QLOOKアクセス解析

白い薔薇によせて



いらしゃいませ。現在の閲覧者  名さま

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


拍手ボタン

「SS (二次創作小説)」
Macross Befor

寒い夜

 初めて書いた「Macross Before」のSSです。フォッカーがいた頃の「第一部」と、結婚後のメガ・ロード時代「Macross After」が混ざります。


 -270.42℃の宇宙空間で甦った、輝の想い出。時に優しく、時に悲しかった心が、未沙の温もりに包まれて溶けてゆく。

金木犀が薫る季節

2011.10.4 UP


「 そんな …… 」

 部屋の隅で、ただ立ち尽くすしかなかった。白衣の人々が懸命に彼女を呼びながら手を施しても、結局画面の線は横一直線を描いた。

「 お別れをしましょう 」

真っ赤な体の我が子が、彼女の胸にうつ伏せになる。赤ん坊は助産師に支えられ、くたりと母の体に乗るだけだった。

  『 “一条 輝” ―― いい名前ね 』
  『 本当に、そうか? 』
  『 あなたの息子、って感じがする 』
  『 お前の息子でもあるよ 』
  『 ふふ。余計に “ 輝 ” って名がいいわ 』
  『 それなら、いいが 』
  『 ひかる? まあ、お腹を蹴って。うふふ。分かるのね? 』

妻が大きなお腹を撫でながら、幸せそうに微笑んだ日が浮かぶ。彼女は我が子を育む乳を与えることも、小さな体を抱くことも、もうできなかった。

木枯らしが吹く11月。こうして愛しい妻を失した男と、優しい母を亡くした子の親子が誕生したのだ。

柿の実がある田舎風景

「 とータン! とータン! 」

 輝は泣きながら祖母に抱かれていた。柿の朱色がたわわに実る田舎の村。

「 お前はこんな小さい子を置いて、また飛行機かい 」
「 ・・・・・・ 」
「 全く、それで親かね 」
「 ・・・・・・ 」
「 そんな男が子供なんか育てられるか。いっそ預けちまいな 」
「 それはダメだ 」
「 なら飛行機なんて止めちまうんだよ 」
「 そんな事をしたら、俺はコイツの親父じゃなくなる 」
「 あんたは馬鹿かい。父親ってのはね、ちゃんとした会社に勤めて、ちゃんと嫁さんもらって、子供を置いて長い事どっかに行かない男を言うんだよ 」

この議論は幾度となくこの親子の間で繰り返されてきた事で、いつまでも平行線の内容だった。

「 じゃあ、行ってくる。輝、いい子にしてるんだぞ 」
「 やー、やー! 」

泣き叫んで、自分に向かい手を伸ばす我が子。こんなに小さくては、何故父が行くのか、何故自分が置いて行かれるのか、理解できないであろう。それが可哀想であり、自身が切なくもあった。

「 じゃあな、ひー 」

自分によく似たクセの強い髪に手を置き、ただそれだけを言うことしかできない。

「 とータン! とータン! やぁだあ~~! 」

聞こえ続ける泣き声は、まさに “身を切られる思い” で ―― しかし親子二人で生きてゆくには、早足で前に進むより他なかった。





「 とうちゃん。こーゆーの、ウマソだね 」
「 ああ、旨そうだな 」
「 スゴイよ、おほしさまの おべんとうだ! 」

 TV画面には、赤・黄色・緑で彩られた綺麗なお弁当が次々と映る。キャラ弁当のランキング番組を、輝は目を輝かせて見ている。

「 …… ああいうの、食いたいか? 」
「 ううん。ぼく “ ちゃいろい おべんとう ” がいいよ。パワー モリモリ  なりたいんだ 」

保育園では給食が出るが、行事の時の弁当は父が作っていた。恐らく他の子に “ 茶色いお弁当 ” と言われているのだろう。可哀想で、それをどうにかしてやれない自分が情けなくて ―― それでも2人で生きてゆくというのは、こういう事なのだと思う。

「 父ちゃんの “ 茶色い弁当 ” なら、パワー抜群だ 」
「 …… やさいも たべなきゃ ダメって。ちっちゃい トマト いれてね 」
「 そりゃ、いいな。綺麗だし、栄養満点だ 」
「 それに メンドクサくないよ! 」
「 父ちゃん、面倒臭いの、ちょっと …… だしな 」
「 メンドー メンドー いってるもんね 」
「 うるせ! ホラ、ねんこの前の便所は終わったのか? 」
「 えー、メンドー 」
「 お前~! 寝ションベン垂れるぞ。布団、デカデカ干すからな 」
「 やだ、やだ! とうちゃん、いっしょに きてよお 」 
「 だから怖いテレビ、見るなっちゅーたろーが 」

最近は “ 食育 ” とやらが言われるようになり、保育園でも食品を色で分けるというゲームを兼ねた教育をしているらしい。多分給食やお互いの弁当を、色分けする事が流行っているのだろう。

 「母に似て、優しく明るい子に育っているらしい」と、輝の言葉に感じながら、寝る準備を促す。明日は初めて飛行場に2人で行くのだ。何日も前から興奮していた輝は、なかなか寝付かないかと思いきや、本当に「電池が切れたように」寝てしまった。

「 それにしてもコイツは、よく寝る奴だな 」

 そう言えば保育園の連絡帳にも 「輝くんはいつも一番先に寝て、一番最後に起きます」 と書かれていた。毎日書かねばならないそれには、少ししか言葉を書けていなかった。それでも、いつもしっかり読んで覚えていた。

輝は体に毛布を巻き付けて、2枚並べた布団の上を縦横無尽に転がる。明日の秋晴れの空でも、夢見ているのだろうか。

「 ・・・ とーちゃん、すごい ・・・ 」 
「 輝 ―― 明日は見てろよ 」

栄養満点で綺麗な弁当も、キャラクターの手作りバックも、優しいお話も与えてはやれない。

―― 俺の取り柄は飛行機だけだ。

父親のいない男にも、自分が余りよい親ではないのは分かる。しかしコイツでなら、きっと親父らしい姿を見せてやれる。





「 お父さん、これ …… 」

 輝が差し出したのは 「 秋の発表会のお知らせ 」 。父は受け取って一瞥すると、苦い顔をした。言葉にするのも出すのも不得手な男だったが、輝には表情で雄弁に語る父親であった ―― そしてそれは、時に語るつもりのない心をも。

「 …… そうだな、考えておく 」
「 無理しなくていいよ。だれも来ないヤツもいるんだ 」
「 行けたらな 」
「 うん 」

そう言いつつ結局いつも父は来ないのだ。輝には分かっていた。ああいう人が多い ―― 殊に女性が多い所は苦手なのだ。だから本当はプリントを見せる必要もないが、こういう物は親にちゃんと渡すべきだと輝は思っている。

「 それよりお父さん、早く飛ぼう! 」
「 おう! 」

 今日は輝の誕生日で、初めて飛行機に乗せてもらえる日だ。今までは年齢制限で乗せてもらえず、いつも地上から見上げていた。輝はこの日を本当に心待ちにしていたのだ。発表会ごときに邪魔をされたくない。

翼の下に拡がる空
寒い夜

 ワンダフルでエキサイティングでビューティフルで …… なんと言ったら良いか、輝の言葉では表現できない体験を終え、親子は地上に降りた。

「 輝 ―― 誕生日おめでとう 」
「 サンキュー、父さん。今度はオレに操縦させてよ 」
「 ああ 」
「 そんで、一緒にエア・レースに出るんだ 」
「 その内、な 」
「 その内じゃなくて、中学出たらだろ 」
「 そうだったな 」

頭に置かれる大きな手。輝はこの手があれば、発表会も、手作りの甘いおやつも綺麗な色も、何も要らない。





「 親父 …… 」

 泣いている父を見るのは初めてだった。統合戦争が始まってメンバーがごっそり抜け、チームが存続の危機に追いやられた時も。エア・レースが減って資金繰りが厳しくなった時期に、機体が壊された時も。そんなピンチな時ほど、感情を表さなかった男が。

「 かーちゃん …… かーちゃん …… 」

祖母の棺に抱きついて、まさに “ 男泣き ” だ。白い花に埋もれた祖母は、年より大分老けて見えた。

 まだ土葬の風習が残るこの地域で、墓に向かって祖母の棺に喪服の村人達の列が続く。紅葉の中をゆっくりと進む長い長い行列は、この地に根付いて嬉しい事も悲しい事も全て受け止めて生きてきた、祖母の人柄を知るものだった。大きな穴に沈められた棺に、白い花びらや小銭が散る。ここでは祖母の年で亡くなる事は “めでたいこと” “ 御利益があること ” とされ、まるで祝い事のようにする風習があった。

痩せた寒い風土で、若い頃から苦労をするこの地の人々は、みな短命だった。それに負けまいとする、強くて悲しい風習とも言えた。

「 すまねえ …… かーちゃん、すまねえ 」
「 かあちゃん、ありがと。ありがとうな 」

 父は先程からその2つの繰り返しだ。戦争で夫を亡くした祖母は、ひとりで息子を育てた。その息子は飛行機狂いになって、その挙句に村の地主の娘と駆け落ちだ。2人がいなくなった後のこの小さい村で、祖母はさぞかし肩身が狭かった事だろう。本当に「ごめん」 と 「ありがとう」 の親子だった。

「 いいか、輝。男が泣くのはな 」
「 先輩 …… 」
「 “ 大事な人を失った時 ” と “ 大事な人が生まれた時 ” だ 」
「 ・・・・・・ 」
「 親父さんは、そう言ってる 」

言葉少ない父親に繰り返し聞かせられる 「 男は ―― 」。「 男は泣くもんじゃない 」 は聞かされたが、その言葉は初めてだ。フォッカーはそれを語られるような何かが、あったのだろうか ……? 輝は初めてのその言葉を、父の身をもって教えられた。

「 輝、待たせてすまなかったな 」

 埋葬が終わって祖母の家に向かう人々の列の最後尾で、父は泣きはらした真っ赤な目で、照れ臭さそうに輝の肩に手を置いた。その手は中学生になった輝の頭に置かれることは、既になかった。

―― こんなに親父の手は小さかったろうか …… ?

久しぶりの父の手は、もう自分と大して変わりがないように感じた。





「 おう、一条。お前も来いや 」
「 あ …… いや、僕は …… 」
「 お前、いつもそうだな。誰か操を立ててる子でもいるのか? 」
「 そんな ―― あ、まあそんなモンです 」
「 バレやしないよ。いいぞお~? 女は 」
「 はあ、そうですか 」
「 戦闘の後は、女の柔らかい肌に限る 」
「 へえ 」
「 こんなさっむーい日にはな …… って、つっまんねー奴だな! 」
「 すみません 」
「 そんなんじゃ、折角その子といざ本番って時、失敗するぞ 」
「 そうですかね 」
「 そうだ! そんなの男の恥だ。よし、来いっ! 」
「 あわわ、お・俺、フォッカー少佐に呼ばれてんで、スンマセン! 」
「 あっ、おい一条! テメー! 」

 輝は慌てて逃げ出した。背後で 「その少佐殿が行くって言ってるんだぞ~」 と聞こえるが、そんなモンは無視だ無視。輝の身の回りの女性と言えば、祖母に始まり、近所のおばさん、幼馴染やクラスメイトの女の子。女の子と言っても、田舎に近い中規模の町だ。中学生でもほとんど小学校のノリで、色気付いた子など極わずかだった。マクロスの女の子達とは、全然違う。

女性と言えば父親の恋人がたまに来ることがあったが、それもそんなに長くは続かず …… 。何人かが入れ替わって、結局父は誰とも再婚しなかった。思い起こしてみても、よくあんな飛行機馬鹿を好く女性がいるものだと思う。

「 飛行機馬鹿は、俺もか …… 」

好きなあの子は操どころか、デートの計画も立たない。どんどん離れいていく彼女を引き止めるすべなど、これ以上は思い浮かばなかった。

「 さみっ! 」

 マクロス艦内は御丁寧に冬仕様になり、コートのひとつも持っていない輝には身に染みる。本当に女性の肌が暖かく柔らかいのだとしたら、確かにこんな日は温めて欲しくなる。

「 でもなあ …… 」

そんな気持ちにも少しはなるが、やはりそういう事は好きな人とだけしたい。それは、ああいう店で働く女性だってそうではないか? 輝も断りきれずに何度か、飲むだけ程度の店なら連れて行かれた事がある。女性たちは皆明るくキャラキャラ笑っていたが、そうして働かなくてはならない事情があるのではないか?

「 俺も金ないし …… 」

輝はズボンの両方のポケットに手を突っ込んで、風が冷たい中を歩いていく。肩をすくめて寒さを耐えていると、何だかわびしい気持ちになってくるものだな、と思う。

輝のクシャミ
寒い夜

しみったれた気持ちなんて、俺に似合わない。輝は景気付けに、盛大なクシャミをひとつした。

「 おう、おう! 輝っ! 」
「 マズ …… 目立ち過ぎた 」

さっきの男が、フォッカーがどこかへ行くような事を言っていなかったか …… ? 皆に振れ回って行くと言ったら、多分ソノ手の店だ。

気のいい男達に “ 可愛い弟分 ” として、中学生になった頃にはその手の話を沢山聞かされた。「輝! もう毛は生えたか? カカカ! 」 そんなカラカイは挨拶代わりだった。男が集まったら、大人でも悪ガキもしくはオヤジの集団だ。多感な思春期に散々からかわれて、輝はすっかりこの手の事はハズカシイコトになってしまった。

「 うへえ、オヤジの親玉が来た …… 」
「 おい、輝! 飲み行こうぜ! 」
「 先輩、俺そういうのぉ …… 」

ブワッカ! お前の誕生祝いだよ

「 ああ …… そう言えば。でももう、過ぎてますよ 」

輝の誕生日はゼントラーディ軍の捕虜になっている間に、フォールドの不思議の彼方に飛んでいってしまった。

「 祝ってくれる子もいない さみし~い ヤツは、この俺が祝ってやる 」
「 別に寂しくないです。先輩、なんでもいいから飲みたいんデショ? 」
「 オイオイ! 寂しいお前のために、オネーチャンが一杯の店を予約しといたんたぞ 」
「 だから、寂しくなんかないんですって!
「 いいから、来い ―― お前は寂しさってヤツに鈍感過ぎる 」


フォッカーに無理やり連れて行かれた店は、やはり ―― キャバレーだった。それも、ある特殊 な ……。


「 あら~? こっちの子、この前テレビで勲章もらった子じゃない? 」
「 ああ。コイツひとつ年食ったから、いっちょ男にしてやってくれ! 」
「 いや~ん! いいわねえ。オネーサン、こーゆー子コウブツよ! 」
「 ええっ !? ちょ、ちょっと ???? 」

突然ベルトに手を掛けられ、輝は飛び上がった。やはり慣れているのだろうか …… ? 物凄い早ワザで前を開けられ輝はズボンが落ちないよう掴みながら、“ オネーサン ” を引きずる。

「 なっ ・ なっ ・ 何するんですか? 」
「 何って、ナニじゃなーい  」
「 ナ・ナニって ??? と、とにかく冗談じゃない! やめてくれよ 」
「 うん・もう。ケチね 」
「 うん・もう 、って …… 」

輝は慌ててズボンを直すと、ベルトも締めずに店を飛び出した。

「 ボウヤ、また来てね~! 」

野太い声で送られて、輝はオネーサンがここで働く事情は、十中八九 “ 趣味 ” だろうと思う。


                     
  おかまキャバレー  与作(YOSAKU) 
                     


実に楽しそうな看板だ。しかしキャバレーで与作は、いくらなんでもマズいんじゃないのか?

「 オネーサンどころか、オッサーンなんて …… 全く 」
「 あら、一条中尉? 」
「 はっ!早瀬 ―― タイイッ! 」

ネオン街を出た場所で、ベルトも締めずにズボンを押さえる男 …… 。流石に初心うぶな輝でも「これはマズイ」と、思わず舌を噛んだ。

早瀬大尉は輝の顔を見て、ズボンを見て、そしてまた顔を見る。

・・・   ・・・

「 あああ・あの、大尉。こ・これは 急いでいたので …… 」
「 あっちです 」
「 は? 」
「 そこの店を曲がった所です 」
「 何が? 」
「 ん・もう! だ・か・ら おトイレでしょ? 」 

「 アリヤト ザシターー! 」

輝はソッチの方がマシだと、慌ててトイレに向かった。

―― トホホ …… 。今日はさんざんだ

底冷えのする公衆便所でアルコールを排出しながら、輝はひとりごちた。





「 未沙、ただいま 」

 いつも眠る時は暖房をかなり弱くする未沙にしては、珍しく家中が暖かい。恐らく寒い外から帰ってくる輝を、思いやってくれての事だろう。寝室に入ると未沙は既にぐっすりと眠っていた。

( 当たり前だ。夜中の4時だもんな )

急に来られなくなった中隊長の代わりに、輝が夜勤を代行した。日勤からの引き続きだったために長時間勤務になるので、早めに切り上げたのだ。

( ああ、寒い …… 寒くて仕方ないよ、未沙 )

 メガ・ロード内の気象は、移住した星の環境に適応しやすいように設定されている。酷暑から厳冬まで、晴天から嵐まで、365日・24時間の中で四季を経験する。移住先がどんな環境か分からないが、生物が暮らしていける環境というのは決まっている。その幅の中で計算された気象モデルが設定されていた。

輝は衣服を脱いでそのままベッドに入った。こんな時は、風呂より未沙の体温で暖まりたい。

( ちょっと参ってるな )

 中隊長が来られなくなった理由は、身内の事故によるものだった。宇宙という自由で虚無な空間に、つい昔を思い起こしてしまった。昼夜の寒暖の差が大きく設定されるこの季節、夕方帰るつもりで深夜遅くに帰ることになった輝は、凍えそうだ ―― 体も心も、寒くて仕方がない。

( ああ、あったかい …… )

まだ身に冷気をまとっているので未沙に触れることはできないが、布団から伝わる未沙の温かみが体も、心をも溶かす。

「 ―― ん …… ひかる? 寒いの? 」

背を向けていた未沙が向き直り、目を閉じたままつぶやいた。未沙は最近お腹が大きくなり、横を向いて寝ないとつらいのだ。身を寄せた未沙は、輝の冷たい素足を自分の素足で挟む。そのままホッとしたように体の力を抜くと、すぐに寝息が聞こえた。

「 未沙 …… 」

外から帰ったばかりの自分の素足は、さぞ冷たいに違いない。痺れるような暖かい感触に、愛されていることを実感する。

「 あったかいよ、未沙 」

―― この子には何と呼んでもらおうか?

もうすぐ輝は父親になる。そんな事を考えながら、暖かな2人を抱き締めた。

おわり
あとがき
最後の足暖めめシーンは、前々から書きたかった場面です。他は時の移ろいを描きたくて、このような感じになりました。

輝のクシャミは、コミック 「MACROSS THE FIRST 3」 P127 のシーンより。このクシャミ、気に入ってます。


おまけ

 未沙が目を醒ますと、輝はよく眠っていた。昨日は急な勤務の延長で、疲れているのだろう。しかしながら、今日は大事な会議があるので起こさなければならない。未沙は輝が起きた時のためにヒーターの温度を上げようと、ベッドから降りた。夜間の暖房は抑え気味にしているが、加湿を心掛けているので窓の結露がうっすらと見える。

「 寒くし過ぎじゃないかしら 」

二重ガラスの窓なのに結露が付くなど、いくらなんでも冷やし過ぎではないか? 今日会議に出たついでに、担当部署の方に意見を回しておこう …… 。「部屋が暖まるまで」と、ベッドに戻る。短時間ではあるが冷気にさらされた肌に、ぬくぬくした布団が心地よい。

「 み、さ …… ? 」

顔を向き合わせていた輝が薄目を開け、寝ぼけた声で言った。目を開けてはいるが、こういう時は目覚めていないのだ。後で聞いても、輝は全く覚えていない。

「 ん ー 、つめたい 」

輝は未沙を抱き込んで 「これでよし」 とでも言うように背中をポンポンと叩くと、安心したように目を閉じた。すーっと寝息が聞こえる。

「 輝 …… 」

温めてくれようとしたのか、抱き締めたかったのか …… ? 意識のないこの行為に、とにかく愛されていることだけは判った ―― しっかり抱き込まれ、恐らく後者の理由の方が強いらしい。

未沙の体に合図が送られる。

「 分かる? うふふ、パパは甘えんぼさんね 」

内側から蹴られる大きなお腹を撫でながら、未沙は2人に向かって話し掛けた。
スポンサーサイト
拍手ボタン

 Comment 

コメント投稿覧
レス(お返事)は数日中にさせて頂きます。現在、トラック・バックは受け付けておりません
 公開する場合、コメント下「URL」からリンクが可能になります
 レスを非公開でご希望の場合、その旨とアドレスを記入下さい

 半角英数 設定すると、投稿後に修正・削除が可能です
 管理人のみに表示:  チェックすると、記入内容全てが他の閲覧者には見えません
 ※ 現在、非公開コメントの投稿は可能です
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。