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「SS (二次創作小説)」
空白の二年間

未沙の秘密

SSです。


「国境の長いトンネルを抜けると、雪国であった 」

小説 「雪国」 川端康成


未沙の秘密



うん、それは知ってる。
しかし輝の場合は ――


ドアを抜けると、そこは ――




キノコの山だった ・・・


未沙の秘密



何故こんなことに ・・・ と時間を巻き戻す こと、1時間前 ――



♪ ぴんぽーん!



「 未沙~! 早く開けてくれ~! 」
「 えっ、なに? 輝? 」


 未沙が慌てて玄関を開けると、輝が大きなスイカを3つも抱えていた。2人はお互いにビックリする。未沙はスイカに、輝は未沙の格好と髪型に。


( こういうのも、なかなかイイかもしんない )


未沙のスポーティーな格好など見たことがなかったが、今日は膝上のスパッツにスソが太ももまであるTシャツだ。前髪を膨らませてピンで留め(輝は知らないが、ポンパドールという)、その脇からサラリと出た髪が頭の動きと共にフワフワと揺れる。

手にもっているのはエプロンと三角巾 (代わりの木綿手ぬぐい) と毛バタキで、多分掃除中だったのだろう。


 輝は重い・座りが悪い球体を、器用にソファまで運んで置く。
未沙の新鮮な出で立ちに感じた事を、なにか一言でも言えればよいのだが、この辺の言葉足らずはいつもの事で。


「 どうしたの、これ 」
「 “ハピマ” の福引で当たってさ。食いきれないから持ってきた 」
「 私だって3つも無理よ 」
「 う~ん、未沙ならなんとかできるだろ。スイカジャムとか 」
「 変わった物が食べたいのねえ 」
「 ぷっ。そういう訳じゃなくってさ 」


 時々未沙は冗談が通じない。輝はそれが結構面白いくもあるし、心配にもなる。騙されなそうで、コロッと騙されるタイプじゃないか?

2人の家の近所の “ハッピー・マート” は、魚屋のおじさんが開いた店だ。「安くて新鮮で人情味がある」と評判で、店舗をどんとん拡大した。おじさんの仲間の八百屋・肉屋・金物屋などのオジサンがテナントとして商いをし、今おじさんは魚屋一本だ。


「 “ハピマ” で買い物したら、福引券オマケって 」
「 なんで、オマケ? 」
「 んー、何かカン違いしてるみたい 」
「 何を? 」
「 ん~~? ・・・ コイツいい音たてるなあ 」


 輝はスイカをポンポン叩いて、話をそらした。

・・・ だって言えない。未沙がオメデタなんて。もうすぐ俺たち結婚するって、思われてたなんて。

女性にはトンデモない内容だから、力一杯否定した。根堀り葉堀り聞かれそうなのですぐ逃げ出し、スイカ3個を抱えて家に走った。

しかし前方からオヤジの奥さんが来たので、慌てて未沙の家に来た訳である。あの夫婦は年が離れているが、商売でいつも一緒にいるためかツーカーだ。またオヤジと同じやり取りをするのは避けたかった。

そんな訳で、連絡もせず未沙の家に行くことは普通しないのだが、今日は避難だ。


「 ・・・ コイツもか? えい! 」

    ピシッ

「 きゃっ。んも~う、何するのよぉ 」
「 デコピンもらいっ! 未沙のデコが誘ってたv 」
「 誘ってません 」
「 誘いデコ、えいっ! 」


 未沙が毛バタキ? で、輝に反撃する。静電気を帯びる細い科学繊維のハタキは、毛の部分の全長30センチ位だろうか? ピンクのモフモフではたかれた輝は、言い返そうとして口の中に毛が入った。


「 んべっ。ひどいよ未沙 」
「 変なコト考える頭のホコリを、ハタいてあげたの 」
「 掃除中に来たのがマズかったか ・・・。鬼に金棒 だ 」
「 んんー! 誰が よっ 」
「 まあ、まあ。ホラ、掃除中だろ? 俺に構わずやりなよ 」
「 今度言ったら、掃除機で吸い込んじゃうんだから! 」
「 ちょーっと、狭い所はなあ ・・・ 」
「 あなたはアッチ行って。邪魔したら、いいわね?・・・ 掃除機よ 」
「 すごい脅しだ 」


 未沙は見せつけていた掃除機の吸い込み口を離し、輝に睨みを利かせながらエプロンを着ける (手拭いの姉さんかぶりは、輝の前ではしない) 。すると何故か、おもむろに未沙の手からハタキが消えた。


( あれ? 武器、どっかに仕込んだのかな? )


未沙がクルリと背を見せると、腰に回ったエプロンのヒモにハタキが差し込まれていた。未沙がぶりぶりしながら掃除機を掛けるのに腰を曲げ伸ばしする度に、ピコピコと動くピンクの尾っぽ ・・・ 。


くっ、はははっ ・・・!


輝は可笑しさと可愛さに漏れた笑い声を、聞こえないように抑えた。


 今日は昼前に輝が来ることになっていたので、未沙は輝の好きな水出しアイス・コーヒーを用意してくれるとの事だった。勝手に冷蔵庫を開けると、コップごと冷やされたコーヒーと生クリーム、未沙お手製のガムシロップを取り出す。ついでに多分輝用に作ってくれたのだろう、旨そうな焼きプリンも出した。

未沙の秘密
「 ウマ~~ 」 




甘いもの好きの輝は、焼きプリンをカレー用スプーンで頬張りながらご満悦である。ちょっと甘めのプリンの後でコーヒー、という組み合わせが絶妙なのダ ・・・ と、苦みばしったコーヒーをひとくち ――


「  ブホッ!  」


夏のお約束、めんつゆだった・・・。輝は口元をぬぐいながら、ふとあるドアを見る。


( めっずらし~い。寝室のドアが開いてる )


いつもきちんと閉められていたそこは、掃除機を掛けたためか30センチくらい開いていた。


( 絶対、あの部屋は入れないんだ。まさか「見せて」と言えないし )


 未沙の家に来ても、輝が彼女の寝室に入るような必要はなかったから、今まで見たことがない。未沙が意図的に隠していたかは分からないが、ドアでもフタでも気の緩んだパイロットでも、彼女は閉める物はキッチリ締める。


(未沙は今 ・・・ 洗面所だ!)


未沙はクリーニング・タイム最後のお楽しみ、掃除機の中にどれくらいゴミが取れたか、をチェックしていた。


「 チャーンス! 」


 「デリカシーがない」と言われる輝だが、隠すつもりの女性の部屋をのぞき見る程ではない。しかし未沙の部屋だし、もし隠されているのなら何となく気に入らない。未沙に限ってヤバイ部屋 ・・・ という事はないだろうし。


( 未沙だって、俺の部屋を見てるんだ )


開かかずの扉を開いた先は ・・・ と、冒頭にモドル



未沙の秘密 
くまくま と 干しシイタケ(自家製)


「 ナニコレ  」


「 勝手に見ないで頂戴! 」
「 うおっとっと! 」


 未沙が輝の背後から飛びついて、頭の後ろから手で両目を塞ぐがもう遅い。輝は引っ張られて、後方にたたらを踏んだ。

部屋いちめんのキノコ ―― シイタケ達は発見されてしまった。そして未沙が見せたくなかった、お手製のカワイイ物達も ・・・。


「 なんでキノコ生やしてるの? 」
「 干しシイタケ作ってるのっ! 」
「 だって、このシイタケ ・・・ 」


とにかくハンパではない数のシイタケが、床にもベッドの上にもノコノコしている。


「 “ハピマ” で売ってたのよぉ 」
「 あそこはなあ ・・・ 」


 ハッピー・マートは休日に1品 “ハッピー・セール” をやるが、その量がものすごいのだ。例えば肉1キロ、大根5本 ・・・ とか。だから2~3家庭が合同で買ったりもするが、未沙はそれをいかに上手く消費するかを楽しんでいた。


「 ただでさえ大量なのに、オマケ・オマケって 」
「 なんで、オマケ? 」


( ( この会話、さっきもしなかった??? ) )



輝と未沙はお互いしばし顔を見合わせた後、ボンッと真っ赤 になった。


「 あ・あー あ ~ ぁそこは気前がイイ。ウン、いいんだ 」
「 そうなの! 栄養付けな ・・・ ・・・ ! 」
「 そうだよな! じゃないと子供が ・・・ はわわわ
「 女は腰がしっかりしないと、難ざ ・・・ ・・・ 掃除っ! 」


 未沙はすごい勢いで、シイタケを乗せた新聞紙を寄せて集める。そこら中に思い思いのポーズをとっていた編みぐるみズ・縫いぐるみズや、少しブリッとしたクッションを、広げた風呂敷に乗せていく。


( ここは掃除し終わったんじゃないの? )


未沙にしては乱暴な動きで、お尻のしっぽも忙し -せわし- ない。
輝はそれが気になって、思わず手を伸ばした。


「 しっぽ、邪魔じゃない? 」
「 いゃんっ! 」
 ・・・・・・ 


 突然ハタキをスルリと抜かれた感触に、未沙はおしりを押さえて悲鳴を上げた。羞恥で真っ赤に染まったままの顔を輝に向け、涙目で咎めるように輝を睨む。


「 「  ・・・・・・ 」 」


見つめ合った2人は恥ずかしさにいたたまれず、沈黙した。


「 ・・・ しっぽじゃなくて、“もふ吉” 」
「 は? モフ? 」
「 もふ吉って、呼んで 」
「 はあ、モフキチ 」


未沙の秘密
除電ダスター 1,260円



未沙は輝からもふ吉をひったくるように取ると、輝を寝室から押し出した。


「 大体、女の子の寝室に入るなんで非常識よ 」
「 未沙だって俺の部屋に入るじゃないか 」
「 あなたは男の子だから、いいの! 」
「 男女差別だ 」
こ・れ・は )) 、大人のマナーよ 」


 未沙が輝を無神経だと感じるのは、こういう所だと思う。どこか男女を全く同じに扱う面があるのだ。・・・ そう、小学生みたいに。

フランクと言えば聞こえはよいが、性別も階級も年齢も、ちょっと気にしな過ぎる気がする。逆に下の者から気楽に接せられても、輝は平気だが。

決して人を軽ろんじている訳でも、敬語が使えない訳でもない。年齢の割にはしっかりして大人な面もあるし、甘えもコントロールできる。


 マクロス時代、軍の入隊要件は15歳以上だった。結果フォールドで親とはぐれた少年少女達が、生活のため大勢入隊した。しかし入隊審査・訓練などで振り落とされる、辞めていく者も多かった。

それでも残った者達には、目前で異星人との戦争が繰り広げられる現状で、すぐ戦いに参加する事が分かっていたはずだ。しかし、いざ戦闘となると逃げ出したり、すぐにやられてしまったり等した。
結局残った少年達は輝やマックスを含め、わずかだ。

新・統合軍ではこの経験を踏まえて、やはり未熟な年齢は対象外にしようと、18歳以上に引き上げたのだった。


 そんな少年らに比べれば未沙から見て、輝やマックスは情緒面がかなり落ち着いていると思えた。そんな輝も任務を離れると、どこか子供っぽさがあった。

-こと- に、のことは。


「 未沙 ・・・ 」
「 なによ 」
「 さっきから、気になってたんだけど ・・・ 」


 輝は女性に対する自分の不器用さを自覚していたし、年上の未沙に “大人のマナー” と言われると、悔しいが言い返せない。確かに女性の部屋をのぞいたのは、マナー違反だと思う。

だから別の方法で、やり返してやる事に決めた。


「 はっきり言ったら? 」
「 その足 」
「 えっ? 」


 未沙の足には、レースの付いた五本指ソックス・・・。

編み&縫いぐるみズを抱えていた未沙は、自分の足元を見ながら硬直する。気のせいか、モフ吉がしな垂れた 

クローディアが折角 (面白がって) くれた物だし、履いてあげないのも靴下が可哀想だし。ちょっとおじさんっぽいソレも、こうすれば ・・・ と付けたレースは、悲しいほどに滑稽だった。


(だって、可愛くしたかったんだもん)


未沙の秘密は一杯あるが、知ってるのは (多分) 輝だけ。


おわり


あとがき

 未沙は自分に可愛い物は似合わない・キャラじゃないと思っていますが、実は大好きなので隠れ持っています。手がヒマなのが落ち着かないので、編み物など細かい事をしながらTVを見る等している設定。未沙はいかにも “可愛いデショ?” と主張しているような物はあまり好みでないが、単純に可愛い ~ ブサカワイイまで好きです。

 静電気ハタキ、便利ですねー。床の物を掃除機しやすようにどけながら、どこでも撫でてホコリ取り。掃除機をかけている時にホコリに気が付く事があるので、腰に差したハタキをシャキーン! と登場させるのです。でも邪魔でとっちゃったりもします。単に未沙にこんな格好をさせたかっただけ。

 乾物って便利で美味しくて栄養もあって好きですが、高いんですよね。それで自分で干してみましたが、縮む縮むで高いワケだ。切った大根と人参を干したら、黒くなって異臭が ・・・ 初トライ失敗?

 パーメモの統合軍の募集広告で、入隊要件が18歳以上だったのが、気になりました。

 偶然ですが、1968年の今日(10/17)、作家 川端康成氏がノーベル文学賞の受賞を決めたそうです。決め手の作品は「雪国」「古都」「伊豆の踊子」。「日本人の心情の本質を描いた、非常に繊細な表現による叙述の卓越さ」と評された彼の作品を、読んでみたいと思いました。

ちなみに「同人」とはこのような文学者たちの集まりから始まった呼び方だとか。姉の印象が強かった言葉ですが、一気に高尚な感じに(ホントか?)。


「あらぁ? いっこ落ちてたわ」
未沙の秘密
泣き輝しめじ

頂ければ意欲UP!
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