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「SS (二次創作小説)」
超時空要塞マクロス 第一部

夕焼け

マクロスが地球に着いて、輝と未沙がケンカ仲間だった頃です。

戦士の休息

by:mashleymorgan
画像はF-14トムキャット


 未沙は軍服から部屋着に着替えると、ベッドを背にして床に座り込んだ。


「 はぁ ・・・ 。疲れた ・・・ 」


今日は、戦闘はマクロスでが初めて ・・・ という者達が、地球での戦いに慣れるための訓練があった。未沙は彼・彼女等の指導から手が離せず、一日中立ちっぱなし・話っぱなしで疲労困憊だ。


「 いった~い。もう、足がパンパンだわ 」


 長時間ハイ・ヒールに包まれて酷使した爪先の感覚は痛みだけで、触った感触すら分からない。任務に集中していた時は気にもならなかったが、訓練が終わった瞬間からそれまでの分を取り戻すかのように、脚はズキズキと訴えた。


「 ハイ・ヒール、止めよっかな ・・・ 」


オペレーターの中には、ハイソックスにペタンコ靴の子もいる。本当はああいう方が足も楽だし、動きやすかも知れない。

でも未沙はハイ・ヒールが好きだった。履くと背筋がピンと伸びる感じが、「胸を張って前を見て、頑張って」と背中を押されている気がしてくるのだ。

それに色も形も、女性的で綺麗だ。男女などない(と未沙は思っている)軍務で、時に女である事を思い起こさせてくれるアイテムだと思う。


 未沙はジクジクと疼く足を撫でながら、凝ってしまった首も回す。「事故など起こさないように」と緊張していた体は、持ち主が労わってやらねば可哀想だ。


ちゃぽん ・・・



「 今日もお疲れサマ 」


 ぬる目の湯に浸かって、浴槽の縁に後頭部を任せる。入った瞬間全身に鳥肌が立ち、体から疲れがブワッと噴き出して来たかのようだ。温かで柔らかく包まれる湯の感触に、尖っていた心の輪郭まで湯気のように曖昧になってくる気がしてくる。


「 疲れてるのね、未沙 ・・・ 」


 夜は軽食のみでロクな夕食を摂っていなかったが、今日はもう「鬼の早瀬大尉」は店仕舞いだ。

今日も気の荒い男達を相手に、グウの音も出ない程言ってやった。軍服をファッションのように着崩したり、きちんとした言葉遣いができない者。言い訳ばかりを言って、やるべき努力をしない者。未沙は軍人としての、誇りと気概がない輩 -やから- は許せない。

でも、そんな未沙だって ――


「 一人の時くらい、少しだらしなくしたっていいじゃない 」


 未沙はドレッサーの椅子に腰を掛けて髪を拭きながらひとり、話を続ける。自身では気が付かなかったが、相部屋でなくなってから独り言が多くなった。


「 全くアイツ、嫌んなっちゃうわ 」


未沙の話を、彼はニコニコ聞いてくれる。

―― だって、彼は優しい人。


「 大体、上官を上官と思ってないんじゃないかしら 」

「 軍人としての心得から、ちゃんと教練しないと 」

「 あんな子供には、やっぱり無理なのよ 」


彼はいつものアイツの愚痴にだって、「また?」等とは決して言わない。


「 ねぇ、そう思うでしょ 」


写真のライバーはいつも、何も言わずに笑顔で未沙の話を聞いてくれる。

―― そう、彼は優しい人、だった。



夕焼け雲
夕焼け



 未沙は翌日も昨日の訓練絡みで、関連部署との調整に忙しかった。実地して気付いた事やもらった意見を整理し、今後の訓練や任務に活かすためだ。未沙は子供の頃から、予習・復習は欠かせない質 –たち– だった。


 約束していたフォッカーと打ち合わせようと、格納庫の前を横切って隊長室に向かう。暮れるのが早くなった太陽に、「早くしなくちゃ」と気が急く。カツカツと足早にヒールを鳴らして進む未沙の目の端に見える夕日は、少し寂し気に感じた。

誘われるように一瞬、思わずため息が ――


「 はははっ! カンベンして下さいよ 」
「 お前~、ナマイキ 」
「 やっぱ、空はいいな~、って張り切っちゃって 」
「 だからって、ちゃんと先輩を立てんの、忘れんなよ? 」


―― 出そうな所に、賑やかな声が重なって引っ込む。立ち止まって目を向ければパイロット達が6人、格納庫脇で座り込んで話していた。そう言えばもうすぐ勤務交代の時間で、ひととおり終わった者達が一服している所なのだろう。


「 ・・・ のん気なもんね。こっちは走り回ってるっていうのに 」



  ぶしゅ~~う! ぶわ~



「 うわっ! 柿崎。オマエ~~、缶振ったなあ! 」
「 ダメですよ、一条隊長。彼から物をもらったら気を付けなきゃ 」
「 そうですよ、油断大敵って言うでしょ 」
「 責任取れ。この最初のひと口が旨いってのに 」


( 聞き覚えのある声と思ったら、アイツ ・・・ )


 嬉しそうにコーラを飲んでいるのは、いつものアイツ ―― こと、生意気なパイロット、一条輝だ。缶に口を着けるとすぐに上を向いて、喉仏を上下させながらジュースを煽る。


「 ぷは~~っ。 この一杯のために仕事した、ってカンジだな! 」

( あなたのおかげで、コッチはまだ大売り出し中なんですからね! )


ビールのようにコーラを飲んで、“旨い笑顔” で言っているアイツを見ていると、未沙ももう店仕舞いしたくなる。

ただの民間人だったヤツだが、エア・レーサー上がりでフォッカーの後輩だけあって、飛行や機械の扱いに関しては技術も心得も大したものだ。それに現場で直に見て・実際に戦闘している者の意見は、確かに無下にできない物がある。

―― そう。腹立たしいアイツは、 “結構やるヤツ” なのである。


「 オマエ~、ミンメイちゃんとは実際どうなんだよ? 」
「 放っといて下さい 」
「 俺ビックリしちゃったよ。コイツ “娘々” でミンメイちゃんに「輝~❤」って呼ばれてんの 」

  「 「 ええーっ!」 」

「 んで、コイツも「ミンメイ!」って ・・・ 」

  「 「 く~~っ、ウラヤマシ 」 」

「 やっぱオマエら、デキてるんかよ 」
「 大尉、“12日間愛” ですよ! 」
「 前にミンメイさんと、デートしてましたもんね 」


( ああ、そう言えば ・・・ そんなウワサもあったわね )


 マクロスが地球を飛び立った時に閉鎖空間で閉じ込められた一条輝とリン・ミンメイは、12日間を2人きりで過ごした。その間に何があったのか ・・・ という、噂だ。

当時ミンメイはパイロット達の御用達、中華飯店 “娘々” の看板娘として人気があった。こんな狭い艦内では、街中を2人が連れだって歩いているのを見掛けた者も多い。

色恋ネタが大好きな “マクロス野郎ども” のやっかみ半分のカラカイで、まだ少年の後輩はよく突っつかれているようだった。


 ゼントラーディ軍の捕虜となった時の、アイツの顔が浮かぶ。


『 恋人なんでしょ 』
『 えっ? ええ、まあ ・・・ そう思いたいんですけどね。ミンメイが “ミス・マクロス” に選ばれて、歌手になるって決まってからは、ろくにあう暇もなくなっちゃって 』


あれからあまり経ってはいないが ・・・


( 上手くいってるのかしら )


「 ホント、何にもありませんよ 」
「 ほんとかぁ~? 」
「 いい加減にして下さい。ミンメイはアイドルなんだから、ヘンな噂は困るでしょ 」


 一条輝は先輩相手に物おじしないせず言うが、そっぽを向いた顔は意地を張ってるように見える。女で上官の未沙に対してもあんなにハッキリと物を言うヤツなのに、年下の彼女にはできないのだろうか。


 未沙は好きだと思ったら、それを相手に示さずにはいられない質だと自分では思う。気持ちを押し付けるつもりはないが、「こうしたら喜んでくれるだろうか?」という事をしたいのだ。

好きになった人は一人きりだったが、恋心を受け入れてもらえなかった後も、手紙やプレゼントを贈り続けた。ライバーは喜んでくれたし、恋人はいないようだったから、迷惑を掛けてはいなかったろう。

彼に追い付くくらい大人になって・・・、一人前の軍人になって・・・、一緒にいられるようになったら。今度はちゃんと、好きだと言おうと思っていた。


( ちゃんと言わないと、後悔するわよ )


 立ち止まって彼等を見ていた未沙は、ついと目を反らすと再びフォッカーが待つ隊長室に向かおうとした。


「 俺はいいんです。ミンメイが楽しそうに歌っていられれば 」


一条輝の声に、未沙は思わず足を止めて振り返った。

胡坐をかいて格納庫に寄りかかり、だらしくなく座るアイツ。いつもなら「姿勢を正しなさい!」くらい言ってやりたいところだが ・・・。


「 そういうの、守るために、俺達ガンバってんでしょ? 」


照れくさそうに笑うアイツが・・・、オレンジ色の整備服と赤いコーラの缶が・・・、温かな夕焼け色に溶け込んでいる。


( いいな ・・・ )


 恋、してるのだろう。好き、なのだろう。

本来なら、親に頼って学校に通っていてもおかしくないような年齢だ。そんな少年でも守りたい人がいるから、任務の時にいっぱしの口をきくのだろう。

未沙が戦うのは、それが “軍人としての責務” だからだ。市民を守るため、地球を守るため、自らを省みずに姿勢を正して進むのは、素晴らしい事だと思う。

―― だけど ・・・


「 愛、だな 」
「 愛、ですね 」
「 やめて下さいよ。そんな ・・・ 」


 俯くアイツの顔は、ちょっぴり誇らし気だ。
忙しい彼女とはそんなに会えないだろうけれど、相手を想う気持ちが自分を強くさせる事を、未沙も知っている。

―― たった一度の恋が、未沙をここまで連れて来たのだから。


( 私も ・・・ )


常識知らずで礼儀知らずで、子供っぽいヤツだけど。真面目で優しい所もあるのは、最近知った。

あんな笑顔も強さも、彼女が与えているのだとしたら ――


 ぱん!


「 ハイ! クダラナイ話は、もうおしまい 」
「 ええ~。もっと聞かせて下さいよ、一条セ・ン・パ・イ 」
「 アンタの方が先輩でしょうが! 」
「 んん~、いやだな。恋愛のセンパイですよ 」
「 んなモン、知りません 」
「 イケズ~ 」
「 柿崎、オマエは早く行け。いつも整備が漏れるんだから 」
「 なあ、なあ。一条大センパイ 」
「 アンタもいい加減に ・・・ は・早瀬大尉っ! 」

  「 「 「 うっわ~!やっべー! 仕事・仕事 」 」 」

「 コソッ 僕も ・・・ 失礼しま~す
「 あ、マックス! 隊長! 置いてかないでぇ ~ 」


 クモの子を散らすように四散して逃げる大の男達 ・・・ を、未沙は呆気にとられて見ていた。古参のいい年をした者すら、見事な逃げっぷり!

特に一条輝など、未沙を見た途端に持っていた缶を手から落とすとは、どういう事!? ・・・ でも滑走路に転がったり等しないようすぐさま拾ったのは、流石だと褒めてやろう。


「 何よ。ちょっぴり ・・・ ミンメイが羨ましい なんて、思ったのに ・・・ 」


あんな風に、自分を好いてくれるのなら ・・・

     あんな風に、自分を守ってくれるのなら ・・・

          あんな風に、笑顔を浮かべてもらえるのなら ・・・


―― 恋はきっと、私を変えてくれる。

おわり

あとがき

 仲間とダベリ、コーラ缶を片手にだらしなく座る輝 ・・・ の姿が見たかった。男同士の戯れる様な馬鹿なイチャイチャが好きです。今後のお話に必要だったのでアップしましたが、絵が描けるようになれれば画を作りたいな。

 題名は「夕焼けのアイツ」とかにしようかと思いましたが、止めました。だって夕暮れの丘で子分を引き連れて立つ、汚いガクランとガク帽の、葉っぱをくわえた輝 ・・・ が何故か思い浮かんじゃうんだモン。なんででしょうね、1970年代の雑誌「少年○○」とかのイメージになってしまう。

未沙は恋を叶えて、もっといい女になる設定。

きっと変わるよ、未沙
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 Comment 

Re: 二年後のテレビ版のセリフにもつながる言葉 

そういうの、守るために、俺達ガンバってんでしょ?
36話の「やさしさサヨナラ」で、輝と一緒に避難しようとするミンメイに対し、セリフ「バカなこと言うな! 僕は軍人なんだ。君を、この街を、守らなきゃならないんだ!」

当時は街を守るというキモチはなかったろうが、ミンメイを守りたいのは第一目標で、二年後にはやっぱり依然としてミンメイを守りたいキモチがあったが、街も守りたいというより大きな心になっていたのだろう。まさに、「愛だな」というところ。

う~~む。共感できる解釈でゴザイマス。やっぱりマクロスは、「輝と未沙の成長物語」なのですネ! この頃の方が純粋な思いで、でも後になると色々な現実が見えて保身してしまう。でもそれを乗り越え、真に平和を守ろうという信念を確立する ―― みたいな感じで、第二部は描いています。

にゃお様の頭の中には完成した輝がいて、その前の状態を書いている
おっしゃる通りです。私がSSを時系列で書かないのは、輝と未沙の成長を矛盾なく描きたい為です。お気づき頂けて、とても嬉しいです e-446「ありがとうゴザイマス」

クドクド書くのもどうかと思い
文章によるコミュニケーションは、よく考えて出来る点が好きですが、誤解無く・ちゃんと伝わるようにと心掛けると、長かったり・相手によってはクドく感じさせてしまったり・・・がありますよね。私もよく気にして、迷っている点です。e-68「では~」

管理人のみ閲覧できます 

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Re: 感想:夕焼け 

こんにちは! このSS初コメントにて、レスさせて頂きますね。

「面白かった」「特に良かったと思ったのは二箇所」
ありがとうございマス! 入浴場面「マンガでも映像でも表現できない、文字表現ならではのよさと、心底疲れているときのあのとろけるような感覚について共感」疲れを誰にも慰めてもらえず、でも当たり前のように自分で自分を癒す未沙を描くのが好きです(笑) 「パンっと手をたたいてから男たちがクモの子を散らすようなあたりは、その風景が目に見えるようで笑っちゃいました」マクロス野郎達は優秀な未沙に一目置きつつも、その生真面目さを面白がったり可愛がっている所もあるのかも知れません。

二年後のテレビ版のセリフにもつながる言葉
ん? ナンだろう? SSを書いた時に意図していませんでしが、「ミンメイが楽しく歌っていられれば」カナ? 「未沙の輝への想いの発生があるかないか、微妙なところ」ウフフ・・。お分かり頂けました? 無自覚に惹かれている時期の未沙ちゃん、でした。

生意気な彼は鏡だったのかもしれない
言われてみれば、そうですよね! 未沙は自分とは異なる感覚の輝により、自分を客観視するという設定はあったのですが、一言で言えは「鏡」ですよネ。

「日常と、互いにまだソッチの意識がなかったころのキモチと、後の可能性を垣間見られるお話で、面白かった」ありがとうございます~ e-449 いつも的確な表現に、自分で書いたSSながら、「なるほど~。そーゆーハナシだったんか」等と気付かされております(笑)。e-68「では!」

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