方が描けるって、スゴイ。私は髪型で誤魔化せる彼の方が描きやすいです。未沙はもう、別人になり過ぎて。

作画の良し悪しがあると知ったのはマクロスでした
ナルホド(笑)  ~★

私も長々で、すみません。こんな感じのレスですが、宜しければお付き合いくださいマセ e-68

敦賀屋バボ様  

F・シナトラ、お好きそうな気がしました。演奏されるのですか! オシャレでカッコイイですねぇ…。私なんか縦笛もマトモに吹けない。音楽という表現手段をお持ちの方が、羨ましいです。

男女の仲を親密にする為に2人で出歩く事をデート
と私は思うので、言われてみれば意図しないにしても愛・おぼのアレはデートと言えましたね。それまではちょっと過酷でしたが、遺跡は雰囲気あったし朝までコースでしたし

ご指摘通り、帰還後はデートに忙しい一条君ですよ e-68

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NoTitle 

F・シナトラ のは、軽快で好きですよ
僕は、演奏する時 スローで囁く感じにしてる
劇場版の遺跡を二人で探索だったけど、あれをね
二人のデートに置き換えて・・・ジップを上げるのを
・・・に変換しとります
月から地玉に帰ったら 未沙を連れ出すのに夢中の輝だったりして
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