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「SS (二次創作小説)」
超時空要塞マクロス 第一部

第27話 The day of Destiny ~ 愛は流れる ~

 第一部最終話です。非常に完成度が高いこの回を描き直すのは本意でありませんが、他のSSにも掛るので無理を押して作りました。

February 11, 2010 AD

 文化を根絶すべく、総数500万隻を上回るボドル基幹艦隊が地球の全天を埋め尽くした。これに応戦する地球側の戦力は、地球統合宇宙軍の宇宙空母アームド・シリーズ6隻、宇宙駆逐艦125隻。マクロス及び、同盟を結んだブリタイ・アドクラス艦隊100隻あまり。

ボドル基幹艦隊の一斉攻撃により、わずか5分で地球全土が破壊された。地球統合軍の切り札 超大型兵器グランド・キャノンは砲撃も虚しく、アラスカ統合軍本部と共に破壊。地球の滅亡は最早目前であった。

 しかし1人の少女が地球の命運を救ったのである。

マクロス標準時間午前11時00分。リン・ミンメイの歌と共に、反撃が始まった。反応弾を武装した300機を越えるスーパー・バルキリーを先頭に、マクロスとブリタイ・アドクラス艦隊はグランドキャノンの切り開いた空域を通って進攻を開始した。


お読みになる前に
破壊される描写や画像が幾つかあるので、そういう物が辛んどい方はご注意下さい。またスピード感と心情を表現するため、読解しにくい書き方だと思います。具体的には、時系列に展開していない、視点が細かく代わる、文法無視、文章の位置をずらす、等です。オリジナルで脳内補完頂ければ、と思います。
2012.4.27 UP


 マクロスと地球統合軍は、ほぼ同時にゼントラーディ軍の襲来を確認した。

「 重力異常と発光現象を、多数確認。デフォールドと思われます 」
「 反応、強すぎて計測できません 」
「 デフォールド反応、計測限界を突破! 」

輝きの後に現われる戦艦が、広大な宙域を瞬く間に埋め尽くしてゆく。圧倒的な光景にモニターを見た者達は息を飲み、地上の人々はうつつの夢のような美しさだと見上げた。


空を見上げる少女


それが予期されていた脅威と知るグローバルは、直ちに全乗員へ指令を出す。

「 全艦、第一級戦闘配置! 」
「 Yes, sir! ―― 全艦、第一級戦闘配置。繰り返す。全艦、第一級戦闘配置 」

たった今、マクロスとブリタイ・アドニクス艦隊が和平協定を締結した場において、運命の火蓋は切って落とされた。

「 行くか、ミリア! 」
「 ふふ。もちろん、マックス 」

マックスは己の半身にうなずいて、輝を振り返る。

「 お先に、先輩 」
「 死ぬなよ 」

いつもと変わりないようで、互いに分かっている ―― 言葉を交わせるのは、最後かもしれないと。かつてない敵の光の渦は、マクロスを ・ 地球を、確実に呑み込むであろう。

だから輝は ―― 意を決して駆け、カイフンと並ぶミンメイの前に立った。

「 もう、これっきり会えないかもしれないから、言ってしまうよ 」


君と出会えてよかった
君の笑顔をずっと見ていたかった


「 僕、君のこと、好きだった …… ! 」


どうか君が、幸せでありますように


万感の想いを込め、敬礼を

さよなら


 輝の突然の告白に、ミンメイは唖然とした。自分に恋心を持つ者は、大抵それを明らかにして接してきた。輝からも好意や賞賛の視線を感じはしたが、しかしそれ以上ではなく。楽しくて優しい彼は、ずっと友達であり続けた。

輝はその他のボーイフレンドとは違う “ 特別なオトモダチ ” だったが、命を助けられたり軍人なのが物珍しいからと思っていた。何より彼とは、気が合っていた。 ―― 彼女は自分の感情を親愛と恋慕で区別できる程に、まだ成熟していなかったのである。

「 輝っ! 」
「 ミンメイ! どこへ行く 」
「 お願い、行かせてぇ ・・・ ! 」

しかし輝が言葉にしないメッセージを正確に感じとったミンメイは、衝動に突き動かされて後を追った。


アラスカ グランド・キャノン内:  地球統合軍 総司令部

「 デフォールド反応、更に増大中。敵艦隊、艦影400万を突破 」
「 グランド・キャノン、臨界まであと300秒 」

 次々と明らかになる状況に騒然とする中、早瀬隆司は司令席に泰然と立つ。隣にいた幕僚がつぶやいた。

「 早瀬提督。400万の大艦隊とは、勝てますかな。グランド・キャノンで 」
「 うむ。敵艦隊とはまだ交信できないのか 」

どう考えても勝ち目はなかった。データーを見ずとも、目の前の光景がそれを決定付けている。巨大なデフォールド反応を察知した段階から、全世界へ避難勧告を出した。しかし予想以上のスピードと数だ。何らかの逃げ道を、それがダメならせめて時間稼ぎにと、繰り返し交信を試みた。しかし ――

「 未だ応答ありません 」
「 やはり戦うしかあるまい ―― 至急、各国に緊急避難命令を 」

地球統合軍最高司令官 早瀬隆司は決定した。破滅以外の選択がそれしかないなら、例え万にひとつの可能性でも賭けるしかない。綿々と繋いできたこの星の命を、易々と断ち切られる訳にはいかないのだ。


地球統合軍総司令部:  管制室

「 第18、および27戦闘中隊は、A-4エリアへの展開を急げ! 」
『 了解 』

―― 結局和平を結べずに、こんな事態を迎えてしまった …… 。

「 はあ …… 」

早瀬未沙はモニターに映る月を見上げて、ため息を吐いた。マクロスは月の向こう ―― 今ごろ皆も、戦闘配備を整えているだろう。


マクロス:  パイロット控室

 輝は着替えると、パイロット・スーツの状態をチェックした。体にフィットする着慣れた感触に、気持ちが引き締まる。この決戦で自分は死ぬかも知れない。しかしどこか現実感がなく、恐怖を感じなかった。


コン コン

「 どうぞ 」
「 輝 …… 」
「 ―― ミンメイ …… ! 」

彼女が追って来るとは思わなかった。何故 …… ? 俯いて手を握り締め、懸命に言葉を絞るミンメイ。

「 お友達だとしか思ってなかったから …… お友達だとしか、私 …… 」

―― やっぱり、“ トモダチ ” だったんだ

「 ごめんね、輝。でも私、やっぱりカイフンのこと …… 」
「 おたくのせいじゃないよ。僕がいつもはっきりしなかったから 」

君と釣り合う男になりたくて、でも自分に自信が無かった。好きだと言えば、君は俺を見てくれたかな …… 。気付いた時には、もう手が届かない人だった。

「 僕は軍の戦闘機乗りで、おたくは人気スター ―― 釣り合いなんかとれないよ 」
「 でも …… 」
「 おかしなもんだね。 この小さななマクロスの中で、僕らの住む世界がこんなに違うなんてさ 」

輝の言葉がショックだった。世界が違うだなんて、考えた事もない。輝はデビュー後も変わらず、だから気楽に安心して付き合えた。それなのに ――

窓をまばゆい閃光が覆った。


ボドル基幹艦隊旗艦  Fulbtzs-Berrentzs ⅣⅡⅠ0Ⅰフルブス・バレンス42101

「 全艦デフォールド完了 」
「 ボドル・ザー閣下。いかが致しますか 」
「 まず敵本星を叩く。全艦砲撃! 」


500万隻以上の艦隊が放つ70億条を超えるエネルギー・ビームは、地上を5分で崩壊させた。


月面アポロ基地から見た地球

by ESO L. Calçada Goddard Photo and Video Blog

月面アポロ基地

「 …… おい …… あれ …… 」
「 うそ、だろぉ …… ? 」

戦闘配置に着こうとした者達は驚愕し、呆然となった。後に「月面から観測された地球は、太陽より明るく輝いた」と言われる。


地球統合軍 総司令部

壊滅を示す点灯が、全世界を覆ってゆく。早瀬隆司らは、それを呆然と見やった。

「 ぜ、全滅 !? 」
「 バ、バカな! 」

ここまでの力を、ゼントラーディは持っていたのか。 地球は …… 人類は ……


マクロス:  パイロット控室

「 なあに !? 」
「 ああッ! 地球が …… ! 」
「 ―― やられちゃったの !? 」
「 多分ね 」
「 そんな! 父さん。母さん …… !! 」
「 早瀬大尉 …… 」

 現実と思えなかった。あれが地球なのも、早瀬未沙がいる事も。マクロスは地球に帰ろうと進んできた。飛び立つ時は彼女が、いつだって見守って。だけど、これは現実だ。早瀬大尉はあの光の渦の中 ――


  ( 早瀬、大尉 …… ? )

 直感に優れた少女は、敏感に輝の本心を感じとった。大切な人 …… ? もやが刹那、心に漂った。


直前の地球

山下公園 「赤い靴はいてた女の子」像


My hometown is Green Earth ・・・


 大好きな横浜の街も、子供の頃からの遊び場だった賑やかな商店街も ―― みんな、みんな …… ! このままマクロスも同じように攻撃されて。きっと地球も地球人も、皆んな一緒に滅ばされてしまう!

「 あぁっ …… うっ、うっ ―― もうおしまいね! 地球の次は私達もっ! 」
「 まだ、やられるって決まったわけじゃないよ! 」
「 えっ !? 」
「 君に、ひとつだけお願いがあるんだけど ―― 歌ってくれないか? みんなのために 」


 あの人は諦めなかった。統合軍本部に1人で、上を説得しに行った。異星人と和平なんて誰も考えない事が成し遂げられたのは、彼女がいたからだ。 だから俺も最後まで諦めない!

「 ゼントラーディ人は君の歌を聞くと、戦闘意欲を失くす 」
「 ほんとうに? 」
「 ああ。ミンメイだって聞いたろ? あのゼントラーディ人達が言った事を 」
「 ええ ―― でも 」
「 可能性が少しでもあるなら、やりたいんだ。頼む。きっとミンメイの歌は、奴等を感動させる 」
「 そうよね。やれる事はやらなきゃね 」
「 それじゃ、歌ってくれるんだね。皆んなの為に 」
「 ええ ―― 今日だけは、あなたのために …… 」

そう言って微笑んで身を寄せるミンメイは、自分だけを見てくれている気がした。ずっと願っていた想いが、叶うようで。何度も夢に見た唇に、惹き寄せられた。

  ( もしかしてミンメイも、少しは俺を …… ? )

映画館で見たキスが、崩れたコンサート・ホールで見た2人が、脳裏に浮かんだ ―― そして恋では無いキスは、輝の胸に切ない思い出となった。

  ( ねぇ、輝 ―― 早瀬さんって、だれ …… ? )

 綺麗なシーンが出来たと思う。私のファースト・キスは、輝なのかも。初めては「好きな人と」と、男の子達の恋心を上手くかわしてきた。カイフンとは、映画だったから。彼に急にされたから ―― そう気が付きながら、ミンメイは自分の心を深く掘り下げる事はしなかった。 そういう子だった。


 一度は重なり合った、心と唇。 輝が目を開けると、もう彼女は地球を救う歌手 リン・ミンメイだった。

「 …… グローバル艦長に連絡を入れるよ。君はブリッジへ行ってくれ 」
「 分かったわ、輝 」
「 ミンメイに地球の運命が託されてるんだ。頼んだよ 」
「 やあね、脅かさないで。大丈夫! 私、精一杯歌うわ 」

何事もなかったように、そして重責に気が付きもしない彼女に、輝は寂しさを覚えた。やはり俺とミンメイは …… 。ドアの向こうに消える人を見送り、輝はヘルメットを抱えた。

  ( 早瀬大尉。 行くよ、俺も )

発進を告げると、輝はバルキリーへと向かった。


地球統合軍 総司令部

「 パワー臨界上昇。グランド・キャノン、発射20秒前 」

 地球重力場をエネルギー源とする、超大型兵器グランド・キャノン。この日の為に軍部内で極秘に建設されたのは、5基(うちⅡは反統合軍組織の報復により破壊)。しかし現時点で完成していたのは、アラスカ1基のみだった。

「 撃てーーッ !! 」

巨大な砲口から光の矢が放たれた。


グランド・キャノン


ボドル基幹艦隊旗艦 Fulbtzs-Berrentzs ⅣⅡⅠ0Ⅰフルブス・バレンス42101

「 敵惑星上に、高エネルギー反応増大中! 」
「 なに !? 」

上空120度に渡る40秒間の照射で、80万隻のゼントラーディ艦が消滅した。

「 よしッ! 第2波、ただちに準備 」

「 敵超大型兵器の所在を確認。極点近くと判明 」
「 全艦、一斉攻撃 」

「 敵艦、こちらへ回頭。発見された模様 」
「 来たか! 照射を急げ! 」
「 エネルギー充填30パーセ ―― はっ・早い! 直撃、来ますッ !! 」

  ( 未沙 ―― …… !! )

 統合軍では偏向フィールドを調整し、次の標的を捕えようとしていた ―― が、大地は咆哮しなかった。アラスカ基地は壊滅し、グランド・キャノンは沈黙した。




 ブルーノ・J・グローバルは決断した。一条輝が提案した “ リン・ミンメイ作戦 ” を、盟友ブリタイと話し合う。通信周波数全域に渡ってミンメイの歌を流し、敵に心理攻撃を仕掛ける。これで指揮系統を混乱させて、その間に旗艦を叩くという案だった。加えてキスを見せて、より強烈なカルチャー・ショックを与える事にした。


マクロス:  ブリッジ前仮設ステージ

 ミンメイはドレッサーに座り、艶やかな髪を梳かしていた。両サイドを縦にカールしたヘア・スタイルは、ミンメイのオリジナルだ。マネをした子もいたが、全然似合ってなかった。

( 私、キレイかしら …… ? これは大事なステージなんだから )

鏡の自分に笑いかけて、満足する。自分が魅力的であるのを、少女は知っていた。ゼントラーディの亡命者3人に崇拝の目を向けられて、悪い気はしない。

「 ミンメイさん。作戦スタンバイ願います 」
「 は~い! 」

スポットライトの光へ駆け昇ったミンメイは、自分が歴史的な舞台に立とうとしているのを充分に理解していた。そう、彼女にとってこれは、戦争でも地球滅亡の危機でもない ―― 輝けるステージだ。


 砲火の光と華やかなライトに彩られ、ミンメイは歌に酔い知れた。その様は妖艶ですらあり、そして彼女は確かにエクスタシーを感じていた。歌にこの身を絡め取られたい。何も要らない、歌さえあれば …… !

カイフンが、ライトが描く円に入る。私は多分、この人なのだろう。幼い頃からよく知っていて、共に光へ入れる彼。だから差し出された手を取ったのだが ――

  ( さようなら、輝 …… )

―― 一抹の違和感と、大切な何を落してしまった感覚。 ミンメイは目を閉じて、口づけた。


マクロス並びにブリタイ・アドクラス艦隊、全戦闘員に告げる
我々はこれより、グランド・キャノンの開けた空域を通って侵攻する
リン・ミンメイの歌が中継発信されている艦、および戦闘機以外は全て敵だ!

 グローバルの声が緊迫した艦内に響く。マクロスでは乗員達が怒涛の勢いで戦闘準備を進めていた。反応弾頭への置換作業が、急ピッチで行われる。倉庫の奥から「動かなくても撃てさえすればよい」と、全ての兵器が引き出される。

パイロットは隣の整備員に顎でしゃくって、全面まばゆいモニターを示した。最奥が分からぬ程、幾層にも重なって展開する敵影。

「 なあ。味方って、ドコ? アレって、目の前全部敵って言わねえ? 」
「 計測不能だと 」
「 ほーおぅ。 弾、満タンな 」
「 おう。グローバル艦長の隠し玉、反応弾頭入りだぜ 」
「 艦長、ヤル気だねぇ 」
「 空になるまでブチ込んで来い 」
「 トーゼン。次、用意しとけ ―― 行ってくる 」


諸君らの健闘に期待する

My boyfriend is a pilot!


生還を誓い合い、ロイ・フォッカーの門弟らは決戦の宇宙そらへと飛び立った。


ブリタイ艦隊旗艦  Nupetiet Vernitzs ⅤⅥⅢⅠノプティ・バガニス5631

「 マクロスが動きました 」
「 よし。 全艦発進! 」

ボドル基幹艦隊

「 なんだ、この映像は! 」
「 おおお ・・・ ! これは …… 男と女が! うわあああ ・・・ !! 」


 輝はモニタに映るミンメイとカイフンのキスを、目を反らさずに見詰めた。再び歌い出す、彼女を見送った。

―― これでいい。あとはもう、俺は戦うだけだ

「 アタッーーク !! 」

スロットル、MAX。加速して弾道に滑り込み、ミサイル発射。急制動で回避 ―― っと! スピード出し過ぎた。

―― 走れ! 走れ!

チイッ ・・・ うるさいヤツだ、チョロチョロと。 墜とす …… !


 ホタルの如くひときわ光が集まる戦場の中心で、蒼の彗星と紅い稲妻が乱舞する。

( ミリア。 最高だ …… ! )
( マックス。 お前の後ろを守れるのは、私だけだ! )

マックス&ミリアに死角は無い。全方位、攻撃で防御だ。


Evils slayer!
第27話 The day of Destiny ~ 愛は流れる ~


 スカル・マークのVF-1Sは戦場を駆け巡る。 正面のデカい奴は ――

「 戦艦か。ようし、反応弾で! ―― やった! 」


ピ! ピ! ピ! ピ! ・・・


「 うわああっ ・・・ ! 」

戦艦に気を取られ、無防備だった。避けられない …… ! とっさに腕を楯にしても、集中砲火の衝撃はすさまじかった。「やられた」と思う間もなく、意識が飛んだ。




地球統合軍本部:  総司令部管制室

 早瀬未沙は声を限りに呼び掛けていた。必死の発信にヘッドホンの向こうの応えは、無音。緊急退避を示す赤い照明と「emergency evacuation !!」の文字。

「 A-4エリア、応答してください ―― A-4エリア! A-4エリア! 」

未沙が担当したA-4エリアは防衛の要で、ここが落ちたら地球全体が敵の射程に捉えられたと言って過言ではない。実際は地球全天からの攻撃に、エリアなど意味を持たなかったが。それでもこの管制室のように残る所があるかも知れないと思えば、そこを見捨て避難などできない早瀬未沙であった。 それに ――

  ( マクロスだって、まだいる )

静寂が次の一斉攻撃を予期させ、すぐにでも退避すべき状況だ。しかしあのふねには、未沙の大切な人々がいる。本当は、皆んなと一緒に戦いたかった。彼等もきっと今頃、力の限りに戦っているだろう。

  ( グランド・キャノンのエネルギー充填まで、戦線を維持しないと )

分かっている ―― もう地球が咆哮する事はないかも知れない、と。それでも未沙は、ひたすら呼び続けるしかなかった。 本当は、ただ恐ろしかった。信じられなかった。地球全滅を示す地図も、背後に転がる存在も、ここに1人きりの自分も。

他の者は天井が崩れたのを機に避難して、今ここにいる生ける者は未沙だけだ。地下何キロにも及ぶ、暗い暗い穴の底。闇に、死に、取り込まれてしまいそうで、目の前の任務に縋るより他になかった。


ザザッ ザー ・・・

乱れたモニターからの呼び掛けは ――

「 未沙 …… ! まだそこにいたのか! 」
「 提督こそ! 」
「 こちらはもうだめだ。おまえだけでも脱出しろ! 」
「 …… そんな! 」

父は司令室と ―― 地球統合軍と、命を共にする気だ。未沙は直感した。

「 結局 ―― お前の言っていた事が、正しかったのかも知れない …… 」

父の笑みを、炎が消した。

―― おとう、さま …… ?

「 お父様! お父さま! ああ、ぁ ・・・・・・ っ !! 」


誰か ―― 誰か。 どうか …… !


渦巻く爆風

            by deansouglass


マクロス・ブリッジ

「 射程圏内突入。反撃ありません 」
「 成功だ! 」
「 全艦撃てッ! 」

 ミンメイの歌により敵の指揮系統は混乱し、攻撃の空白が数分間生じた。機を逃さず放たれる、マクロスとバルキリーからの反応弾。ブリタイ艦隊のエネルギー・ビーム。小舟のような一団は、敵の大海の中を一直線になだれ込む。標的はひときわ巨大な旗艦、Fulbtzs-Berrentzsフルブス・バレンス


カムジン艦隊旗艦  Queadol Magdomilla Ⅰ0Ⅰ0Ⅶケアドウル・マグドミラ 10107

「 いい歌だ ―― 俺達も行くぜ! 」
「 団長、相手は味方ですぜ !? 」
「 バカ野郎。 俺は味方殺しのカムジンよ! 」

味方に鉄砲向けるなんざ、今更だ。られる前にヤる。当然だ、面白れェ !! 俺はテメェがよしと思った事をやるぜ。ついて来い、野郎ども !!


ブリタイ艦隊旗艦  Nupetiet Vernitzs ⅤⅥⅢⅠノプティ・バガニス 5631

「 砲撃を絶やすな! 」

予想以上だ。我々はやれる ―― ボドル・ザー閣下。 勝たせて頂きますぞ?


ラプ・ラミズ艦隊旗艦  Queadol Magdomilla Ⅰ0Ⅰ0Ⅶケアドウル・マグドミラ 10107

「 ブリタイに遅れるな!」

進め! 進め! 男共に遅れを取るな! ―― ふふっ、面白いじゃあないか?


ノプティ・バガニス と ケアドウル・マグドミラ


マクロス・ブリッジ

「 クローディア君。現在地は 」
「 敵艦隊の防衛網を突破 」
「 正面、敵機動要塞です! 」
「 目標接近! 」
「 全反応兵器、スタンバイOK 」
「 護衛機各隊はただちに散開 」
「 ピンポイント・バリア、艦首へ収束 」


「 マクロス・アタック !! 」


 グローバルの号令で、マクロスは一陣の矢と化した。巨大な旗艦へ突撃し、バリアで武装した艦首で貫く。何層にも及ぶ構造をへし折りながら、中枢へ突き進んだ。敵深部は巨大な空洞だった。最後の護りである親衛部隊が待ち構え、中央にボドル・ザーがいた。

ボドル基幹艦隊旗艦  Fulbtzs-Berrentzs ⅣⅡⅠ0Ⅰフルブス・バレンス42101

「 プロトカルチャーめええぇぇ !! 」

「 中央の核に向けて砲撃後、ただちに全方位バリアーを展開せよ。諸君! 残らず撃ち尽くせッ !! 」
「 全弾、中央の核へ発射! 」
「 全方位バリアー展開! 」

反応弾を含む数千発が、マクロスからきらめきの糸を描き ―― 運命を射抜いた。

「 ウアアアアアア ・・・ !! 」

反応爆発で数千機の反応炉が誘爆して内壁を盛り上げ、瘤が艦壁をはしる。銀河にひときわ大きな輝きを放って、Fulbtzs-Berrentzsフルブス・バレンスは沈んだ。残存艦群は軍機に従い、太陽系から次々に撤退していった。


 マクロス標準時間 午前11時27分。110億を超える地球人と75臆余のゼントラーディ人の命を失い、地球の存亡を賭けた決戦は終結した。




Silver moon Red moon ・・・


「 ―― 大気圏か。 もう戻れないな 」

 大破して宇宙を漂うVF-1Sで、輝は意識を取り戻した。さっきの被弾で宇宙空間の移動は困難だ。あとは地球の引力に従い、落ちてゆくしかない。大気圏突入に耐えうるよう、ファイターへ変形した。

モニタにミンメイが歌う姿が映る。徐々に振動が大きくなり、摩擦熱が取り巻くのを感じた。コクピットに防護シャッターが降りて、本格的な降下が始まる。彼女の姿が霞み ―― やがて途絶えた。

「 さよなら、ミンメイ 」

もしかすると俺は、死なずに済むかも知れない。しかし道は、もう交わらない ―― 本当に一人だ。


「 地上は全滅か …… 」

 VF-1Sは引力に導かれてアラスカ上空を飛んでいた。眼下の光景は生ける者の存在を感じない。この世に自分1人になった気がした。 さて、何をすればいい? どこへ行く?


アラスカ上空を飛ぶVF-1S

         

・・・  応答願います  ・・・  こちら総司令部 ――

耳によくなじんだ声。 まさか …… ?

―― 生存者がいたら応答してください …… !

「 大尉! 早瀬大尉! 」
『 その声、まさか ―― まさか一条君 !? 』
「 無事だったんですね! 」
『 ええ。だけど生き残ったのは私1人きりらしいの …… 』
「 ひとりだけ? それじゃ救助に向かいますから、現在地を知らせて下さい 」
『 やめて。あなたも危険だわ! 』
「 そういう命令。今まで守った事なかったですね 」
『 一条君、あなたって …… あなたって …… 』

早瀬大尉は他人を頼らないし、気持ちより任務を優先する。 だから? 俺はそんなの、気にしない。彼女には助けが必要だし、俺が助ける。大尉だって本当は1人なんて嫌なんだ。

あてど無く独りで飛んできた輝が、導かれた人。俺を待っていてくれた人。早瀬未沙はそんな存在に感じた。俺達が生き残ったのも、めぐり逢えたのも、奇跡だ ―― それは運命って思って、いいんじゃないか?


Time flows  Love is flowing ・・・


「 すごい穴だ。これがグランド・キャノンか 」

巨大な砲身へ舞い降りて進んでゆく。崩れた壁面から破片が落ちた ―― 崩壊するかも知れない。

急げ、急げ …… !


下手したら、デカイ墓になっちまう。

早く! もっと、早く! 


次の攻撃が来るかも知れない。早く迎えに行ってあげたい ―― いや、違う。

早瀬さん …… !


 ゲートにガウォークで滑り込んだ。踵が砂煙を上げ急停止する。レーザーで防護壁を焼き切り、バルキリーから飛び降りてシャッターをくぐった。

「 大尉! 」
「 一条くん! 」

あの人が駆ける。俺だけを目指して。会えると信じてた。地球が火の海でも、何故か揺るぎなかった。もう大丈夫だよ。両手に感じる確かな手応えに、俺の中の何かが満たされた気がした。無事で良かった ―― 逢いたかった …… !

「 大尉、ケガはない? 」
「 ええ、平気よ。あなたは? 」
「 俺も。ここは危ない。早く出よう 」

彼女の手を引いてバルキリーに乗せる。1人乗りだから仕方ない。狭いけど我慢してくれよな。

「 大尉。これ被って 」
「 でも、そうしたらあなたのヘルメットが 」
「 いいから 」

ちょっと強引に被せたら緩いけど、まあいいか。ケガしたら大変だ。

「 行くよ。ちゃんと掴まってて 」
「 ええ。お願いね 」

しっかり回される腕に安心して、発進した。爆風を突っ切って、キャノピーが割れる ―― ひゅ~っ  スゴかったな、今の。

「 大尉、大丈夫? 」
「 ええ。 でもちょっと怖かった 」
「 ならしっかり掴まってて! 」

俺が守ってやる。俺がマクロスへ、貴女あなたを ―― 帰るんだ、一緒に …… !


 地上に降り立つと、見渡す限り焼け野原だった。早瀬大尉が手を差し出して ―― 握手か。

「 ありがとう 」
「 どうも 」

手を握り返す。ちょっとだけテレ臭い。

「 だけど、また命令違反しちゃいましたね 」
「 うふ。 いいのよ。 ホント言うとね。今度もまた あなたが来てくれるんじゃないかって、思ってたのよ 」
「 大尉 …… 」
「 うふふ 」

―― あなたも、そう思ってくれてたんだ ……


 戦いは続いているはずなのに、辺りは静かで。風が大尉の髪をなびかせるのが、妙に穏やかだった。日の出前の空は薄墨色で、大きく小さく光が瞬いた。

( 綺麗だな …… )

あれは戦火で、燃えているのは命だ。なのに美しいと思い、驚いた。正直、実感がない。地球が全滅しつつある事も、多くの生命が失われたのも。確かだと思えるのは、俺の隣には早瀬大尉がいるという事。

―― 俺は君を、ちゃんと助けられた。 もう、1人じゃない。


あれ程たくさんあった光が、音もなく消えてゆく。

「 ―― 終わったようね 」
「 ああ 」
「 みんな無事かしら 」
「 さあね 」
「 ―― もしかしたら、地球で生き残ったのは、私達2人だけかもしれないわね 」
「 それでもいいんじゃない? 」
「 えっ? 」
「 ひとりぼっちじゃないんだから 」
「 一条くん …… 」

―― 俺と君で2人なら、それでいいんじゃないかな
―― それでもいいかも知れない。 あなたとなら



Please filled with tenderness ・・・


「 この声は! 」
「 ミンメイさん! 」
「 無事なんだ、マクロスは! 」

―― 俺達、助かるんだ! 地球は滅亡しなかったんだ! 早瀬さん!


輝は未沙の手を取って胸に引き寄せた。

「 ああ ・・・ どこにいるの !? 」
「 あれだっ! 」

  「 「 マクロス ……!」 」

バリアーの粒子を煌めかせ、マクロスは朝日に降り立つ。輝と未沙は、新しい時代の始まりを見た。

「 さあ、行こう 」
「 ええ 」
一緒に …… !


 スロットルに手を重ね、笑みを交わして発進する。風が誇らしかった。世界の全てが輝かしかった。マクロスも、明日も、あなたも …… !


遙か彼方のみらいに向かって。 今、2人は走り始めた。


マクロスに向かって飛ぶガウォーク


第一部 完

あとがき

圧巻の最終回
画は大迫力かつ表情豊かで、内容の濃いストーリーが流れるように展開する。「本来の最終話」と言われるのも納得の回で、従来のアニメならここで終わりという形。私は28話以降があるからこの作品に惹き付けられた者ですが、第二部が「蛇足」「不要」と評されるのも仕方ないと思わせる程の見事なラストへの展開でした。「マクロス」という超大型戦艦で繰り広げられる人間ドラマと巨大異星人との戦争、という意味では実質的な最終回。ただ第二部なしでは「三角関係」はマクロスの主軸テーマとならなかった。故に今でも受け継がれるシリーズとはならなかった、かも知れないと思います。

河森氏「 」部分は、ムック本「マクロスグラフィティ」から引用しています

河森氏「大戦闘シーンをバックにした三角関係を描いた回」
という事で、頑張ってみました。死ぬかもしれない ・ 地球全滅の危機に、果たして恋愛に意識が行くのか?という疑問もありました。しかし「大切な何か」の為に戦ってる事に結局は行き着くのだろう、と思うと了解出来ました。印象的な画像を入手でき、よりイメージがつきました。全て違うテーマの写真に、雰囲気を当てはめただけです。河森氏「歌に合わせた戦闘も見せ場」は無理でしたが、「歌に合わせた」は少し意識してみました。

暗示的なシーン
輝がミンメイに恋した閉鎖区間の続きである、キス・シーン。ミンメイをファン・レーサーに乗せてマクロスから脱出しようとした輝が、今度は未沙をバルキリーに乗せてマクロスへ帰って行く。この辺りが河森氏「輝とミンメイの訣別、そして未沙への自覚」かな?と思います。

輝のミンメイに対する思い
戦火と地球に彩られたキス・シーンは、輝の表情の曖昧さもあって印象的でした。彼の言動全般に、覚悟と現実感のなさ、繰り返される「さよなら」を感じました。ミンメイは無自覚に輝が好きだったけど、この時には分からなかった、としました。

輝の未沙に対する思い
「バイバイ・マルス」以降、輝の言葉ではほとんど語られませんでしたが、表情や行動で大切な人と自覚し始めた感じがしました。輝はこの時点でハッキリ自覚していなそう(パーメモより)なので、直感的な表現にしました。河森氏「地球全滅という極端にひどいことを見せましたが、そのような状態でも、人間と言うのは好きな者同士なら、なんとかやっていけるんじゃないかな ―― ということを見せたかったのです。」との事で、こう致しました。

輝と未沙の関係
パーメモ「二人の間に愛が芽生えた。 ~ 中略 ~ 二人は “ 恋 ” というステップを踏む事なしに、より親しい・ ・ ・ ・ ・間柄になっていた。それは肉親同士の愛情に似た物と言えよう。」との事で今まであちこちのSSで小出しにして参りましたが、ここで一区切り。まだ表現不足は否めないので、ボツボツ描いていきたいです。


私はSSの通りに解釈しましたが、意図が表現出来ていればいいなと思います。皆さんの解釈はいかがでしたでしょうか。あとは「4月のブログ日記」にて萌え萌えとしゃべらせて頂きます。この後に戦争中 ・ 直後編が続きますが、暗い描写 ・ 設定根拠が薄い ・ メカや戦闘がヘボイ等、ご了承下さいませ

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