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白い薔薇によせて



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「SS (二次創作小説)」
空白の二年間

Sweet‐Valentine

バレンタイン・シリーズSS。第3弾の大トリは、も ・ ち ・ ろ ・ ん

2011.11.18 UP


 輝は娘娘(にゃんにゃん)を後にし、約束の店へと向かった。本当はもっとミンメイの歌を聞いていたかったが、時間を守らないと叱られるから中座したのだ。

「 待った? 」
「 ううん。時間通りね 」
「 遅れたら怒るだろ? 未沙は 」
「 トーゼン。 “ 為らぬものは為らぬのです ” よ。 」

 この前一緒に外出した時に、20分程遅れて叱られたのだ。未沙は “ 怒る ” のでなく、“ 叱る ” から反撥もできない。それに「叱ってくれる人がいるのは、ありがたい」と分かる位には、輝も軍内での地位が上がっていた。

 アクロバット飛行などはタイミングが命だから、輝の時間感覚は鈍くなかった。しかし基本的に大雑把な性格であったし、田舎に近い割とのどかな町で育ったので、待ち合わせなど「5分10分はOK」な認識だ。


「 ミンメイさん、元気だった? 」
「 ああ。彼女はいつも元気さ 」
「 良かったわね 」
「 カイフンも元気そうだったよ 」
「 そう。忙しそうだから、ご両親は心配されてるでしょうね 」

  ( “ ご両親 ”がいるから、のん気に反戦なんて言ってられるんだ )

 輝は心の中でのみ、愚痴る。彼は輝を見るとすぐ眉をしかめ、ミンメイを離そうとするのだ。「今日は私服で」と本当は思ったが、面倒臭いし「ヤな顔させてやれ!」と着替えずに行ってやった。

  ( 俺達のお陰で、安心して家族と暮らしてるクセに )

 似たような事を以前未沙に言ったら、「そういう声を受け止めるのも、私達の務めよ」と言っていた。

  ( 未沙は任務なら、なんでも我慢するんだな )


任務だから、市民の声にも痛みを我慢して
     任務だから、目前で父を亡くした悲しみを我慢して
          任務だから、俺とキスをして ――


 輝は何となく面白くなくて、マスターにぶっきらぼうに注文する。

「 ビール 」
「 ちょっと待って 」
「 ナニ。もう俺、酒飲んでもいい年だぜ 」
「 ううん、そうじゃなくて 」
「 バーでコーラなんか、飲めるってか 」
「 あなたに ・・・ 飲んでもらいたいお酒があるの 」

 この店はマスターが通で、色々な酒を置いている。大戦後の物資難時代でも「どうやって手に入れたんだろう」と思うような、貴重な品を並べていた。だから自他共に認める酒好きの未沙は、店の雰囲気だけでなくマスターの逸品に惹かれて常連になっている。

 以前はクローディアと来る事が多かったらしいが、最近は輝とだ。未沙はまずマスターにオススメを確認してから注文し、食事をしながら嗜んで、最後にいつもの赤ワインで仕上げる ――

「 コーラの酒モドキなんか、要らないよ 」
「 うん、もう。コーラはお呼びじゃないの! 」

―― こんな風に輝にからかわれて、彼にちょっぴりスネてみせて。以上が未沙の、最近の “ お気に入り ” パターン。


「 なんか面白いモン、見付けたの? 」
「 面白い? ・・・ ええ、そうね。面白いお酒よ 」
「 んじゃ、ソレにしますか! 」

 輝はらしくなく歯切れの悪い未沙に ? と思いながらも、彼女に絡んで気が済み、“ お呼び ” とやらを飲んでみる事にする。未沙はマスターにうなずくだけで、注文を終えた。もしかすると、彼から聞いた品なのかもしれない。

「 お食事は、済んでるわよね? パーティ、どうだった …… ? 」
「 すごい人でさぁ。でも料理は旨かったし、飾りも面白かった 」
「 ―― ハートの飾り、とか? 」
「 そうそう。で、あれって、“ 中華風ヨーロピアン ” とでも言うの? 」
「 うふっ。聞いたことないけど、見てみたくなるわね 」
「 上手く言えないけど、とにかく変わってたよ 」

 口元に手をやる未沙の指先には、初めて見るマニュキュアが施してあった。透明感がある いつもよりちょっとピンクの爪は、健康的で控えめ。男には分からないその色は、さんご色 ―― 輝好みだ。

「 ミンメイさん、どんな格好だった? 」
「 ん~? フワフワ着てた 」
「 ・・・・・・ 」
「 ・・・・・・ 」
「 それだけ? ホラ、髪をアップにしてたとか 」
「 TVと同じだよ 」
「 お花を胸に付けてたとか 」
「 ハナ? 鼻は顔だろ 」
「 うん、もうっ! 馬鹿にして 」
「 へへへ 」


 マスターがグラスを2つ、銀のトレーに乗せて来る。落ち着いた雰囲気の店内は、さっきの “ 中華風ヨーロピアン ” とは全く違う。こんな大人の店も、2月に入ればバレンタイン風にするのだろうか?

「 お待たせ致しました 」

  「 ありがとう 」 「 どうも 」

 マスターはゆったりとした、けれども2人の邪魔をしない素早い動作でサーブをして立ち去る。空気みたいに雰囲気を壊さないのに、バーその物のような存在感があるのは、さすがプロなのだろう。

「 これ ・・・ 黒ビール? 」
「 ビール、大丈夫よね? 」
「 うん。酒なら、ビールが一番だな 」
「 よかった ・・・ 」

 未沙はちょっと緊張した面持ちを緩め、2つのグラスを輝に掲げた。きめの細かい豊かな泡と、うっすらと汗をかいたグラスが旨そうだ。


Sweet or Bitter ?


“ 大人な ” チョコレートのお酒 「Chocolat Brewery」
Sweet-Valentine
実際は缶製品です


Bitter or Sweet ?


 いたずらな目をして、可愛く小首をかしげる未沙を見れば ・・・

「 ス、スィート? 」
Yes

 未沙がさっとリボンをバックから取り出し、グラスの脚に結ぶ。パールの光沢とシャープな質感を持つ布は、輝のスカイ・ブルーと未沙のローズ・レッド

「 あなた、ブルーが好きよね? 」
「 う、うん 」
「 よかった 」

 未沙の手指がなめらかにシルクを操ると、綺麗なリボンがグラスを彩る。さんご色の指先は清潔感があるのに、その動きは何故か色っぽく感じる。しなやかな白い指が、スカイローズに映えて ・・・

「 じゃあ、乾杯 」
「 あ・ああ。乾杯 ・・・ 」

キン ・・・


「 ふふ ・・・ 。輝ったら、お ・ ヒ ・ ゲ 」

 未沙は穏やかな目をして、ハンカチで輝の鼻の下についたビールの泡を拭き取った。輝は子供っぽい自分に恥ずかしくなるが、未沙の声が愛し気だから「まあ、いいや」と思う。

 アイロンがあたった白が眩しいハンカチからは、ふんわり甘いバニラの香り。ちょっぴり照れくさいけれど、優しくされるのが嬉しくて、ほんのり Sweet な気持ちになる。


―― ねえ、未沙。 乾杯って、何に …… ?

「 どう? 」
「 ちょこっとチョコ味? 」
「 くすっ。面白いけど、全然ロマンチックじゃないのね 」
「 俺のボキャブラリーに、期待しないでよ 」


―― 本当は、答えを知ってる。 だけど、まだ時期じゃないから ・・・

「 甘いの、好きよね? 」
「 うん。好きだよ 」
「 あなた、私より好きだものね 」
「 うん。 ・・・ 好き、だ 」


―― 初恋に、まだ少しだけ、痛む胸があるから ・・・

「 ビター、ちょっと飲ませてよ 」
「 え …… ? 」
「 未沙は ほら、スィート 」
「 え? ええ ・・・ 」

―― 君に優しくされて、もうちょっと、このままでいたいな


輝の恋は、まだちょっぴり Bitter and Sweet


Heart & Heart ♥

nyao*


おしまい

あとがき
ミンメイのバレンタイン・パーティーに張り合う未沙。マスターにお願いして、チョコもどきを準備。人が口を付けた物はイヤだけど、輝ならOKです。ことわざを出す等して、輝を時々お説教。

未沙は前作「Happy-Valentine」のミンメイと、対比させています。輝の好みを知っている ・ 淡いフワフワと、シャープなリボン ・ 甘いものは好きでなくなったと言う輝と、好きと言う輝 ・・・・・・ いや~、作者贔屓ですね。

鈍感&意図的に、未沙の気持ちにも自分の心にも気が付かない(事にしている)輝。早くも、甘え全開です。輝の冗談は、小学生のダジャレ系(私がそう)。いつまでも甘えんなよ?

言語について
英語を未沙は英文字、輝はカタカナにワザとしています。未沙の発音はネイディヴで、輝はちょっと日本語英語 ―― という違いを、文字で表わしたつもりです。多分マクロスでは英語が公用語と思うのですが、言語に触れた資料はゼントラ語しか見ませんねえ。

Pメモによると1999年に ASS‐1― ALIEN STERSHIP‐1 ― (マクロス)が墜落し、地球人類は宇宙からの侵略に脅威を感じて統合政府を樹立したとあります。文化の最たる物と言える言語は、早々に整理されたのでは。でも墜落以降の事だから、輝の年代はまだ日本語メインで生活していそうです。

未沙と折角日本人同士なのに、その共通のアイデンティティーに触れた描写はありません。国という文化の枠組みは、かなり曖昧になっていたようです。

私設定では、未沙は父の転勤で海外生活経験があます。輝はアニメージュ「マクロスタイムズ」によると父に連れられて転校が多かったそうです(資料を直接は見てません)。私は「祖母にみてもらうため小さい頃は父の故郷のそばで暮らして、10歳あたりからは父と一緒に海外に行っていた」と設定しています。

ちなみに、マックス&ミリアも英文字。マックスはヨーロッパ出身ですし、なんとなく堂々とキザっちい感じが似合うかな?と。

最後に、私の英語力はヒドイです。単語はIMEがお利口さんで変換してくれますが、大 ・ 小文字や2~3語の短文などでも間違ってるかも ―― をご了承下さいませ。


Chocolat Breweryショコラブルワリー
~ サッポロとロイズが贈る、“ 大人な ” チョコレートのお酒 ~

2009年1月にネットのみで発売され、5日間で限定2万セット(3本入り)が完売したそう。毎年1月になると販売するようです。飲んだことはありませんが、ちゃんとビールで、チョコはあくまでチョコっと甘い ・ 風味くらいらしいですよ。



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 Comment 

11/26 16:18 拍手コメG様へ 

気付かないフリをする輝
 「男性は思考を優先し、自分が何を感じているのかに女性よりも鈍感 」と何かで読みました。本当かどうか、また個人のキャラもあるでしょう。私の経験では「そうだな」と思いますが、男性自身から見てはいかがなものでしょうね。私の描く輝は男の人から見ると、なよっちくて共感できないかも知れません。

気付かないフリは、まだミンメイへの想いが少しでも残っている輝の、未沙・ミンメイに対する彼なりの誠実さや不器用さでもあると思い描きました。TV版小説の輝が、入隊後の訓練場面で「腕や脚の痛みは、自分の恋の純粋さを証明するたしかなあかし」と思っていた事。パーメモに、ミンメイへの未練を「そんな、自分のけじめのなさが嫌だった」とあった事。等から、そんな輝が浮かびました。10代の男の子としても、彼のキャラとしても、「らしい」感じがして好ましいです。

公用語
 私も丁度「愛・おぼ」を見て、同場面で「英語だぁ」と思いました。冒頭の乗員達の言葉も英語でしたよね。ファーストの入隊申込書も英語でした。でも「愛・おぼ」とCD「MACROSS CLASSIC」の輝の「サンキュー」と聞くと、どうしても彼の発音がよいとは思えない・・・。クロニクルまで手を出したくないのですが、新説がないか興味はありますよね。何かチラ見された耳寄りな情報があれば、ぜひまた教えて下さい。文化の枠組みについて、さて根拠の積み重ねによるオモシロ真面目な論説を楽しみにしておりますe-68

画像
 あのリボンは描きました。使いたかった描画ツールの練習と、思うようなデザインの画がなかったためです。四苦八苦しながら描いたので、有り得ないカーブとツヤをしています・・・。ツヤツヤ・シュルリとした質感と鮮やかな色をしたリボンが好きです。

コメの投稿方法
 既にご存知の上での事で、余計なお話なるのかも知れませんが、一応・・・。拍手コメは文字制限がありますが、記事コメはない?ようです。少なくとも拍手よりは多いよう。私はどちらでもよいのですが、記事からの方がもしかしたら書き易いかもしれませんね。

 お知らせと嬉しい感想、参考になる情報をありがとうございます。楽しくレスさせて頂きました。長文失礼致します。
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