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「SS (二次創作小説)」
超時空要塞マクロス 第一部

Coffee & Milk Tea

輝と未沙の、お勉強風景

「 髪がグチャグチャで “うんうん” 困ってるから助けてあげようとしたのに、アイツったら! 」


輝のぼやき

2012.2.4 UP


 一条輝中尉は今日もひとり、書類と格闘していた。テーブルの上は消しゴムのカスと数冊の本や紙が散乱し、彼の頭の中がどのような状態かが分かる。そばにある紙コップはコーヒーで幾重にも茶色く染まり、何度もお代わりして長い間粘っていたようだ。コップの縁に噛み跡が幾つもついており、精神状態はよろしくないらしい。

「 う~~っ、分っかんね~! 」

 輝が格闘しているのは、中隊長が作成する「訓練報告書」。掻きむしった髪を更に乱して頭をボリボリしても、何の知恵も浮かばない。初めは控室でやっていたが、他の連中がうるさくて自分の部屋へ逃げた。すると今度は静か過ぎて落ち着かないし、かといって音楽をかけると気が散る。取り組める場所を探して行き着いたのが、自動販売機の「ブーン」という音が何となく程よい離れの喫茶室だった。消灯の21時を過ぎて暗くなっている中で、自販機のそばだけが明るいのも集中できる。

「 あら、一条君じゃない。どうしたの? こんな所で 」
「 あ、早瀬大尉。訓練報告書を書いてるんです 」
「 ああ、明日までだものね 」
「 一度出したんですけど、先輩にダメって言われちゃって 」
「 ふふ。フォッカー少佐、結構厳しいから 」
「 普段あんないい加減なのに、言葉遣いとか細かいんだよな 」
「 社会人としては常識でしょ? 」
「 あーあ。世の中キビシーよな。俺みたいなヤツに常識を求めるだなんてさ 」


 未沙は眠る前に飲むホット・ミルク用の牛乳がなかったので買いに来たのだが、髪がボサボサのまま鼻の下でペンを挟んで「うんうん」言っている一条輝が気になった。未沙は彼の向かいのイスに腰を掛けると、書類を覗き込む。フォッカーが入れたのか赤字だらけの紙は、消しゴムで何度も痛めつけられてヨレヨレだった。

「 頑張ってるじゃない 」
「 まぁね 」
「 それにしても、真っ赤ね 」
「 仕方ないだろ? こんなの慣れてないんだから 」


 一条輝は本来なら、学校で国語の授業を受けていてもおかしくない年齢だ。そう考えると未沙は、戦中という時代の厳しさを目の当たりにした気がする。でも ――

「 これは社会人として必要な事よ。頑張って慣れてね 」
「 分かってるよ。メシには代えられないさ 」

―― 男の子だからこの先「お嫁に行けば」という訳にもいかないだろうし、仕事が自信や人生の価値そのものにも成り得るだろう。そう思えば年齢ではなく彼の必要性に合わせて接していくのが、一応一歩先を行く自分の役割だと思う。

「 大体だなぁ、字を書く所が多過ぎんだよ 」
「 項目も報告すべきポイントも基本的には同じなんだから、そんな困らないでしょ 」
「 同じなら毎回書かなくてイイんじゃない? 面倒臭いなぁ 」
「 それで書き漏れが多いのね 」
「 “ 天気 ” なんて項目、要るのか? ここは宇宙だぞ ―― って、ちょっと。俺の報告書、ジロジロ見ないでくれる? 」
「 あなたの文章って、読書感想文みたいねぇ。どうして “ 思う ” なんて曖昧な言葉が、こんなに出るのかしら。事実と考察、結論と推測。ここをきちんと分けないで “思う” だなんて、中隊長としての自分の言葉に無責任な感じがするわ 」
「 無責任って …… 誰もそんな風に、ちゃんと書いてなんかいないよ 」


 ブツブツ言いながら指でペンをくるくると回したり、イスの脚2本をギイギイいわせて後ろにブラブラしてみたりと、まだまだ学生っぽさが抜けない仕草。でも「いい加減なままでいい」とは言わずにこんな時間までやっている彼は、仕事をするという事をちゃんと解っているようだ。それにしても ――

「 ダラしない格好ね。気が散ってるなら少し止めて、気分転換でもしてくればいいじゃない 」
「 うるさいな。仕事中じゃないんだから、別に俺の好きにしていいだろ 」
「 うるさいですって !? 軍服を着ている以上、どこでも品位を忘れないで頂戴 」
「 着替えるのがメンドクサかったんだ。大体俺がひとりでいた所に、アンタが来たんだろ。いちいち口出ししないで欲しいね 」
「 まあ! ちょっとは真面目にやってるから協力してあげようと思ったのに 」
「 誰も頼んでないよ。ってか、分かんなくてイライラしてる所に分かってる風に言われると、イヤんなってくんだよ 」
「 わ、私は上官として ――
「 だ ・ か ・ ら! 今は仕事中じゃないって言ってるだろ 」


 一条輝はそう言うと、荷物を置いたまま出て行ってしまった。未沙は暗い喫茶室に一人で残されて、カッとなった気持ちも何だか虚しくなってくる。何とはなしに手許にある報告書に目をやった。

「 何が出来ないのよ。書く内容は大体いつも同じような事じゃない 」
『 同じなら毎回書かないでイイんじゃない? 』

「 決まった項目に決まった事を書けばいいだけじゃない 」
『 字を書く所が多過ぎんだよ 』


 一条輝に文句を言いながらも彼の言葉が甦り、「言われてみれば」という気がしてくる。自分は文章を書くのに苦労しないので気が付かなかったが、苦手な人から見ればこの書類は「面倒」でしかないだろう。

大体この書式は地球での訓練に合わせて作成された物だ。“ 天気 ” なんて項目は「どう書けばいいんだよ」と馬鹿らしくなって、報告書の意味自体を疑う気持ちになっても仕方ないかも知れない。

「 メンドクサ、ねぇ …… 」


 報告書の目的は、訓練が安全で効果的に行えたか、今後どのような訓練が必要か、隊員の適性に合わせて実戦に投入できるようにする ―― といった事が本来であるが、最近形骸化してきた気がする。

軍の訓練校など無く民間人の若者が多く志願して来る現状では、一条輝のような社会教育が不十分な者が隊長業務を行う事が今後も有り得るのだ。記入の仕方だけでなく、各書類の意義やどう活用されるのかも理解できる指導が必要だ。

未沙はしばらく赤字に染まった書類とにらめっこして、考え込んでいた。


「 何? 他にも直す所があった? 」

 一条輝が私服姿で戻って来て、自販機で缶コーヒーを買う。

「 早瀬さん、何がいい? 」
「 え …… ? 」
「 の ・ み ・ も ・ の 」
「 いいわよ、そんな。ご馳走になる理由もないし 」
「 いや、お礼だから 」

不思議そうに自分を見る未沙に対し、輝は自販機に向かったままそっぽを向いて頭を掻く。

「 だからさ? 色々と教えてもらわなきゃならないし 」
「 …… 一条君 」
「 頭冷やして考えてみたら、悔しいけどアンタの言う通りだと思ったし 」
「 私も、あなたの言う通りだと思った 」
「 え? どこが? 」
「 確かにこれ、面倒臭いわね 」

「 何だよ、別に俺に合わせる必要ないぞ? で、飲み物ナニにする? 早くしないとホットのスポーツドリンク(一部の愛好家に人気)にするよ? 」
「 やだ、それは止めて頂戴。そうねぇ ―― ホット・ミルクティーにしようかな? 」
「 りょーかい。これで大尉は俺が報告書を書けるように、協力しなくちゃいけない 」
「 はい、了解しました。同僚として、ちゃんと面倒みてあげるわ 」
「 ―― よろしく、先輩 」

2人はニヤリと笑い、コーヒーとミルクティーの缶をぶつける握手をした。

Tea Break

 後日各種の報告書が見直され、項目を大幅に減らしてチェック方式を取り入れた簡素な書式に変更された。例で記入の仕方を説明するだけではなく、書類の目的や誰が目を通すのかまで載せられたマニュアルも作成された。輝を始め多くの者が「楽になった」と大喜びで、一見無意味に思えた報告書がどう日常業務に関わってくるかが分かり、書類作成業務に前向きに当たれるようになった。

「 早瀬大尉が変えてくれたんですか? 」
「 うふっ。一条中尉の面倒臭がりには負けたわ。ですわよね、フォッカー少佐? 」
「 そう言うがな、早瀬。科学の発達は人間の面倒臭がりのお陰なんだぞ 」
「 いや、先輩。俺、そんなご大層なモンじゃ 」
「 一条君。ロイは自己弁護してるだけよ。いっつもあなた達の書類を “メンドクセー・メンドクセー” 言いながら見て、挙句に “真っ赤にしときゃ、ちゃんと読んだように見えるだろ” って赤入れてるんですもの 」
「 ホントですか、クローディアさん !? 先輩、そんなだったんですかっ! 」
「 あーあー、ウルセーよ。大体な、オマエ等が書くのが大変なら、見る俺も大変なんだよ 」
「 でも “メンドクセ” はナイでしょ! 」
「 お前だって言うだろ? メンドクセって 」
「 馬鹿ね。あなた達2人して言ってるわよ 」
「 ―― 親父の口グセだ 」
「 仕方ねぇなぁ。俺もお前も、面倒臭がりの親父さんに育てられたからな 」

「 ご兄弟で仲が宜しいのは結構ですが、お2人ともいい加減に報告書を提出して頂けませんか? 」
「 なぁ、早瀬。モノは相談だが、簡略化ついでに書類その物をだな? そのぅ …… 」 
「 締切まであと1時間を切りました。無駄口叩いてるヒマがあるなら、早くご記入下さい 」
「 できた! 大尉、できました! んじゃ、先輩。お先にぃ~ ♪ 」
「 あっ。オイ、輝! オマエ、俺より先に “ お先 ♪ ” なんて、生意気だぞッ 」
「 あと57分30秒です 」
「 は~や~せ~ (泣) 」

「アイツは放っといて、アタシ達はお茶しましょ」

おわり

あとがき

輝に教える先輩・未沙と、彼のボヤキからヒントを得て業務改善をする上官・未沙。喧嘩する2人 ―― を描きたくて作りました。ひと言で “ ケンカ友達 ” と言っても「実際どういう風なのかな?」と思いまして、それも入れました。

ラブラブもいいけど、オトモダチもいい
軽口をたたきあって対等な感じも好きです。第二部以降はラブ寄りで未沙が下手になっている感じがしますが(惚れた方の負けですね)、この辺りはトモダチ感覚でいいなぁと思います。
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